OECD/EUIPO報告書によれば、偽造品と著作権侵害物の取引は過去数年で増加し、貿易高全体が減少したにもかかわらず、現在では世界全体の貿易の3.3%もを占めています。
こうした流れは日本でも同じであり、財務省の発表によると、2018年の税関での知的財産侵害物品の輸入差止点数は90万点を超え、過去5年で最高水準に達しています。
品目別で見てみると、医薬品の輸入差止点数が大幅に増加し、使用または接種することにより健康や安全を脅かす危険性のある、煙草および喫煙用具、自動車付属品、電気製品、美容用品などの侵害品の輸入差止が続いています。
燃えるアイロン
まずはこのYOUTUBE動画をご覧ください。
こんなアイロンを購入したら一大事です。
アイロン発火だけでなく、家も火事になってしまう大事件です。
こうした模倣品の存在を公にすあることを消費者に注意してもらうため、上記動画を制作したパナソニック株式会社では、ホームページでも注意喚起をしています。
【2018年10月に、東南アジアの広い地域で流通していた模倣品アイロンを当社の日本の事業場に持ち帰り、燃焼実験を実施しました。
その結果、通常使用状態で、アイロンが6分後に赤熱、13分後に発火しました。ブレーカーや保護回路など十分な品質を担保できていない模倣品は非常に危険な商品であります。】
模倣品とわかって比較をすれば判定もできるかもしれませんが、そんなことがわかりながらショッピングはしませんよね。
ブランドオーナーも黙ってはいられない
パナソニック株式会社では<具体的対策>として、
- 製造工場や販売店舗を摘発し模倣品を押収
- 税関で模倣品を差止め
- Eコマースにおける模倣品出品サイトの削除申請
- 展示会での模倣品取引の商談阻止
- 現地(当局、弁護士等)と連携した電気店に模倣品を売らないように啓発
- 一般消費者に模倣品を買わないように注意喚起
- 外国当局に対して法制度や法運用の改善を求める働きかけ
こうした活動もあって、正しいものを購入することができているのですね。
その中でも、個人的に一番安心だなぁと思えたのがこの情報でした。
やはりどこで買えば安心なのかが一番知りたいですよね。
B2B市場でもやはり模倣品はあり、対策がされている
B2C市場だけで模倣品がでているわけではありません。ベアリングメーカーの株式会社ジェイテクトでは、このようなサイトを設けています。
模倣品の具体例として載っている部品がありますが…「当社の製品です。」と言われたら信じてしまいそうです。
そんな模倣品を排除するため、具体的にどう取り組むのか、フローが明記されています。
自動車部品がもし模倣品の粗悪なものであれば、命に関わることですので、このような活動をすることで安心して購買できます。
米国Amazonでもプラットフォーマーとして対策を進めている
2019年2月、米国Amazonでも”Project Zero”プログラムが始まりました。
これは、Amazonに逐次報告することなく、模倣品であると判断できればブランドオーナーがより直接的に排除することができるという取り組みです。
現段階では、Amazonからの招待があったブランドのみが許されているようで、このプロジェクトに参加する場合は自ら申請し、ウェイトリストにのる必要があります。
日本ではまだ導入されてはいないようですが、模倣品の現状からすればこうした取り組みが広がって行く可能性もありますね。
さいごに
人の身体の健康をも脅かす危険性のある模倣品。その存在が一番悪いのはもちろんです。
ブランド自身と何も関係のないところで名前を騙って製造されただけでなく、その名前を信じて買った消費者まで傷づける可能性もあります。
どの企業の取り組みからも、そんな模倣品は絶対に許さない、という強い気概を感じました。
こうしてブランドオーナーが表立って行動し、模倣品の周知、排除活動に各社はコストを払っていることが少し調べただけでわかりました。
インターネットが世界に浸透していく中で、世界中から物を購入することは可能です。何に信頼をおいて購入するのかは非常に難しいことですが、いつでも騙される可能性はあるということを前提に、正しい商品を選ばないといけませんね。
GMOブライツコンサルティング株式会社
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