~前回のお話~
https://brandtoday.media/2019/08/15/domain-yuka-series1/
妹の颯希からドメインについてレクチャーを受けた結花。レッスンから数日後、復習をしています。
えーっと、まずIPアドレスはコンピュータが理解できるように数字が羅列されたインターネット上の住所…と。数字の羅列が覚えにくいから、人間用に分かりやすくしたものがドメインね。そして、IPアドレスとドメインを翻訳してくれるのがDNS!
ドメインはgTLDと㏄TLDに分別されて、gTLDは商用を意味する【com】とか一般的なもの。㏄TLDは国や地域で限定がされているもの。各々のルールのもとで管理されているから、取得するための条件も異なってくる…ん?そういえばgTLDも㏄TLDも一体誰がルールを決めたり、管理しているんだろう?
お姉ちゃん!いいところに気が付いたね!ちょうど今日、そのあたりをレクチャーしようと思ってたよ
びっくりした~!いつもノックしてって言ってるじゃん~!
ごめんごめん~
今度から気を付けてよね。で、今日のレッスンは?
うん、今日はドメインの世界の登場人物と新gTLDについて講義します。早速はじめるよ~!
颯希先生お願いします!
じゃあ、まずお姉ちゃんの疑問から答えようかな!
ありがとう。さっき前回のレッスンの復習をしていて、ドメイン全体を管理しているのは誰なのかな?って気になったんだ。一定のルールがあるってことは、決めている誰かと、管理している誰かがいるってことでしょう?
うん、じゃあその疑問から解決していこう。全世界のドメインを統括しているのはInternet Corporation for Assigned Names and Numbers、通称ICANN(アイキャン)だよ。ドメインは、それぞれの登録機関であるレジストリと呼ばれる組織によって定義されていて、ICANN承認のもと、一定のルール下で運営されているんだよ。
アイキャン?レジストリ??登場人物が一気に増えたよ~
お姉ちゃん落ち着いて、図にしてあげるから!
どうかな?イメージできた?この図の通り、全体を統括しているのがICANN、そして各トップレベルドメインごとの管理組織のレジストリ、ドメインの登録代行をしてくれるレジストラ、そしてドメインを取りたい人のレジストラントが存在しているよ。
うん、なんとなく分かった。しかしレジストリ、レジストラ、レジストラントって!…頭パンクしそう~!
英語だし、字面が似てるからねえ…。大事なところだから、少しずつ確実に覚えていってね!
了解しました!
頑張れ~。さて、お姉ちゃん、いきなりですがここで問題です!gTLDは何種類存在しているでしょう?
ずいぶんいきなりだね!(笑) gTLD、一般トップドメインのことよね。com、org、netでしょ……う~ん、100%勘で100種類!
ぶっぶー!正解は22種類でした!
えー!たったの22種類!?意外と少ないね。
でしょう?これでも段階を踏んで少しずつ導入されてきたんだよ。でも、近年より多くのTLDを導入する必要性が高まってきたから、ついにトップレベルドメインが自由化されることになったんだよ。
トップレベルドメインの自由化?どうゆうこと?
従来の22種類に限定されず、好きな文字を組み合わせてTLDを登録していいってことだよ。これによって、企業名や地名、一般名称をトップレベルドメインに使用することができるようになったの。トップレベルドメインの自由化に伴って誕生したドメインは新gTLDと呼ばれているよ。
新gTLD?すごい!
たとえばお姉ちゃんの会社名の【terachic】、これをトップレベルドメインとして登録することも可能だよ。ブランド名や企業名がTLDになっているものは、ブランドTLDと呼ばれているよ。新gTLDの最大の特徴は、トップレベルドメインを一般企業や団体が所有できるようになったことかな。レジストリの役割を担うことになったんだよ。
レジストリ、レジストリ…各トップレベルドメインごとの管理組織のことだね。企業や団体が管理する側になるってことか。
そうだよ。ここは大切なポイントだから覚えておいてね。さて、新gTLDを登録申請すると、ICANNによる審査が行われるんだけど、審査のポイントはふたつあるよ。ひとつは文字列。そしてもうひとつは申請する組織の能力だよ。
ふむふむ…。
まず文字列ね。自由度が高い新gTLDだけど、著名な商標や地名は保護の対象となるよ。その場合、権利者から同意書をもらう必要があるんだよ。例えば、【.tokyo】であれば、東京都の同意が必要になるの。次に、組織の能力について。
能力?
