はじめに
メールの受信ボックスに自社のロゴを表示できる**企業ロゴ付きメール(BIMI)と、それに必要な証明書である企業ロゴ所有証明書(VMC)**は、ブランドの信頼性向上やフィッシング対策に有効なツールとして注目されています。
企業ロゴ付きメール(BIMI)とは?
💡ブランドセキュリティの重要ツール!『BIMI/VMC』を簡単に解説!
しかし、企業ロゴ付きメール(BIMI)/企業ロゴ所有証明書(VMC)の導入には、ロゴの商標登録が必須であり、これが盲点となり導入につまずく企業も少なくありません。この記事では、企業ロゴ付きメール(BIMI)/企業ロゴ所有証明書(VMC)導入を検討する上で知っておくべき商標の注意点と、スムーズな導入のためのポイントを解説します。
GMOブランドセキュリティは20年以上にわたり、商標業務を行う中で、多くの企業の商標情報を見てきました。
その中で多くの企業では企業名やハウスマークについて商標登録を済ませています。
一方で、企業名のみを文字商標で登録し、ロゴ(ハウスマーク)やブランド名、サービス名の商標までは取得していないというケースも少なくないのが現状です。
商標取得における3つの注意点
企業ロゴ付きメール(BIMI)/企業ロゴ所有証明書(VMC)導入のためには、単に「ロゴを持っている」だけでは不十分です。
登録状態や登録内容について、次のポイントに注意が必要です。
「登録済み」であること
商標出願中の状態では、企業ロゴ所有証明書(VMC)を取得できません。必ず商標登録が完了したロゴを使用しましょう。商標登録の審査には数ヶ月かかるため、余裕をもって準備を始めることが重要です。
異議申し立て期間も、審査を進めることはできません。
実際に使うロゴと登録商標が一致していること
形状や構成要素が異なるロゴはNGとなる可能性があります。色違いは許容されることが多いですが、意匠が少しでも変わると証明書が発行されないリスクがあるため、「実際に使用するロゴ」をベースに出願するのが鉄則です。
シンボル型ロゴも検討すること
企業ロゴ付きメール(BIMI)で表示されるロゴは非常に小さいため、シンプルなシンボル型のデザインが適しています。企業名やサービス名などの文字商標だけでなく、アイコンとして使えるシンボルロゴもあわせて登録することを検討しましょう。
「企業ロゴ付きメール(BIMI)/企業ロゴ所有証明書(VMC)対応 商標OK例・要確認事例」比較表

企業ロゴ付きメール(BIMI)対応ロゴのデザイン・出願のポイント
企業ロゴ付きメール(BIMI)/企業ロゴ所有証明書(VMC)対応ロゴは、メール一覧画面などで非常に小さなサイズ(約40px四方)で表示されます。
そのため、ロゴデザインの際には通常のブランディングとは異なる視認性重視の設計が求められます。
ロゴ出願時に注意すべきデザインポイント
視認性を最優先にする:
小さく表示されても、ブランドが判別できる明瞭なデザインにしましょう。
シンプルな構成にする:
細い線や複雑な装飾、文字が詰まりすぎているロゴは、縮小表示した際に潰れてしまいます。
文字要素は最小限に:
フルネームやスローガン入りよりも、シンボルやイニシャル型のロゴが適しています。
縮小表示テストを行う:
実際の表示サイズ(40ピクセル前後)で、ロゴがどのように見えるか事前に確認しましょう。
出願ロゴと実使用ロゴが一致しているか確認する:
出願用に用意したロゴと、実際にメールで使われるロゴが異なると、証明書申請時に不整合が発生する可能性があります。「実使用ロゴベース」で出願するのが鉄則です。
背景色や縁取りなどの処理も視認性に影響する:
特に白ベースのロゴなどは、白背景のメール画面に溶け込まないよう縁取りや色調整を検討しましょう。
「小さな表示でのロゴ視認性比較」

受信ボックス表示例
導入でつまずきがちな失敗例と対策
企業ロゴ付きメール(BIMI)/企業ロゴ所有証明書(VMC)の導入プロセスでは、商標やロゴの準備段階で思わぬ落とし穴にはまることがあります。よくある失敗例とその対策を事前に把握しておきましょう。
