新型コロナウイルス関連ドメイントレンドから見る今ならではの企業活動!

3月から増えはじめたCOVID-19関連ドメインネーム

2020年に入ってから、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の全世界的な感染拡大により企業活動への影響が広がっています。厳しい状況が続いている中で、グローバル企業の中では3月からCOVID-19関連ドメインネームを登録し、すぐウェブサイトを立ち上げるケースが多くなりました。

特に、企業名を使った「ブランドTLD」を活用して、新しいサイトを立ち上げ、オンラインでのブランディングの強化やCSR(企業の社会的責任)活動に迅速に対応している企業が増えています。それでは、COVID-19関連ドメイントレンドから見る企業活動の事例を見ていきます。

 

※ ブランドTLDとは? 
一般名称とは異なり、特定の企業が自社名または所有するブランド名にて申請したTLD(Top-Level Domain)のこと。
※ Brand Today 企画:ドメインを楽しく学ぼう!ウェブ小説・結花シリーズ
<2話>ICANNって何者?ドメイン取得との関係は?レジストリ、レジストラって?話題の新GTLDについても紹介!ブランド名や企業名とブランドTLDのお話他

 

企業の既存資産を集約!話題性を持ちながらサービスを広げよう!

21st Century Fox

アメリカのエンターテインメント企業である21st Century Foxは、メディア部門を所有している企業の特徴を活かし、いち早く「coronavirusnow.fox」と「coronavirus.fox」をそれぞれ3月4日と3月10日に登録し、すぐウェブサイトをオープンしました。

ここではブランドTLD「.fox」を利用していて、ドメインネームはそれぞれですが、両方とも自社が運営している「coronavirusnow.com」に転送しています。同サイトは、COVID-19発生状況のアップデートの他に、FOX NewsをはじめNewsweek、AP、ReutersなどCOVID-19関連ニュースポータルサイトの役割をしています。

21st Century Foxは既に1月23日に「coronavirusnow.com」を取得していることから、グローバルメディア企業ならではの素早さを感じられます。話題性だけでなく、社会で必要としているCOVID-19関連情報を提供することで、自社の強みを活かしながら企業の既存資産を活用しています。

 

coronavirusnow.fox」と「coronavirus.fox
→ 「https://www.coronavirusnow.com」に転送

  

Google

次に、複数のCOVID-19関連サイトを運営しているのは、グローバルIT企業であるGoogleです。Googleが3月11日に登録した「teachfromhome.google」は、拡大している遠隔授業に活用できる自社ツールを紹介するサイトです。

 

teachfromhome.google

 

その他に、Googleは3月15日に「covid-19.google」「covid19.google」「coronavirus.google」を登録し、早速サイトをオープンしています。3つのドメインは、『新型コロナウイルス感染症に関する情報と役立つツール』を提供する「https://www.google.com/covid19/…(省略)」に転送されています。

グローバル大手インターネット会社として、COVID-19関連情報のみならず、安全と予防のヒント、個人向け・教育関係者向け・企業向けなど自社の便利なツールと、データとインサイト、家で役立つ動画、感染対策支援、Googleの取り組みなど、自社の技術力と強みを総動員している総合サイトになっています。

 

covid-19.google」「covid19.google」「coronavirus.google
→ 「https://www.google.com/covid19/…」に転送

 

サービスとCSR活動の連係!通信キャリアならではのオンラインサービスが満載!

Smart Communications

フィリピン2大通信キャリアの一つであるSmart Communicationsは、自社のブランドTLDである「.smart」を利用して「health.smart」と「stay.smart」を運用しています。両方とも「https://smart.com.ph/Pages/stay-smart」に転送されています。

「health.smart」は3月20日に登録され、COVID-19に対処していくための様々なサービスや活動を同サイトにまとめて提供しています。「We are one with the world in the fight against the COVID-19 pandemic.(COVID-19のパンデミックとの闘いにおいて、私たちは世界と一つです)」というスローガンの下で、通信キャリアならではのサービスを提供しているのが特徴です。

SMSを利用した募金・寄付、政府機関のウェブサイトへの無料アクセスや無料電話、無料WiFiスポット、オンラインバンキングサービスやオンライン決済サービスの他にも、ショップのサービス時間短縮・再開の案内、サービスのオンライン化への案内まで、今の時期に社会に役立つサービスが揃えています。

4月21日は「stay.smart」も追加され、全世界的にCOVID-19の感染を防ぐ有効な手段の一つとして提唱された「Stay Home」からの影響が伺えます。「stay.smart」は「health.smart」と同じサイトに転送していますが、「stay」を使うことでより覚えやすく、アクセスしやすいドメインネームとなっています。

 

health.smart」「stay.smart
→ 「https://smart.com.ph/Pages/stay-smart」に転送

 

複数のドメインネーム登録で、アクセスできるルートを増やす!

