<アメリカ商標>使用宣誓制度において厳格化された使用証拠の要件とNG例をご紹介!

前回の記事に引き続き、アメリカの使用宣誓制度について最近厳格化された使用証拠の要件やどういった証拠が適切なのかということをおさらいしたいと思います。

     

目次
1.近年追加された使用証拠の要件
2.どういった使用証拠が適切か
3.意外とよくあるNG集

      

1.近年追加された使用証拠の要件

2019年12月21日より、アメリカ特許庁は使用証拠の要件を追加すると発表しました。

今回のルール変更の目的は偽装証拠に対する審査官の拒絶権限の拡大です。

ポイントとしては主に以下2点です。

①ウェブサイトのスクリーンショットの場合にはURL及び日付の表示が必要

②製品包装の場合には、その製品の全体像の写真も必要

特に大きなポイントは「①ウェブサイトのスクリーンショットの場合にはURL及び日付の表示が必要」になったことです。

商品に対してウェブサイトのスクリーンショットを証拠として提出する場合には、以前の記事でもご紹介した通り、注文ボタンなどの購入手段が明示されている必要がありますが、さらにウェブサイトのURLと、そのスクリーンショットをとった日付が証拠において確認できることが求められるようになりました。

アメリカで求められる使用証拠は「商取引上の使用」であり、商品の場合にはその商品自体や商品のパッケージなどに当該商標が印字されていることがわかる写真が望ましいです。

近年ではインターネット上での取引が盛んに行われるようになりましたので、ウェブサイト上でアメリカ国民が購入できるようになっていることがわかる証拠であれば認められるようになっています。

しかしここで問題も出てきました。

パソコンでデジタル加工が誰でも簡単にできるようになったため、ウェブサイトの使用証拠に見せかけた証拠を提出する者が出てきたのです。

そこでこの度、アメリカ特許庁としては、ウェブサイトの証拠の中にURLと日付の表示を求めるようになりました。

URLは誰でもアクセスすることができるので、もしデタラメなURLを印字して提出した場合には簡単に審査官に見抜かれてしまいます。

実際に、ショッピングサイトのスクリーンショットを使用証拠として提出した際に、その証拠のURLから審査官が実際のウェブサイトを確認していることがわかりましたので注意が必要です。

さらに現在、2020年8月3日期限で印紙代の値上げに関するパブリックコメントが募集されています。

今後はオーディットプログラムに対して指定商品・役務を削除して応答する際に、印紙代を支払う必要が出てきそうです。(現在は不要)

改めて使用主義が徹底され、オーディットプログラムが強化されていることが伺えます。


2.どういった使用証拠が適切か

どういった証拠を提出したら良いのでしょうか、どのような証拠を出せばいいのかわからないというご相談をいただくことがあります。

今は様々な商品・サービスがありますので、一概には言えませんが、端的に言えば「誰もがその証拠を一目見ただけで、当該商標を指定商品・役務に対して商取引上使用していることがわかるもの」です。

使用証拠をご手配いただく際には①「誰もが」(つまり客観的に)②「当該商標を」(登録商標と同一のものを)③「指定商品・役務に対して商取引上使用していることがわかる」(どういった商品・役務か証拠から読み取れる)という3点を意識して集めていただくと、審査官に認められやすい証拠になると思います。

具体的な証拠例については以前の記事やアメリカ特許庁のサイト(Examples of acceptable specimens⇒See examplesをクリック)にもありますのでご参照ください。


3.意外とよくあるNG集

上記の適切な証拠を踏まえたうえで、意外とよくあるNG集をご紹介します。

①登録商標が確認できない

商品そのものやサービスを提供している施設が大きいため、各指定商品・役務に対する証拠においては登録商標が確認できない場合が意外とあります。

また、スーパーなどに陳列されている実際の商品を撮影した写真では、商標が印字されている部分が不鮮明で確認できないケースがあります。

登録商標が証拠から確認できない場合はそもそも使用証拠になり得ません。

②登録商標と同一ではない

時間が経つにつれて、登録商標の態様が流行とともに少しずつ変わってしまうケースがあります。

例えばロゴの書体が変更になったり、カラーで登録されたのに白黒で使用されたりしているケースです。

標準文字(Standard Character)で登録されている場合には、その文字が読み取れる程度の変形であれば問題ありませんが、登録商標のフォントが特定されていたり、カラーが指定されていたりする場合には、登録商標が使用されていないとして、オーディットプログラムの対象になるリスクがあります。

③どんな商品・サービスなのかわからない

「商取引上の使用」に引っ張られるからか、その商品・サービスの取引における注文書や請求書を使用証拠としていただくケースがあります。

ですが、注文書や請求書ではいったいどんな商品・サービスなのかが客観的にわからないことがほとんどです。さらに、商品の型番で取引されているため、①のように商標が確認できないケースもあります。

したがって、注文書や請求書が認められるケースは、ハウスマーク以外にはほとんどないと言っても過言ではありません。

④販売(提供)されていない

ウェブサイトのスクリーンショットで在庫切れなどを理由に「Currently unavailable」や「Out of Stock」の表示が出ているケースがあります。その場合は現在販売(使用)されていないことになりますので証拠として認められません。

使用宣誓は「今も使っていること」を宣誓するものですので、過去に販売されていたとしても、宣誓時に使用されていなければいけません。

また、国外(アメリカ)への送ることができないという設定になっている場合も同様です。

⑤販売(提供)されていることがわからない

広告やSNS、パンフレットで使用されているものを証拠としていただく場合がありますが、アメリカの使用証拠としては適切ではありません。

広告やSNS上の宣伝は誰でも可能ですし、本当に販売(提供)されているのかわからないためです。

また、ウェブサイトで商品紹介がされているケースも同様に販売されていることがわからないため、NGとなります。

ただし、サービスは実体のないものがほとんどですので、役務の場合にはウェブサイト等でサービスについての紹介があり、アメリカで提供されていることがわかる(例えば住所や問い合わせ先の電話番号がアメリカのものである)場合には認められる可能性があります。

弊社では様々なお客様の数々の証拠を見てきた経験から、その商品やサービスに沿って適切な証拠のご提案が可能です。

お困りのことがございましたらお気軽にご相談ください。

     

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<ライタープロフィール〉
坂本 佳織 (さかもと かおり)
GMOブライツコンサルティング株式会社

商標部