スペインの衣料品世界最大手インディテックス社は主力ブランド「ZARA」で、日本初・アジア初となるネット販売に特化した店舗を5月9日から期間限定でオープンしました。スマートフォンや店員が持つ端末から商品を購入でき、自宅や店で受け取る仕組み。実物に触れる実店舗の強みをいかしつつ、通販に誘導する試みで、ネットとリアルをつなぐ次世代のアパレル店をアピール。「ZARA」は他の取り組みとしても、拡張現実(AR)を体験できる店舗を増やすなど、最先端のITを活用した戦略を進めています。
業績と共に増える商品展開と出願内容
ZARAの店舗数推移ですが、平均して、2店舗/1日のペースでオープンさせている計算で、好調な右肩上がりで。売上から見ても、ZARAの占める割合は全体の約6割強であり、インディテックス社のメインブランドと言っても過言ではありません。
世界最大の商標データベース「GlobalBrandDatabase」で、権利者名インディテックス社が権利者であり、”ZARA”を含む出願商標は201件と、有名ブランドならではの出願件数。出願先国は95か国にのぼり、主要区分である”被服”等が対象となる第25類のみでなく、全45区分に渡り幅広い権利保護を行っています。
また、主要区分である第25類の指定商品を出願年毎に見た結果がこちら。
1994年は「衣服、履物、ヘッドギア」のみであった指定商品の記載内容が、2001年、2010年と、ZARAの店舗数、業績の好調に比例するかのように増えていることがわかります。指定商品の記載内容の変化からも、ZARAが好業績と共に、商品展開を増やしていったことが伺えるのではないでしょうか。
侵害事例に素早く対応
2017年8月に出願された、気になる商標が2件ありました。
「ZARA CITY」と「ZARA LAND」。この2つの商標は、共に2017年8月29日にスペインへ出願した後、翌日の30日にはマドプロを利用してアルメニア(AM), ベラルーシ(BY), カザフスタン(KG), ロシア(RU)へ出願をしています。
調査してみたところ、クリミアでインディテックス社に関連のない企業が、「Zara Zara」「Zara City」という看板を掲げたアパレル店舗を経営していることがわかりました。また、彼らの主張によると店内ではZARAの公式製品を販売しているとのこと。このような店舗は、クリミアだけでなく、カザフスタン、コーカサス地域にも存在し、約10店舗がオープンしていると言います。インディテックス社は、「ZARAブランドの名前とシンボルを違法に使用しているとし、法的処置を行う」と主張しています。
出典:https://fas.gov.ru/news/24535、
もう一つの気になる出願「ZARA LAND」。洋服を用いたテーマパークを開設か!?と思ってしまいましたが、出願区分や指定商品を見る限りでは、そのような展開ではないと考えられ、ZARAの主要区分である、第25,35,37,40類を指定した出願となっていました。
WEB上で「ZARA LAND」を検索するといくつかの情報が確認できました。2016年に公開されたアメリカ合衆国のミュージカル・ロマンティック映画『ラ・ラ・ランド』(LA LA LAND)をもじったのかは定かではありませんが、「ZARA LAND」(発音は”ラ・ラ・ランド”と非常に似ていますね)というYouTubeが存在したり、”zara”という名称は元々女性の名前としてメジャーな名前でもあるため、個人のサイトやアダルトサイトなどで使用されている実態が確認できました。実際の侵害があるか否かはわかりませんでしたが、出願傾向が「ZARA CITY」と非常に似ているため、使用を想定した出願ではなく、侵害があったことによる保護的な出願である可能性が高いのではないかと考えます。
新しいブランドラインの誕生か
2018年5月に出願された最新の商標が、「ZARA SRPLS」。既に、ZARAには「ZARA TRF」「ZARA basic」「ZARA WOMAN」などのブランドラインが存在し、ブランドライン毎の特性に合わせた展開も、本ブランドの人気の要因となっています。
これらブランドラインの出願区分と近しい出願がされているのが、この「ZARA SRPLS」。現時点で本ブランド展開の情報を見つけることはできませんでしたが、新たなブランドライン発表を控えているのかもしれません。今後の展開に注目です。
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