いよいよ商標法施行のミャンマー。知っておかないと損をする。現行制度からの移行とソフトオープニング期間とは?【ミャンマー商標法施行シリーズ】

ミャンマーでは2019年に商標法が制定されました。
その商標法がいよいよ施行されるにあたって、現行制度との移行期間「ソフトオープニング」が発表されました。

この記事では、ミャンマーの現行制度と新制度、移行期間「ソフトオープニング」についてご説明するとともに、ミャンマーでの商標取得について知っておかないと損をするお得な情報をお届けします。

ミャンマーの商標、その現行制度

現在ミャンマーには、他国のような商標登録制度はなく、先使用の概念をベースとした「登記法」に則り、「登記所」に商標所有権を登記(「所有権宣言手続き」)し、新聞などの媒体に「警告通知」を出すことになっていました。

しかし、この制度の下だと、商標の侵害があった場合であっても、「登記」を理由とした差し止めが行われることはなく、民事裁判の証拠として扱われるにとどまるなど、ブランド侵害時における課題があり、他国と同様の商標法の制定が待ち望まれていました。

そしていよいよ、2019年1月にミャンマー大統領の署名と承認を経て、商標法の他、特許法、意匠法、著作権法を含めた新知的財産法が制定されました。

新商標法の施行時期とその特徴は?

まず、新商標法の特徴として挙げられるのは「先願主義」です。
他のアジア諸国と同様に、ミャンマーもまた「先願主義」を採用しました。
いわゆる早い者勝ちとも言える「先願主義」は、先使用を特徴とした「登記法」とは異なる、大きな特徴の一つと言えます。

また、一出願多区分制であるために拒絶通知時のデメリットや対応も念頭にいれておかなければなりません。

気になる印紙代のお値段は未定ですが、現状の登記印紙代が20USDであることを考えると、タイ(1000バーツ≒3500円)などの近隣諸国と同程度の価格に上げてくることは考えられます。

最後に施行時期ですが、次項でご説明するソフトオープニング期間を経て、グランドオープニングは2021年の4月あたりになるのではないかと憶測されています。

ソフトオープニングとは?

2020年10月1日から、グランドオープニングへの移行期間と言われる「ソフトオープニング」が開始されました。

わかりやすく言うと、「ソフトオープニング」は現行制度下の商標登記者に対する優遇措置になります。

ソフトオープニング期間中は以下の2つの権利が優先的に再出願可能です。

1.すでに現行制度で「登記所」に商標登記(「所有権宣言手続き」)をしている
2.登記所に登録はしていないが、ミャンマー国内で使用している(先使用主義的措置)

また、指定商品役務については、登記の内容と同様でしか出願はできません。
つまり指定商品役務を追加したい場合は、追加に商標登記(「所有権宣言手続き」)をしないといけませんし、登録していない場合は使用証明が求められます。

知っておかないと損をする。その1

もし、あなた(御社)が現在、ミャンマーで商標登記をしている場合、ソフトオープニング期間中に出願をしておかないと、新しい先願主義をベースとした新商標制度では、権利の維持がかなり困難になるかもしれません。

ソフトオープニング期間中に出願をしないことは、結果として商標の不更新と同様の効果となりますので、注意が必要です。

知っておかないと損をする。その2

もし、あなたが商標の登記をまだしていなかったとしても、上記のように使用証拠を提出することで出願することが可能です。また、ソフトオープニング期間内に商標登記(「所有権宣言手続き」)をすることによって、優先的に再出願をすることが可能です。

このパターンですと、登記と再出願の2回の申請が必要になりますが、より確度の高い権利取得方法といえます。

誰に頼めばいいのか?

ミャンマーの商標法はまだ施行もされていません。

実績のある国際特許事務所に依頼すればスムースに権利取得ができるかもしれませんが、お値段のほうもそれなりにかかってしまいます。

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