新gTLDの申請者はレジストリになる可能性がある団体だから、安定的に運用ができる能力が求められるの。能力とはずばり経済力!そのため、裏付けになる財務調査などがチェックがされるんだよ。まあ、新gTLDを申請するためには数千万円必要と言われているから、ある程度の経済力を持った企業・団体でないと難しいよね。
数千万円払って、ドメインの管理者になるの??ブランドTLDを企業が持つメリットって一体何~?
まずは、侵害の防止かな!下の図を見てみて。
例えば、【.com】でWebサイトを運用している場合、【.comビル】の一室を借りて、【terachic】の表札(ホスト名)を出しているイメージなの、賃貸オフィスだから、他の企業さんも別の部屋を借りていて、それぞれの表札を出しているんだね。
ちょっとちょっと!102号室に【 terachìc.com 】ってうちの会社と似た表札(ホスト名)を出して怪しいWebサイトを運用している人がいるんだけど!
「i」の部分が、イタリア語などで用いられるアクセント記号「ì」になってるね…。 前回のレッスンで言ったけど、ホスト名はドメイン取得者が自由に指定をできる文字列だからね。空きがあれば誰でも取得ができるんだよ。
ああ…そっかあ…。悔しいけど仕方がないことなのね。でも表札をよく見ないと、訪問する人が間違えちゃう可能性もあるよね。
その通り。さて新gTLDの場合は、どう変わると思う??下の図を見てみて。
【.terachicビル】は自社ビルだ!ん?悪い人たちが部屋を借りること(ドメインを取得すること)を拒否してる?
新gTLDの場合、.terachicビルのオーナーはお姉ちゃんの会社なの。だから、それぞれの部屋に入っているのもお姉ちゃんの会社の部署や、関係会社に限定されているんだね。お姉ちゃんの会社が管理者だから、悪い人たちが部屋を借りよう(ドメインを取得しよう)としても取得拒否ができるんだよ。同時に、会社のWebサイトは【.terachic】のドメイン以外では運用しませんよ~!と周りにアナウンスしておけば、訪問する人も間違えにくくなるよね。
なるほど、それが侵害防止のメリットだね!
正解!
ふむふむ!他にもメリットってあるの?
もちろん!お姉ちゃん、【terachic.com】と【global.terachic】を見比べたときに、視覚的にお姉ちゃんの社名がより強調されているのはどっちだと思う?
うーん、TLDだけでブランド名を表している【global.terachic】のほうかな?
そう、ブランドTLDは他のサイトとの差異化を簡単にできるの。ブランドTLDを通じて、ユニークなブランドであることをインターネット上でエンドユーザーに伝えることができるんだよ。
なるほど~!だから結果として企業のブランド力向上に繋がるのか~!ん?とすると…ブランドTLDってWeb上のブランドそのものってことにならない?
お姉ちゃん、冴えてるね!そうなの、実はブランドTLDに限らず、ドメインってブランドそのものに値するんだよ!ドメインは従来、IPアドレスを人間が分かりやすくしたもので、インターネット上のID・識別子という位置付けだったの。だけど今はその枠を超えてブランド資産の役割を担っているんだよ。商標や特許と同じ、知的財産のひとつなんだよ。
なるほど!だからドメインはコーポレートブランド戦略部で管理するのか~。
そういうこと。もちろん会社によって管理している部署は変わってはくるけどね。リスクマネジメントを含めた管理が大事になんだよ。さて、話をもとに戻して、新gTLDの他のメリットも含めてまとめてみたよ!
こんなにあるんだね!
うん。莫大なお金はかかるけど、費用対効果は高いんじゃないかな。ブランドTLDの他にも【.tokyo】や【.osaka】といった地名や地域名の新gTLD、【.shop】や【.music】といった一般名称の新gTLDもあるよ。それぞれ上手く使えば、利用者は何のWebサイトなのか認識がしやすくなるね。
ドメインって奥が深い!
知れば知るほど面白いよね。ふう…なんだか今日はいっぱいしゃべったなあ!今回の内容もまとめておいたよ。以上、本日のレッスンを終了します!
颯希先生ありがとうございます!お疲れさまでした~!
3話目はこちらからチェック?
https://brandtoday.media/2019/08/29/domain-yuka-series3/
登場人物は下をチェックしてね!
https://brandtoday.media/2019/08/27/domain-yuka-series-bangaihen/
〈ライタープロフィール〉
千葉 やよい(ちば やよい)
GMOブライツコンサルティング株式会社
IPソリューション部/ドメイン担当
2012年に入社。 BRANTECT、商標コンサルタントを担当したのちドメインコンサルタントに就きました。ガイドラインや、ドメイン関連記事を作成しています。ドメインについては現在進行形で勉強中!初心者様にも分かりやすい記事作りを心がけています。趣味はゲーム、アニメ、散歩。
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