最新の出願商標から垣間見れる「Uberライフ」普及を目指した同社の取り組みとは

世界最大の商標データベースGlobalBrandDatabase(以下GDB)で、権利者名に”Uber Technologies, Inc.”を含む出願商標は210件確認できます。その内、2018年に出願された商標は24件。最新の出願商標から垣間見れる「Uberライフ」普及を目指した同社の取り組みとは。

自転車シェアリング事業の開始


シェアタクシーを展開している米Uberが今度は自転車サービス「Uber Bike」を開始しました。

画像出典:https://www.uber.com/ja-JP/ride/uber-bike/

GDBで検索した結果、2018年以降、3件出願されている「UBER BIKE」。

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時系列 内容
2018年1月31日 電動自転車シェアリング展開を発表
2018年2月6日 アメリカへ出願
2018年8月3日 マドプロでスイス、欧州連合、イギリス、メキシコ、ノルウェーへ出願、カナダへ出願

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事業開始を発表した直後にアメリカへ出願した後、出願国を増やし権利範囲を拡大しています。アップル社やダイソン社と同様、出願商標から予測されないように、発表時期と出願時期のコントロールを行っていることが予測できます。

トラック運送サービスアプリ


2017年にスタートしたトラック運送サービス”Uber Freight”。小規模な運送会社と運送貨物をマッチングさせ、支払いを楽にするアプリ。このアプリが改訂され、あらゆる運送会社が燃料やタイヤなどの運営コストを大幅に節約するのに役立てられる割引などが受けられる新たなサービスが”UBER FREIGHT PLUS”。

画像出典:https://www.uberfreight.com/plus

GDBで検索した結果、2018年以降、1件出願されている「UBER FREIGHT PLUS」。

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時系列 内容
2018年3月21日 サービス提供開始を発表
2018年3月21日 アメリカへ出願

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サービス提供開始を発表した同日にアメリカへ出願をしていることがわかります。先ほどの「Uber Bike」出願傾向を踏まえると、アメリカへ出願した約半年後に他国へ出願しているため、9月頃他国への出願により権利範囲を広げていくのかもしれません。

支払い方法の選択肢を拡大


電子決済のみが許可されていた同社のサービス。顧客を失う原因と考えていた同社は「Uber Cash」という、現金支払いを可能とする方針を発表しました。

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時系列 内容
2018年8月17日 アメリカへ出願
2018年8月20日 サービス提供開始

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8月20日のサービス提供開始直前に出願を行っていることがわかります。また、「Uber Cash」と同内容の指定商品・役務で同日に出願されている「UBER WALLET」。現時点では、「UBER WALLET」のサービスの詳細は確認できませんでしたが、同社サービス利用の支払いの選択肢を広げられるような新たな方針が控えているのかもしれません。

2018年、ニューヨーク、ボストン、ロサンゼルスといった世界中の都市で、公共交通機関向けにモバイル決済を提供している英国企業Masabi社と業務提携したUber 社は、更なる支払い方法の拡大や新たな仕組み作りにも注力していくことが予測できる動きです。

徹底した出願時期の調整


2018年2月自動運転向けの特許を出願しており、自動運転技術の開発にも注力している同社。タクシー配車に留まらず、自転車やトラック事業へを行うことで得る多くの情報とデータを活用した自動運転技術への活用が考えられます。また、全ての事業に共通して関わる”支払い”の仕組み作りへ注力していく動きからは、Uberのアプリが手放せない「Uberライフ」の普及と更なる地位の確立を目指していく姿勢が伺えるのではないでしょうか。

一方、同社の出願傾向からは、サービス発表前後に出願するという徹底した知財管理を行うことも伺えました。世界中のベンチャーキャピタリストをはじめ、多くの投資家が注目するユニコーン企業「Uber」。出願商標から動向が読み取れないよう、徹底した出願時期の調整を行う企業であることが垣間見れました。

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〈ライタープロフィール〉
中山 礼美(なかやま れいみ)

GMOブライツコンサルティング株式会社
IPソリューション部/メディア担当
consul@brights.jp

2011年に入社後営業サポート業務に携わり、2017年5月よりメディア担当者として、商標やドメインネームの業務を学びながら記事を発信。様々な業界のトレンドを意識した記事作りの難しさに奮闘中。趣味は食べるコト、プチプラでお得感の高いものを探すこと。

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