新gTLDのプログラムが2012年にリリースされて以来(ファーストラウンド)、新しいドメイン名の種類が大幅に増加し、現在では全体のドメイン件数の約10%を新gTLDが占めるまでに成長しました。
この割合は、インターネットのドメイン構造における選択肢と多様性が拡大していることを示唆しています。
本記事は、ブランドTLD、ブランドTLD取得方法、新gTLDの現在の利用状況について解説いたします。
📣ブランドTLDってなに?
ブランドTLDとは、企業が自社のブランド名をインターネット上でのアドレス(ドメイン名)として使用できるようにするもの(例:.gmo、.google、.appleなど)です。
新gTLDの導入により、これまでよりも多様なドメイン名が使用可能になっています。
新gTLDには一般名称、地域名称、コミュニティ名称、そしてブランドTLDが含まれ、現在では約570件のブランドTLDが存在し、グローバル企業約390社がこれを取得・運用しています。日本企業も43社が47件のブランドTLDを取得しています。
📣ブランドTLDの申請対象は?
ブランドTLDの取得には、ICANNによる厳格な審査があり、一般的なドメイン名よりも高いブランド保護と安全度が期待できます。また、ドメイン名にブランド名を直接使用することで、インターネット上でのブランドの信頼性を高めることができます。
申請の際、以下の条件を満たすことが必要です。
1)3文字以上であること
2)以下の文字列(Reserved Name)に該当しないこと
a)ISO 3166-1(国名コード)に存在する文字列
例)JPN(日本) AUS(オーストラリア)
b)国名
例)JAPAN Greece
c)その他ICANNが予約する文字列
例)NIC Whois APNIC TEST WWW
📣ブランドTLD取得までのステップは?
ブランドTLDを取得するまでには、いくつかのステップと要件があります。
①ICANNへの申請: ブランドTLDを取得するためには、ICANN(インターネットの名前と番号を管理する国際的な非営利組織)に申請する必要があります。ICANNは、TLDの割り当てや管理を監督しています。
②要件の確認: ICANNによるTLD申請は、特定の要件と基準を満たす必要があります。
1)ビジネスプロポーザル
新gTLDを取得・運営する目的と運用プランを提示する必要があります。
2)財務の安定性
ビジネスプロポーザルに沿った新gTLD運用をするために十分な資金があるかを証明する必要があります。
3)レジストリ運用の技術力
レジストリとして、DNS等の運用を安定的に行うことができる具体的な設備と技術力を証明する必要があります。
4)レジストラ機能
ドメインネームの登録をレジストラができるような仕組みを提供する必要があります。
申請者は、これらの基準を満たすことができることを証明する必要があります。
③申請書の提出: 対応する申請書と必要書類をICANNに提出します。このプロセスには、詳細なビジネスプランや運用計画の提出も含まれることがあります。
④審査プロセス: 提出された申請は、ICANNによる審査プロセスを経ます。これには、技術的評価、財務評価、および公共の利益に関する評価が含まれることがあります。
⑤申請料の支払い: ブランドTLDを申請するには、単純なドメイン名登録とは異なる申請料が必要です。この費用は、厳密な審査実施するための費用とTLDを管理するための継続的な費用を反映しています。
⑥契約締結: 審査を通過した申請者は、ICANNとの間で契約を結びます。この契約には、TLDの運用条件や管理責任などが定められます。
⑦TLDの運用開始: 契約締結後、企業はTLDの運用を開始できます。これには、ドメイン名の登録サービスの設定や、技術的なインフラストラクチャの構築が含まれます。
📣ブランドTLDの申請費用
新gTLDの取得には、申請費用として185,000ドル(前回申請時の参考値です。次回申請費用は未定。)で、この費用はドメイン名の申請評価やリスク排除、システムの維持管理などに使用されます。これは、インターネットでの新しいドメイン名を管理・運用するための基盤となる重要なプロセスを支えるためのものです。
📣ブランドTLDの取得メリット
ブランドTLDの取得と運用にはコストや手間がかかる場合もありますが、下記のようなメリットを考慮すると、多くの企業にとって価値のある投資となるでしょう。
①ブランドアイデンティティの強化
ブランドTLDを使用することで、企業のオンラインでの存在感とブランドイメージを強化することができます。独自のドメインは、ブランドの独自性と専門性を際立たせ、信頼性を高める効果があります。
②顧客の信頼性向上
ブランド固有のTLDを持つことは、顧客に対して安心感を与え、セキュリティが強化されているという印象を持たせることができます。これは、フィッシング詐欺や偽造サイトとの区別にも役立ちます。
③コスト削減
保護ドメインや使用済みドメインの肥大化を防ぐことができ、予算の抜本的解決を図ることができます。
📣先行してブランドTLDを取得している企業は?
トヨタ自動車は、2019年のコーポレートサイトのリニューアルに伴い、自動車業界でグローバルに事業を展開する中で「.toyota」というブランドTLDを採用しました。
この戦略により、インターネット上でのブランドの認知度を高めるとともに、顧客に向けて、安全かつ信頼できるオンライン環境を構築することを目指しています。
また、本田技研工業株式会社(ホンダ)も、自動車業界におけるブランドTLDを先駆けて取得した企業の一つであり、「.honda」というTLDを使用しています。
このTLDを利用することで、インターネット上でのブランドの一貫性を保ちつつ、より信頼性の高い情報源として顧客に接し、新しいウェブサイトやキャンペーンページの展開を通じて、ホンダ製品に対する興味や情報を求めるユーザーに対してより直接的にアプローチできるようになります。
このように、それぞれ独自のブランドTLDを活用し、インターネット上でのプレゼンスの強化と顧客との信頼関係の構築を図っています。
📣新gTLDセカンドラウンドの実施!
2026年2Qに新gTLDの申請第2ラウンドを開始することをICANNが公表しています。
上記でもご説明した通り、企業が自社のブランドをインターネット上での住所として使えるようにする機会です。
自社専用のドメイン名を持ちたい企業にとって大切なニュースですが、この申請プロセスはシステム構築も必要であり自社対応は難しいものです。申請を行うにあたっては実績のあるコーポレートレジストラと共に進めることを推奨します。
ブランドTLDの取得を考えている場合は、今のうちから既存ドメインのマネジメントの見直しを行い、そのうえで申請準備をしていきましょう。
まとめ
ここまで、ブランドTLDの定義とメリットを見てみました。
企業においてドメインネームはインターネット上のID・識別子としての機能を超えて、今やブランドそのものに値する価値を持つ「ブランド資産」の一つとなっています。
特に、ブランドTLDは簡単に他のサイトとの差異化ができる様々なメリットを持っています。そのため、ブランドTLDの運用はその価値を認識した上で戦略目標とそれによって得られる効果に注目し、企業全体のブランド・コミュニケーションの下でブランドTLDを含むドメイン戦略を検討する必要があります。
GMOブランドセキュリティは、現在ブランドTLDを運用している国内有数の大手企業及び今後第二ラウンドでの取得を検討している企業にブランド戦略コンサルティングを提供しています。ドメインネームをブランド資産の一つとして捉え、ドメインネームに留まらず各ブランド・コミュニケーションのバランスと全体像を見ながらより価値を高める戦略を提供しています。
圧倒的な日本国内のブランドTLD顧客シェア!私たちがお悩みに寄り添ってお答えします。
GMOブランドセキュリティでは、本サービスはもちろん、不正ドメイン対策やドメインネーム管理など、ドメインネームマネジメントに関するご相談も承っております。
\ご相談はこちら/
【お問い合わせ】
GMOブランドセキュリティ株式会社
TEL:03-5784-1069