街を歩いていて焼き鳥屋さんから漂う香ばしい香りに刺激されて今日はランチを焼き鳥にしようかなと思ったり、キンモクセイの香りがするようになるとそろそろ秋だなぁと思ってしみじみしたり、ある石鹸の香りで祖母の家を思い出して懐かしくなったり…。
こうした経験をしたことのある方は多いのではないでしょうか?
嗅覚と記憶の関係性については、科学的な見地からの研究も行われているようです。
このように、ある香りを嗅ぐことでそれが記憶と紐づいて何かを思い出すこと。
今、企業のブランディング方法の1つとして注目されています。
LEXUS、SHIPSの香りを使用した取り組みとは…
トヨタ自動車が展開している高級車ブランド「LEXUS」のショールームでは、季節ごとに違うアロマの香りを漂わせているようです。そしてそのうち一部の香りを、LEXUS販売店で購入できるように商品化しています。
また、衣類・小物類を販売するセレクトショップ SHIPSの店舗では、MENS・LADIESそれぞれCASUAL、DRESS等といった服装の系統によって合ったアロマを使用しているそうです。
「SHIPSオリジナルのアロマオイルです。SHIPS各店のMENS CASUALフロアでたいているアロマと同じ香りです。」との表記がありました。
アロマ系商品はSHIPSで人気のようで、ホームグッズカテゴリーランキングの1位から3位は3つとも店舗で使用されている香りのするディフューザーやアロマオイル等のアロマ系グッズでした。
調べていても、あのSHIPS店舗の香りが良い、家でもSHIPS店舗と同じ香りを使ってみたいというような声が散見されました。
このように、香りの効果は、その時その空間を快適に過ごせるようにするというものだけではなく、その香りを嗅ぐとその店舗やブランドを想起させる、というようなところまで広がっているようです。
音でもブランディング?
ここまで香りに関するブランディングの話でしたが、音を使ったブランディング方法も近年増えてきているようです。
例えば、「工業用バーナーの燃焼音」、「山手線大塚駅周辺のまちの個性を表す音」、「製品プロトタイピングの過程で発生する独特な音」…
この文字を読んでもピンとは来ないかもしれませんが、なんとなくこんな感じの音かな~という想像はつくのではないでしょうか?
上記サイトで私も音を聞いてみました!
どの音も聞けば、ああ~その音だ、と思える身近な音でした。
これは、株式会社オトバンクと株式会社QUANTUMが、SOUNDS GOODという音によるブランディッドオーディオレベルを設立し、その事業の1つです。
公式サイトには「そのブランドの音がある。その企業の音がある。その商品の音がある。企業の中に埋もれている”音の資産”を多くの人が楽しめるコンテンツへと価値化し、聴覚でブランディングするサウンドコンテンツを提供する新しいレーベル。」と書かれています。
(引用:https://soundsgoodlabel.com/about/)
このように企業の持つ「音」を、コンテンツとして使用し、アーティストが楽曲を制作する取り組みも行われています。
ブランディングの方法は、音にまで広がりをみせているんですね!
まとめ
2015年4月に新しい商標として、日本でも立体、音、動き、ホログラム、色彩のみ、位置を客体とする商標が認められるようになりました。
(過去記事参考:「商標を学んでみた!新しい商標ってどんなものなの?」)
まだ日本では香りについてまでは認められていませんが、フランスやアメリカ等では実際に香りも商標制度の保護対象となっています。
例えばアメリカでは、大手電気通信事業者である Verizon Wireless 社が 店舗内で使用されているflowery muskの香りを登録しているようです( US Registration Number:4618936 )。
他にも、 Grendene 社によるサンダルのバブルガムの香り( US Registration Number:4754435 )等が登録されています。
また、身近なところでは日本の久光製薬によるシップのミントの香りも( US Registration Number:3589348 )。
これからの日本の商標制度の広がりに注目しつつも、企業それぞれの面白いブランディング方法にも着目していきたいです!
【LEXUS】は、トヨタ自動車株式会社の登録商標です。
【SHIPS】は、株式会社シップスの登録商標です。
【SOUNDS GOOD】は、株式会社QUANTUMの登録商標です。
GMOブライツコンサルティング株式会社
IPソリューション部/商標担当
consul@brights.jp