ここで一つ注目したいのが、同じサイトに転送するのに、21st Century FoxもGoogleもSmart Communicationsも、なぜ複数のドメインネームを登録しているのか、という点です。これはブランドTLDの特徴とも言えます。

ブランドTLDは、企業が所有しているため、複数のドメインネームを登録しても取得費用がほぼかからない利点があります。普段なら、費用面を考えて一つのドメインネームに絞ったり、ドメインネームを破棄する時は第3者が再取得・悪用するケースもあり、企業としては慎重に進めなければならないです。一方、ブランドTLDはキャンペーンなどが終わって、特定のドメインネームを使い終わった時に破棄しても第3者による再取得の問題がないので、管理体制においても自由度が高いです。

このような利点があるので、ブランドTLDの活用パターンではユーザーがアクセスできるルートを増やすため、一つのウェブサイトに対して複数のドメインネームを登録するケースが多く見られます。

 

今だからこそ必要な取り組み!社会的課題解決に企業資産を活用!

続いて事例を見ていきます。

Amazon Web Services

その他にも、Amazon Web Servicesが4月16日登録してすぐオープンした「cord19.aws」は、COVID-19に関する研究に活用できる機械学習基盤のCORD-19 Searchを提供するサイトです。自社の技術力に基づいて、社会的課題解決に取り組むAWSの活動をブランドTLDを利用して世の中に発信している事例です。

 

cord19.aws

 

Abbott Laboratories

また、グローバル製薬会社でヘルスケアに注力しているAbbott Laboratoriesは、3月20日に「coronavirus.abbott」を登録し、診断キットの開発や関連研究への取り組みを紹介しています。

  

coronavirus.abbott
→ 「https://www.abbott.com/coronavirus.html」に転送

 

CERN(European Organization for Nuclear Research)

ヨーロッパでは、欧州原子核研究機構であるCERNが4月22日に「againstcovid19.cern」を登録し、COVID-19への対策を模索していくグローバル研究コミュニティのイニシアティブサイトとして使っています。ワクチンの開発、緊急対応など各分野の専門家たちが研究資源を自由に利用することを目的としています。

 

againstcovid19.cern

 

その他にも、グループのタスクフォースを運営しているドイツの国際輸送物流会社DHLの「coronavirus.dhl」、ドイツ各地の統計データを提供している建設・建材会社ACO Gruppeの「covid19dashboard.aco」と「covid19dashboardrdeck.aco」など、多くの企業がCOVID-19に対する様々な取り組みを加速化しています。

それとともに、新規ドメインネームの登録も増えていて、特に、既にブランドTLDを活用している企業がCOVID-19関連活動とともに迅速にブランドTLDを利用してサイトを立ち上げ、企業のサービス、マーケティング、CSR活動に活用している傾向が見られます。

 

Post Corona & With Corona時代を考える

5月25日をもって日本では緊急事態宣言が解除されましたが、まだ終わったわけではなく、これからはCOVID-19以前の世の中とは違う世界を生きるようになる気がします。企業活動においてもあらゆる面での変化が起きている中で、ポストコロナ(Post Corona)時代は、コロナとともに生きる(With Corona)ことを前提として、社会変化に応じた企業戦略を考えなければなりません。

 

【第52号】ブランドTLD Monthly Report(2020年4月)
「テーマ:COVID-19が繰り上げるデジタルトランスフォーメーション」
1) COVID-19により加速化する企業のDX
2) デジタルトランスフォーメーションの成功事例
   ①Nike ②Amazon ③Starbucks ④Apple ⑤Tesla
3) 企業のデジタルトランスフォーメーション戦略に必要なこと
ブランド戦略レポートのお問い合わせはこちらから www.brightsconsulting.com/contact


<ライタープロフィール>
鄭 美羅(Mila Jung)

GMOブライツコンサルティング株式会社
IPソリューション部/New gTLD Consultant
consul@brights.jp
2017年11月に入社、IT・メディアコンサルタントとしての経歴を活かして、ドメイン分野を学びながら新gTLD、特にBrand TLDを専門にレポートを提供。新gTLD分野に興味津津。「これ、面白いっす」と色々発見中。趣味は散歩(ひたすら歩く)、写真(めちゃくちゃ撮る)、カフェ(ただぼっとしている)、そして世界の観察と分析(?!)。


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