フェーズ | 失敗例 | 問題の背景 | 防止策 |
---|---|---|---|
商標確認 | 出願中のロゴを使おうとした | 企業ロゴ所有証明書(VMC)では「商標登録済み」であることが要件。出願中では証明書の発行対象にならない。 | 登録完了を確認してから申請を進める。登録審査には数ヶ月かかるため、余裕を持って出願開始する。 |
ブランド整理 | 旧商号・旧ブランドロゴを使用 | ブランドリニューアル後も古いロゴで商標登録が残っていたため、企業ロゴ所有証明書(VMC)要件との整合性が取れなかった | 使用中のロゴと商標登録情報を照合し、最新版ロゴの登録状況を確認する。 |
デザイン | ロゴ内の文字が多すぎた | メール受信画面ではロゴが小さく表示されるため、細かい文字が潰れて視認性が著しく低下する。 | 企業ロゴ付きメール(BIMI)対応を見据え、文字数を抑えたシンプルなマーク型ロゴに見直す。 |
使用統一 | 複数ロゴが混在していた | 用途(Web、名刺、印刷など)によってロゴのバリエーションが多く、「どれを使うべきか」が社内で曖昧だった。 | 「BIMI用ロゴ」を1パターンに明確化し、社内運用ルールとして統一する。 |
権利関係 | 別法人名義の商標を使おうとした | ロゴの商標権が親会社・子会社など別法人にあり、送信ドメインとの整合性が取れず申請に支障が出た。 | 商標権者と送信主体との関係性を証明できる書類や運用ルールを事前に整備する。 |
技術実装 | SVGファイルの形式が正しくなかった | 企業ロゴ所有証明書(VMC)では「SVG Tiny 1.2 + secure」形式が必須。通常のSVG形式では認証要件を満たさない。 | 制作担当者や外注先にSVG形式の要件を正確に伝え、仕様に沿った形式で作成・検証する。 |
SVG Tiny 1.2について
モバイル機器や組み込み環境など、リソースが限られた環境でも安全かつ高速に表示できるように設計されたSVG形式の軽量バージョンです。
👉SVGロゴチェッカーとは?企業ロゴ付きメール(BIMI)対応ロゴを申請前に確認できる無料ツール解説
スムーズな導入のための3ステップ
企業ロゴ付きメール(BIMI)/企業ロゴ所有証明書(VMC)導入を成功させるためには、ロゴや商標の準備を早期に、そして着実に進めることが不可欠です。以下の3つのステップを参考に、今から準備を始めましょう。
今すぐできる準備ステップ
現在登録されている商標ロゴの棚卸し
まず、現在登録されている商標ロゴを整理し、企業ロゴ付きメール(BIMI)/企業ロゴ所有証明書(VMC)に対応できるか確認しましょう。
最新ロゴが商標登録済みでない場合は、早急な出願準備が必要です。
新ロゴのデザイン・出願計画立案
必要に応じて、メール表示に特化した視認性の高いロゴへのリニューアルを検討します。商標登録と同時に進めることで、後戻りのリスクを防ぎます。
専門家への早期相談
商標登録や企業ロゴ付きメール(BIMI)/企業ロゴ所有証明書(VMC)の導入には専門知識が必要です。弁理士や導入支援業者など、経験豊富な専門家へ早めに相談することをおすすめします。
📢GMOブランドセキュリティでは、ロゴ商標登録支援から企業ロゴ所有証明書(VMC)取得、企業ロゴ付きメール(BIMI)設定まで、企業のニーズに合わせたワンストップサポートを提供しています。
👉 企業ロゴ付きメール(BIMI)/企業ロゴ所有証明書(VMC)対応支援サービスのご案内
まとめ
企業ロゴ付きメール(BIMI)/企業ロゴ所有証明書(VMC)の導入は、ブランドの信頼性を高め、フィッシング対策を強化するための重要な戦略です。ロゴデザインの見直しや商標登録には時間がかかるため、できるだけ早くから準備を始めることが成功へのカギとなります。
専門家を活用することで、商標登録から企業ロゴ所有証明書(VMC)取得、企業ロゴ付きメール(BIMI)設定までをスムーズに進めることができます。戦略的に、そして着実に導入を進め、企業のブランド価値を向上させましょう。
「まずは話を聞いてみたい」という段階でも、お気軽にご相談ください。