今や、WEB上でサーチエンジン検索をした際上位に表示されるよう多くの企業でSEO対策を行っているのではないでしょうか。SEOと商標登録の関係性については、ウェブマーケティング部門や、知財担当者には欠かせない常識となってきました。
SEO対策に費やした時間と労力とお金を無駄にしないために
「BRAND TODAY」というブランドで事業展開しているB社があったとします。B社は、そのアパレルブランドについて商標登録していたもののSEOに対する取組みはしてきませんでした。最近になって上位表示を意識するようになり、早速サーチエンジンで自社ブランドを検索したところA社の「BRAND TODAY」しか検索結果にでませんでした。
一方、同じく「BRAND TODAY」というブランドで事業展開しているA社があります。A社は、そのアパレルブランドについて商標登録しないまま「BRAND TODAY」のキーワードでSEO対策を講じ、この対策が功を奏して見事に上位表示されるようになりました。
(画像:商標登録をせずSEO対策を進めたA社)
A社は、ランキングがあがることで露出が増えます。そのため、B社のような商標権者に知られ、商標権の侵害がされているといった警告状が届くケースがあります。[su_highlight background=”#ffea99″]A社は、サイト上位表示されるようになったにも関わらず、商標登録をしていなかったために、「BRAND TODAY」というブランドの使用自体を諦めざる負えなくり、A社は今まで費やした時間と労力とお金が水の泡となってしまいます。[/su_highlight]
商標権という財産
自社で商標登録している文字列が他社に使われていた場合や、文字列が含まれている場合、使用を制限することが十分可能です。権利者に対してだけでなく、プラットフォーマーへの通報も可能です。Google AdWordsの場合はこちら、Yahoo! プロモーションの場合はこちらから申し出を行うことになります。
[su_highlight background=”#ffea99″]SEO対策に限らず、商標権はありとあらゆる困りごとに対処が可能である権利であると共に、安心して事業をすすめられる財産なのです。[/su_highlight]
商標登録しないことで潜むリスクとは
商標登録をしないとSEO対策においても不利になることがわかりました。他にはどのようなリスクが潜んでいるのでしょうか。以下にまとめました。
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侵害される側になった場合 | 侵害する側になった場合 |
・第三者に自社の名称やマークを勝手に使用される ・模倣品が出回っても、対策ができない・自社が得るべき利益を横取りされても何も言えない ・第三者に取得されてしまった商標を取り戻したい場合は多額の費用が発生する |
・製品名を変更しなければならない ・広告物を刷り直さなければならない ・製品からマークを除去しなければならない ・損害賠償を請求される可能性がある ・税関での輸出入の指し止めを受ける可能性がある |
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「侵害される」側という立場から、「侵害する」側という立場になってしまう可能性があるということが、お分かりいただけるのではないでしょうか。他人の商標権を侵害しないために、[su_highlight background=”#ffea99″]これから使用しようとしている商標について、他人が同一又は類似の商標を登録していないことを確認する”商標調査”をすることは最低限必要です。[/su_highlight]
侵害しないネーミングをするには
日本商標権は特許情報プラットフォームを使用することで、だれでも無料で検索することができます。
画像出典:https://www2.j-platpat.inpit.go.jp/syutsugan/TM_AREA_A.cgi?0&1536540377113
文字や読み方(称呼)によって類似の商標を簡易調査できます。しかし、必要な情報を収集し、商標権侵害になるかどうかを判断するためには専門的な知識が必要ですし、国によっても商標法は様々な為、専門家に”商標調査”を依頼することが一番安心です。[su_table]
主要国データベース一覧
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商標登録後の定期的な見直しも重要
事業をスムーズに進めるための適切な権利保護は業界問わず、すべての業界において重要です。また、適切な権利取得を行うことはもちろん重要ですが、登録後、保有している商標と、現在展開している事業内容に不足等がないか」等、定期的な見直しも重要になってきます!
様々なトラブルに対処できる商標権という財産を理解し、安心した事業拡大やSEO対策を進めていきましょう。
〈ライタープロフィール〉
中山 礼美(なかやま れいみ)
GMOブライツコンサルティング株式会社
IPソリューション部/メディア担当
consul@brights.jp
2011年に入社後営業サポート業務に携わり、2017年5月よりメディア担当者として、商標やドメインネームの業務を学びながら記事を発信。様々な業界のトレンドを意識した記事作りの難しさに奮闘中。趣味は食べるコト、プチプラでお得感の高いものを探すこと。