ブライツコンサルティングのメンバーは、今年シアトルで行われた第131回INTA=International Trademark Association(国際登録商標協会)ミーティング(5月16日~5月20日)に行ってきました。この機会を持ちましてINTAについての情報や今回のミーティングの風景をご紹介いたします。
INTAは1878年にUSTA(全米登録商標協会)として設立されましたが、1993年にINTAに改称された190カ国からの5,500社のコーポレートメンバーを含む商標をめぐる知的財産の進歩をサポートする組織です。
経済危機やインフルエンザを含むその他の環境的な問題にも関わらず、今回もミーティングの出席率は非常に高く、アメリカ、イギリス、ドイツ、カナダ、中国を始めとする136カ国からの参加者が集まりました。日本は参加者の数で8番目であり、157人の代表者が登録されていました。つまり、商標を始めとする知的財産の多様な問題を扱うINTAの活動は、世界的な不景気を乗り越える一つの大きな手段として看做されており、それに対する期待は大きいです。
シアトルエメラルドシティーで行われた今回のミーティングのテーマは「ブランドおよび社会に配慮した消費者」とされ、環境に優しい「グリーン」のブランドを選択するような消費者を育むことを目指しています。実際、不景気を背景とした現在でもより「優しい」ブランドを好むことは消費者の行動形態のトレンドになりつつあります。
このような環境に対する意識性を反映して、INTAミーティングの初日には100年以上前に採択されたマドリッド協定議定書の第100万番目の商標登録者がオーストリーのGrune Erde社(緑の地球)という自然の材料を使用する商品を製造している企業であると発表されました。マドリッド協定議定書は現在84の加盟国をカバーし、このシステムを利用する商標登録の申請は定期的に増加し、去年は申請数42,075件という最大の記録を作りました。登録商標が最も多い会社はドイツの大型企業Henkel社(2,731件)です。
INTAのプレジデントRichard Heath氏は、今回のミーティングの主な課題は以下の問題可決に近づくことであり、それらは知的財産のグローバル化を目的として現在193の加盟国があるINTAの中の地域議会を発展させることと、模擬に伴う経済・社会的影響に対する消費者の認識を高めることと、政治的な組織とのコラボレーションを元に現在交渉中であるACTA(模倣品・海賊版拡散防止条約)という国際条約の締結に関わる活動を改善・プロモートすることなどです。Richard Heath氏はINTAのプレジデントになったのは2009年以降ですが、以前はロンドンのUnilever PLC のリーガルグループのリーガル・グローバル模倣品・海賊版拡散防止協議のバイスプレジデントを務め、その前に同Unilever社のコーポレート商標・一般商標協議の協議長として活躍しており、その他にも知的財産での強いキャリアを積んで来た方ですので、近頃は主に複雑な問題である模倣品・海賊版対策の中の動きの活発的な増加が予想されます。
INTAミーティングの開会式の基調演説者を務めたのはElle Macpherson氏というElle Macpherson IntimatesとElle Macpherson-The Bodyというオーストラリア・英国を始めとする世界的に高名なランジェリー・美容化粧品のブランドのオーナーです。現在ブランドの発展の背景となるのは金融引き締め、消費者からのブランドによる社会的な配慮への強調とインターネットの拡大化という3つの新しいチャレンジであり、利益のみを考えているブランドを信頼できないものとし、否定的な意味合いでの消費者主義のみで動かされているビジネスは生き残ることができなくなると述べました。不景気は不利を齎したことは否定できないが、経済史上で始めてブランド・消費者による社会的な行動体系を大きく変えるためのタイミングとなっていますので、ブランド価値を改めて考え直して、社会的責任を前提として振舞わなければなりません。そして、Elle Macpherson氏自身のブランド価値を表現する言葉は信念、親密性、自然発生性、進化、造反、一族と真実性の一部であることで、すべてがパワーで満ちた観念です。
また、INTAミーティングで紹介された個別のテーマについてのアップデートを紹介いたしますので、サイトの情報が更新されましたらご確認下さい。
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