周知商標の特別保護は、国際的な知財制度において重要性を増しています。
フィリピンもこの動きに歩調を合わせ、2025年4月28日より新たな登録制度を開始します。
本記事では、同制度の判断基準や手続き、実務上の留意点を整理します。
🔹 フィリピン:「周知商標の登録」を開始
フィリピン知的財産庁(IPOPHL)は、2025年4月28日付で周知商標の登録(Register of Well-Known Marks)を開始します。
IPOPHLは、公式ウェブサイトにおいて、「Memorandum Circular No. 2025-009」(周知商標の宣言および登録の創設に関する規則)を発行し、周知性を判断するための基準、手続きのタイムライン、有効期間等を明示しました。
🔹 IPOPHLが定めた判断基準と手続き
周知商標か否かを判断する際、IPOPHLは「一般大衆全体」ではなく「関係する特定の業界または公衆層」における認知度を重視します。
加えて、規則第5条において12の判断基準を挙げ、そのうち以下の4つの基準が必須とされています。
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- 商標の使用期間、その範囲、使用された地理的地域
- フィリピン国内および他国における当該商品・役務の市場シェア
- 商標の内在的な識別力または使用により獲得された識別力の程度
- 商標が獲得した品質、イメージ、または評判
🔹 登録の有効期間と更新
商標が周知であると正式に宣言された場合、IPOPHLの電子官報(e-gazette)に公示され、10年間有効となります。
この周知商標の地位は、継続使用と周知性の証明を提出することで、さらに10年間更新することが可能です。
📌実務上のポイント
- 既に海外で高い認知度を持つブランドにとっては、フィリピン市場での保護強化の手段となります。
- 今後参入を予定している企業にとっても、制度内容の把握は戦略上の準備材料として有効です。
|出所|フィリピン知的財産庁(IPOPHL)
Memorandum Circular No. 2025-009
・覚書回覧第2025-009号 – 周知商標登録の宣言および作成に関する規則および規制
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