ドメインマネジメントガイドライン リニューアルのプロセスから見える株式会社リコー様の部門を超えたブランド=ドメイン管理の当事者意識 【前編】

GMOブライツコンサルティングでは、ドメインネームを単なるWebのツールではなく、企業のブランドを支える資産だと考えており、管理の代行や管理ツールの提供だけではなく、お客様が社内でドメインネームマネジメントをスムーズに推進いただくためのガイドライン策定・リニューアルも承っております。

今回は、他部署や経営層からなかなか共感を得にくい「ドメインのブランド資産としての重要性」に関して、社内認知がしっかりとなされているお客様、
株式会社リコー コーポレートブランディング室 戦略ブランディンググループ 林 裕子様より、
お話を伺うことができました。
               

株式会社リコー様は、1st.ラウンドで、ブランドTLD「.ricoh」を取得されるなどドメインをしっかりブランディングの必須要素だとご認識されている企業という印象ですが、今回のガイドラインリニューアルでも、何か意識されたところはありますか?

「.ricoh」を取った当初は、勿論ドメインを「資産として大切に管理」してはいましたが、私自身も、社内の位置づけ的にも、宣伝広報部門の中の「Webの担当領域」の中で関わっているという状況でした。やるべきことはしっかりやっていましたが、「ドメインはブランディングの必須要素だ」という認識が強く反映されたアクションが明確に推進されているかというと、そこまでではありませんでした。

空気が変わってきたのは2019年辺りからです。組織が変わり、Webの領域が宣伝広報部門の一部から、経営直轄の「戦略ブランディンググループ」という部門に変わりました。
私が担当していたWebという顧客接点が、「経営理念に紐づく具体的アクションの一環」として明確に捉え直され、これがきっかけで、ドメインに関してもWeb担当だけが気にしていれば良いというものではなくなり、経営層や、ブランディングに関わるメンバー全員にとって「自分ごと」になってきました。
さらにそのタイミングで、こちらからも「ドメインを侵害されることは、経営のリスク」という認識が定着するように働きかけています。リスクマネジメントを管轄する部門へもはたらきかけ、ドメインへの取り組みやインシデント対応について、リスクマネジメント報告会で経営層への報告も行いました。

また、社外でも、Webなどのインターネット環境やデジタルデバイスの普及度・進化にも様々な変化があったと感じています。世界中に急速にスマホが普及しましたし、それに伴って、デジタル上で情報を開示する、閲覧する、取引を行うといったことも当たり前になってきました。それらに連動して、ドメインで悪さを企む輩も増えていることは脅威です。幸い、お客様や一般消費者から被害者が出るという最悪の事態は免れましたが、当社も例に漏れず、ドメイン周りのインシデントを経験しました。4・5年前では考えられなかったことです。

こういった中と外の変化に合わせ、ポリシー、ガイドラインのリニューアルを検討し、リニューアル版では、とにかくドメインを取る時、捨てる時の判断基準となる大上段のポリシーを体系的に明示しました。インシデントに関しても、その元凶である「悪意のある第三者」という「敵」を世界中どこの拠点の実務者でも明確に意識できるようにし、現場が会社の「大枠の方針」にしっかり添えるように意識しています。
ポリシー、ガイドラインとは、そもそも会社をインシデントから守るためにあると思いますが、そこをより強化し、「機能させる」ための工夫をしています。

「ドメインが悪用されたら大変なことになるぞ!」と危機感を持っているのはWeb周りのご担当者様ばかりで、他部門の方々にとってドメインは他人事…。むしろ「ドメイン」という響きで「Webの部署の人たちの話」というバイアスがかかり、余計に理解が得ずらく、まして経営層や海外拠点、代理店には全く響かない…。という声をよく耳にしますが、組織や仕組の方から「ドメインに関する課題の自分ごと化」が進むというのは理想的ですね!

また、ガイドラインを細かな作業マニュアルのようにしてしまうのではなく、実務担当も経営直轄の戦略ブランディング部門と同じ方向を見て、同じ目線で判断できるようにというポイントも、実務者目線をとても大切になさっているという印象です。

実は、ドメインではないのですが、過去にWebのガイドラインの運用で一度、苦い経験があり、今回はその時に得た教訓も生かしています。

当時は、「これが当社のWebのルールです!」という形で、世界各国の拠点の担当者に厳格に一律の対応を求めました。しかし、日本を含め比較的文化の近しい東アジアの拠点は順応できたものの、他の拠点では「最低限ここまでやれば後は自由」…とラインをやぶられてしまったり、さらにそこからローカルルールのようなものができてしまうなど、本意でない結果になりました。
各国拠点の状況は様々ですし、国や地域によって文化や考え方も違います。更に人間である実務者個々の考え方やキャラクターも個性豊かなので、機械的に「合わせなさい」と、金太郎飴のような対応を期待しても目指すマネジメント効果は得られないのが実情です。

また、各拠点のマーケティングやコミュニケーション領域の担当者は、まさに自分たちが対峙しているマーケットの特性にそれぞれ合わせた「最良」を模索して頑張っているので、それをルールで縛って阻害したくないという気持ちもありました。私自身もともとWebの担当者だったので当時の感覚は今もまだ持っています。当時期待通りの一律の対応は返ってきませんでしたが、彼らのマインドを否定したくはありませんし、理解できます。

また、海外だから、国内だから等は関係なく、当社の社風、社員のマインド上、基本的に「自由はダメじゃない」、自由に自律的にチャレンジしていきたいというタイプの社員も比較的多いと感じます。そういう風土の中で、「やりやすさ」と「守るべきポイント」のバランスを取っていきたいと思っています。

実際にガイドラインの骨組みをつくる弊社のコンサルタントも、前職一般企業でドメイン管理をしていた経験から、納品後のガイドラインが形骸化しないように、現場実務者の理解を得られず無視されるようなことがないようにと常に意識していると話していました。

これからガイドラインを作ろうとしている他の企業様にとっても、スムーズな運用を目指すために示唆に富んだお話だと思います。

ドメイン管理のポリシー策定やガイドラインは、実際に一般企業でドメイン管理を担当したこともある、経験豊富なコンサルタントが、実際の現場状況にあわせた調整や、導入後の細かなご相談ご質問まできめ細かに対応し、ドメインとブランドの安全を第一に、作成いたします。

まだガイドラインを持っていない企業様も、既存のガイドライン見直しの時期と感じられる企業様も、お気軽にお問合せください