いいネーミングってなんだろう?(前編)

こんにちは「nomyne byGMO」の開発を担当しているGMOブライツコンサルテイングの山下です。

nomyne byGMO」はネーミング検索エンジンです。

会社名や商品名・サービス名など、ネーミングをするときに「似た名前はないかどうか?」を日本の会社名・日本の商標・米国の商標などから検索できるサービスです。

このサービスの運営を開始して1年近くがたちますが、「よいネーミングをどうしてつけたらいいのか?」というご質問を少なからず受けています。

サービスとしては「ネーミング検索」でありまして、そもそものネーミングのアイデア自体を生み出すツールではありません。

なので「よいネーミングをどうしてつけたらいいのか?」というご質問にはなかなかお答えするのが難しかったのですが、日夜「名前」とにらめっこしながらシステムを開発している経験から、「ネーミングってこうなのではないか」と思うところを門外漢ながら、前後編の二回にわけて、書かせていただこうと思います。

ブランドとは文字列(もしくは音)と概念の認知関係である

まず、前提としてマーク(標章・標識)という便利な道具を人間は作っています。文字もマークの一つだと言ってしまえそうなのですが、あくまでもマークは「非文字」の図形の組み合わせによって、受信者の認知・認識行為を補助するものです。

代表的なものは「国旗」「家紋」です。

日の丸をみれば「ああ、日本だな」と思いますし、菊の紋を見れば「天皇家」、無地に二本線で「海援隊」「ソフトバンク」など、ある図形を見て、その受信者に別の概念を想起させる道具です。もともとは、国家なり権力者・封建領主が、示威的に使用したものでしたが、これを権力者階級以外(商人)が使用するようになります。

それがトレードマーク(トレード「商行為」につかう標章=商標)です。

商品や取引の「真正性」を確保する手段として、店舗、梱包や商品そのものにマークをつけるのが、その起源とされています。

上記しました「海援隊」も、マークと言うよりはトレードマークに近いものを坂本龍馬は意識していたかもしれませんね。(二本線=にほん=日本とは洒落ています。)

このように、マークにしてもトレードマークにしても、そもそもは「図形」でありました。

その理由としては、認識性の高さ。あと識字率(昔の人はほとんど文字が読めなかった)も問題であったかもしれません。

それが、近現代になりまして状況が変わります。

ひとつは識字率の向上です。特に日本は識字率が江戸時代から高かったと言われています。

三井財閥の家紋などは井桁のなかに「三」の文字が入っていまして、家紋の中に文字が組み込まれています。

次に、ラジオ・テレビなどの音声メディアの普及です。ラジオでは、図形を表示することはできませんので、そこは文字列(音)だけの世界になります。

日本の商標の類否判定において、音の識別性が重要になっているのも、そもそもはこのあたりが理由かもしれません。

最後の決め手としてはインターネット=検索エンジンの普及です。

みなさんもご存知のとおり、私達は検索エンジンに「文字列」を入力することによって、お目当てのサービスや商品に到達します。

「ネーミング」「商標」「ブランド」の関係性

少しWikipediaから引用してみます。

ブランドとは「焼印をつけること」を意味する brander というノルウェーの古ノルド語から派生したものであるといわれている。古くから放牧している家畜に自らの所有物であることを示すために自製の焼印を押した。現在でも brand という言葉には、商品や家畜に押す「焼印」という意味がある。これから派生して「識別するためのしるし」という意味を持つようになった。「真新しい」という意味の英語 brand-new も「焼印を押したばかりの」という形容が原義である。日本でも紀文食品はその創業時、主力の蒲鉾やちくわに焼印を付けることで、商品の希少性、信頼性を認知させてきた(現在も一部の商品には「紀文」という焼印が押されている)。

このことから、他の売り手・売り手集団の製品・サービスを識別し、競合他社(他者)のものと差別化することを目的とした、名称、言葉、シンボル、デザイン及びそれらの組み合わせであるとされる。他社(他者)の製品・サービスより優れており、それを顧客に認識させることによって、企業等にとっては顧客の安心感を獲得でき、自有ブランドに「価値」が生まれる。

Wikipedia日本語版より

つまり、マーク(標章)やトレードマーク(商標)はブランドそのものというよりは、ブランドを実現化(=メディアにのせる)するための手段に過ぎないということがわかります。

ここで、ぐっとまとめてみますと、良いネーミングをつけるということは、当たり前の話なのですが、「良い文字列をつくる」ということになります。

古代であれば、文字列(音)が何であれ、良い「マーク」をつくれば、「わかりやすい」「かっこいい」などの評価を得られましたが、少なくとも近現代においては、「マーク」がどれだけシンプルでカッコいいとしても、「文字列」とし読みづらい、「音」として認識しづらいものであれば、「良いネーミング」ではありえないということがわかります。

次回は実際に有名なブランドを分析し、良いネーミングについて深堀りをしていきます。

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