前回の「ZOZOMAT」の記事に続き、株式会社ZOZO(旧社名株式会社スタートトゥデイ)が新たに国内へ出願している商標が確認できました。2018年9月3日に出願している最新の商標はこちら。
「ZOZOAI」
一体どんな製品・サービスなのでしょうか。早速、出願区分を確認してみましょう。
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区分 | 指定商品・役務 |
9類 | バーチャルリアリティ用ヘッドセット,人工知能の機能を有する電子計算機用プログラム,人工知能搭載のヒューマノイドロボット |
35類 | 人工知能プログラムを用いたインターネット資料検索の代行並びに検索結果に関する情報の提供 |
40類 | 布地へのプリント加工及びこれに関する情報の提供 |
42類 | 人工知能を用いた情報処理 |
44類 | 身体測定及びこれらに関する情報の提供,健康の指導及びこれに関する情報の提供,インターネットを利用した健康管理に関する情報の提供,健康診断・人間ドックの予約及びこれに関する情報の提供 |
45類 | ファッションに関する指導・助言又は相談,被服及び被服の組み合わせに関するファッション情報の提供 |
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同社が”人工知能”を指定商品・役務に指定して出願を行うのは、意外にもこれが初めてのこと。採寸用ボディースーツ「ZOZOSUIT」についても”人工知能”という表現ではなく、“独自の体型推測アルゴリズム”と表現するなど、”人工知能”を前に押し出すことはしませんでした。
服の選び方革命へ
同社は中期経営計画において”3つの革命”を目指すと述べています。この改革の内、「ZOZOAI」は、”服の選び方革命”に貢献するサービスの構築ではないかと考えます。
画像出典:https://d31ex0fa3i203z.cloudfront.net/wp/wp-content/uploads/2018/04/20180427_CEO_MT.pdf
2018年2月に「おまかせ定期便」というサービスを開始させました。このサービスでは、ZOZOSUITで計測したサイズデータを元にコーディネーターが洋服のチョイスを行い、それが家に届くというもの。このサービスに対応するため、多数の在宅コーディネーターが募集されました。
ZOZO最大の特徴は、学習に活用できるデータをどのアパレル企業よりも持っていることではないでしょうか。この有利な状況を最大限に利用し、「似合う」「似合わない」というような、感性に関わる部分の判断を、”人”ではなく”人工知能”を活用して革命を起こそうとしているのでは、と考えます。また、44類に記載されている「健康管理に関する情報の提供」も気になるところ。身体測定のみに留まらず、健康管理までもを計測させようとしているのでしょうか。気になる内容でした。
VRを利用した服選びへ
9類の指定商品・役務に記してある”バーチャルリアリティ用ヘッドセット”。この記載は「ZOZOSUIT」に続き「ZOZOAI」が2つめの出願という形。詳細はわかりませんが、様々な洋服の試着が可能となるVRヘッドセットのようなものの開発が進められているのでしょうか。
従来のECサイト通販において、ユーザー側の最大のデメリットは、試着ができないことでした。バーチャルリアリティ(VR)を利用した服の試着は、ECサイト通販の利用が拡大すると期待されているのです。
2018年4月には、AIやロボット工学の「天才」を最高年収1億円で採用すると発表しました。このような最新技術を駆使することで、ファッション革命を起こしていこうとする動きが感じられます。日本のみならず世界のアパレル業界を牽引していくような新たな革命となるのでしょうか。
〈ライタープロフィール〉
中山 礼美(なかやま れいみ)
GMOブライツコンサルティング株式会社
IPソリューション部/メディア担当
consul@brights.jp
2011年に入社後営業サポート業務に携わり、2017年5月よりメディア担当者として、商標やドメインネームの業務を学びながら記事を発信。様々な業界のトレンドを意識した記事作りの難しさに奮闘中。趣味は食べるコト、プチプラでお得感の高いものを探すこと。