googleのpublic dnsのホスト名から見えるブランドTLDの新たな利用方法と可能性【ブランドTLD・新GTLD】

ブランドTLD・新gTLDの第一回募集から早8年が経過しました。実際に運用が始まったのが2015年辺りからですから、それでも5年が経過したということになります。

ICANN68クアラルンプールでも第二回募集用の申請者ガイドラインは折り返しを迎え、2020年のファイナル版発行に向けて急ピッチに動いています。

ということはですが、第二回の募集がこの数年にはやってきます。第一回を逃した方にとってはやっとチャンスが到来ということになります。

旧来はウェブ・メールで利用してるというだけの例が多かったですが、最近では、IoT、5G、情報セキュリティ意識の高まりによって、その利用の仕方は変わりつつあります。

今回はいくつかその事例を紹介してみたいと思います。

    

Google パブリックDNSは、「.google」を利用

「8.8.8.8」と見ると、「あー、GoogleのパブリックDNS」のIPアドレスと気づく方も多いと思いますが、このパブリックDNSのドメインネーム(ホスト名)、実は「dns.google」を使用しています。以下、ドメインネームとIPアドレスの結果を見てみてください。(ANSWERを見ていただくとわかります。)

出典:G suite Toolbox Dig

DNSSECの普及が進まない中、Googleがキャッシュポイズニングなどの被害からユーザーを遠ざけるためにパブリックDNSをリリースしたわけですが、その裏にブランドTLDが潜んでいたということです。

更に、このdns.googleをdigで調べてみると、このドメインネーム自体も、.googleの中で動いていることが分かります。

出典:G suite Toolbox Dig

ネームサーバー(NS)がzdns.googleで運用されていることが分かります。GoogleはSSLも然りですが、徹底的にウェブの信頼を揺るがないようにするために自社コントロールがしやすい環境を整えていると言えます。

また、IoTや5Gが加速的に発展していく中で通信をいかに最新に保っておくかは重要な課題になりますが、レジストリのレベルからTTLをコントロールすることができるのも狙いなのかもしれません。

   

アプリやサービスへのショートカットとして機能するGoogleの「.new」

ブランドTLDのようなクローズドTLDではありませんが、自社のサービスのような形TLDを利用する使い方が、「.new」です。

以前もBRANDTODAYでは特集をしましたが、これは画期的なショートカットです。

スプレッドシートを開きたければ、URLバーに「sheet.new」と入力すれば、新規スプレッドシートが立ち上がります。わざわざGoogle Driveを立ち上げる必要はありません。同様に、「slide.new」「doc.new」と入力すれば、スライドショーや文書ツールが立ち上がります。

   

   

今までだとメモ帳を開いて、メモをして、保存しようと思ったらシステムが落ちてデータが消えたということがよくあったと思いますが、Googleのツールではオンラインであれば自動保存がされますので、そんなことも以後なくなります。Googleはオンラインでつながっている限り、ブラウザのホーム画面からすべてのことはできますよ、と言わんばかりの世界を作りだしていると言えます。

ちなみに、「.new」はGoogleが専用で利用しているわけでないので、こんな会社も「.new」を活用しています。

  

spotify「playlist.new」

   

bitly「link.new」

  

非常に便利な新しいショートカットです。是非お試しいただければと思います。

   

レガシーTLD(.com .net)から「.azure」へ

世界最大のソフトウェア開発会社である Microsoft は、何十億もの IoT デバイスを接続、監視、制御できるクラウドプラットフォーム Azure IoT を提供していますが、過去から利用してきたレガシーTLDだけでなく、.azureを提供サービスに利用していくなど、徐々にIoTを意識した利用の仕方を広げています。.azureを利用することで、サービスのメンテナンス性の向上もされているとの報告がブランドTLD保有者の集う「BRG」という会合でもなされています。

   

「.gmo」はIoT専用TLDへと変化

「.gmo」はかつてはブランドTLDとして、GMOインターネット株式会社が所有していたものですが、IoT、5G社会の本格化に先駆けて、現在ではIoT専用のTLDとして一般開放をしています。

  

5Gの普及とともに普及・活用の幅の広がりが期待されるIoT機器は、インターネットにつなげるためにIPv6が各機器に割り当てられ、IoT機器メーカーは、大量にある各機器のIPアドレスを管理することになります。

そうした動きに対応し、ドメインという認識しやすい形式で大量のIPアドレスを管理するのが有効であると考え、保有している企業名TLDである「.gmo」をIoT機器専用ドメインとして開放することにしたとのことです。

また、「.gmo」は、サブドメイン名の登録管理を自動化するDNSサービスに加え、DNS APIと、セキュアな環境を実現するSSLをパッケージ化し、安価に提供する計画もあるようです。これにより、大量のDNSレコード管理が必要となるIoT機器の管理環境の最適化と、SSLによるセキュアな環境を実現することができそうです。

  

以上各社の単純なキャンペーンサイト利用やメール利用以外のブランドTLDの取り組みを特集してみました。「IoT」「5G」「DNS」「情報セキュリティ」というキーワードがブランドTLDの利用の仕方を一層引き上げそうです。今後も情報を追っていきたいと思います。

  

  


〈ライタープロフィール〉
寺地 裕樹(てらち ゆうき)

GMOブライツコンサルティング株式会社
営業本部 IPソリューション部

情報セキュリティのリーディングカンパニーである株式会社ラックのシステムエンジニアとして3年間従事。その後、司法試験を経て、GMOブライツコンサルティングに参加。営業としてだけではなく、コンサルタントとしても企業のドメインネームマネジメントについて、日々お客様の悩みに向かい合っている。