近年、本来は色が付いている紅茶やコーラなどの飲み物が、透明になった「透明飲料」が次々と登場し話題となっています。また、2018年6月から、アサヒビール社が透明なビール「クリアクラフト」のテスト販売を開始しました。 技術的なハードルを越え、8年越しで開発されたという商品であり、出願日が2018年6月15日の出願商標も確認もでき(商願2018-79298)、今後”透明なビール”が店舗へ並ぶ日も近いのではないかと考えられます。国内で盛り上がりをみせる「透明飲料」ですが、海外にも同様の商品が存在しており、イギリスロンドンでは、歯の着色悩みを解消すべく開発された”透明なコーヒー”「Clear Coffee」が、話題を集めています。続々登場する「透明飲料」、今後も驚きの展開が待っているのでしょうか。
画像出典:https://www.instagram.com/clrcff/?utm_source=ig_embed
世界最大の商標データベースGlobalBrandDatabaseで、「CLRCFF」の出願商標を確認した結果は1件。2015年10月16日に出願され、出願区分と指定商品・役務はこちら。
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区分 | 指定商品・役務(英語) | 定商品・役務(日本語直訳) |
30 | Coffee-based beverages; Coffee flavorings [flavourings]. | コーヒーベースの飲料; コーヒーフレーバー[フレーバー]。 |
32 | Non-alcoholic beverages; Energy drinks; Energy drinks containing caffeine; Coffee-flavored soft drinks; Extracts for making beverages; Essences for making beverages. | ノンアルコール飲料; エネルギー・ドリンク; カフェインを含むエネルギー飲料; コーヒー風味のソフトドリンク。 飲料を作るための抽出物; 飲み物を作るためのエッセンス。 |
43 | Preparing and providing beverages for immediate consumption; Services for the preparation of drink; Cafeterias. | 飲料を準備し提供する。 飲料の製造のためのサービス; カフェテリア。 |
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「透明飲料」の今後の展開は
「CLRCFF」の出願内容を参考に”flavor”を指定商品・役務に含み、アルコールを含有しない飲料等が対象となる第32類を指定した出願を検索した結果2,154件。その内、出願件数の多い権利者TOP5はこちら。
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順位 | 権利者名 | 出願件数 |
1 | RAUCH(オーストリアのフルーツジュースメーカー) | 31 |
2 | SHENZHEN MEIXIXI CATERING MANAGEMENT CO., LTD.(HeyTea飲料ブランド所有者) | 23 |
3 | 味の素(日本の食品企業) | 21 |
4 | ザ コカ・コーラ カンパニー(清涼飲料水製造販売企業) | 17 |
4 | PARIS CROISSANT CO., LTD.(韓国を中心にパンとカフェチェーン展開する企業) | 17 |
5 | スターバックス(世界規模で展開するコーヒーチェーン店) | 15 |
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今中国で大人気の広東生まれの「喜茶 HeyTea」を展開する企業が2位にランクイン。SNSでも話題沸騰中で、店舗は常に2~3時間の大行列となる程の人気店。かわいいロゴや、”岩塩入りクリームチーズがのったお茶”といった、インパクト大のメニューも人気の理由のひとつ。画像出典:https://www.heytea.com/
出願商標はほとんどがロゴを占めており、32類で”flavor”を指定商品・役務に含んだ出願がされていました。
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指定商品・役務(英語) | 定商品・役務(日本語直訳) |
Non-alcoholic beverages flavored with coffee | コーヒーを味付けしたノンアルコール飲料 |
Non-alcoholic beverages flavored with tea | お茶を味付けしたノンアルコール飲料 |
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が、2016年の出願以降、指定商品・役務の記載内容は特段変化がないことから、「透明飲料」の発売が控えているわけではないと考えられます。気になったのは、出願先国。現在、中国国内でのみの展開のようですが、シンガポール、オーストラリア、マレーシア、ニュージーランド、カナダ、アメリカ、フィリピンへ複数出願をしていることから、今後海外展開を視野に入れていることが伺えます。また、日本の商標データベースである、J-Platpatで「喜茶」を検索した結果、同社より4件の出願が確認でき、2016年以降毎年出願をしており、権利範囲を広げていることから、日本への店舗展開も期待できるのでないでしょうか。
また、5位のスターバックス社の商標も確認しましたが、特段「透明飲料」の発売が控えているわけではないといった印象。ですが、今後ペットボトルに入った「透明飲料」だけでなく、店舗で販売される「透明飲料」も登場するような予感がするのは私だけでしょうか。
「透明飲料」のトレンドとは
アサヒビール社の透明なビール「クリアクラフト」、イギリスで販売されている透明なコーヒー「クリアコーヒー」、コカ・コーラ社の透明なコーラ「コカ・コーラ クリア」、アサヒ飲料の透明なカフェラテ「クリアラテ」、これらのネーミングに共通するのは「クリア」が付されている点で、今、透明飲料のネーミングのトレンドとなっています。今後、透明飲料に限らず、私たちに驚きを提供をしてくれる飲み物が、ネーミングのトレンドや出願商標から発見できるのではないでしょうか。
〈ライタープロフィール〉
中山 礼美(なかやま れいみ)
GMOブライツコンサルティング株式会社
IPソリューション部/メディア担当
consul@brights.jp
2011年に入社後営業サポート業務に携わり、2017年5月よりメディア担当者として、商標やドメインネームの業務を学びながら記事を発信。様々な業界のトレンドを意識した記事作りの難しさに奮闘中。趣味は食べるコト、プチプラでお得感の高いものを探すこと。
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