こんにちは!今年も残すところあとわずかとなりました。実は今日は世界的なイベントの日ですが、みなさまご存じでしょうか?
日本でも徐々に広まりつつあるので、すでにご存じの方もいらっしゃると思いますが、本日11月29日(金)はBlack Friday(ブラックフライデー)と呼ばれています。
ブラックフライデーは、1961年ごろからフィラデルフィアで始まったイベントで、その名付け親はなんとフィラデルフィア警察とのこと!由来は諸説あるようですが、当日は買い物客で道路が混み、交通渋滞が起こることから、警察がその日を恐れ「ブラックフライデー」と呼んだそうです。また、ブラックフライデーがクリスマス商戦の幕開けとされているため、小売店が大きく黒字になることが由来であるとも言われています。
(引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%83%95%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%87%E3%83%BC)
本家アメリカでは、年末大型セールとして毎年大盛り上がりを見せていますが、日本ではどうでしょうか?開催日はまちまちですが、今年はアマゾン・ジャパン、イオングループ、しまむら、ABCマート、トイザらス、バンダイナムコグループ、カルディコーヒーファームなどがブラックフライデーセールを開催しています。
さて、日本でもビックイベントとなりつつあるブラックフライデーですが、実はドメインの世界でもブラックフライデーが存在しています。「.blackfriday」はブラックフライデーの関連サイト専用のドメインとして生まれたドメインです。本家アメリカで最も盛り上がりを見せるセールの一つとして知られているブラックフライデーを表す「.blackfriday」がどのように取得され、使用されているのか気になったので、少し調べてみました!
ECサイトの王者アマゾンの活用例
アマゾンは、amazonの文字列から各商品のブランド名まで取得していました。ここで、注目したいのが登録文字列の部分。
「book」を含むドメイン・・・6件
「kindle」を含むドメイン・・・4件(1件「book」を含むと重複)
「audible」を含むドメイン・・・1件
「alexa」「eco」を含むドメイン・・・3件
もともとアマゾンは、オンライン書店としてサービスを開始した経緯があるため、メイン商材の「書籍」に関連するサービスに力を入れていると思われます。
(引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/Amazon.com)
特に最近は、アマゾン新メディアとして人気を獲得しつつあるオーディオブックにも注力しているので、「audible.blackfriday」「audiobook.blackfriday」「audiobooks.blackfriday」のドメインも取得・活用しています。昨年の10月からは、Amazon EchoでもAudibleが聴けるようになったため、非常に力を入れているサービスだと言えるでしょう。
自社ブランド商品である「audible」「alexa」「echo」「kindle」を含む文字列のドメインを積極的に取得・利用をしている理由なのではないでしょうか。
オフラインショッピングでは?
では、オフラインショッピングの分野ではどうでしょうか。アメリカ合衆国の食料品スーパーマーケット「ホールフーズ・マーケット」と世界最大の家電量販店「ベスト・バイ」に焦点を当てて探りたいと思います。
まずは、「ホールフーズ・マーケット」から。ホールフーズ・マーケットは「wholefoods.blackfriday」「wholefoodsmarket.blackfriday」の2件を取得していました。両ドメインはどちらも「eu.wholefoodsmarket.com」に転送されるように設定がされています。ブラックフライデー専用のページは見受けられなかったので、保護目的として取得したものを、転送していると考えられます。
次に「ベスト・バイ」。こちらは「bestbuy.blackfriday」を取得しており「www.bestbuy.com」に転送設定がされています。
カナダ、アメリカ合衆国、メキシコから国を選択するページが表示され、クリックをするとそれぞれの国のページに転送されるようになっています。
カナダとアメリカのトップページには、Black Fridayと記載がされており、それぞれサブディレクトリで運用するBlack Friday専用のページもありました。「ホールフーズ・マーケット」と比較するとより活用をしている印象を受けます。
ちなみに、日本の家電量販店であるヨドバシカメラは「yodobashi.blackfriday」を取得しているので、将来的にヨドバシカメラのブラックフライデーサイトが誕生する可能性もあるのでしょうか。楽しみですね。
自動車ブランドはなぜ多い?
今回調べてみて、自動車ブランドの「.blackfriday」が割と取得されていることに気が付きました。筆者は、ブラックフライデーと自動車のイメージが結びつかないため、意外だったのですが、どうして自動車ブランドの「.blackfriday」が数を多く取得されているのでしょうか。
実は、本場アメリカでは新車販売でも中古車販売でも、ブラックフライデーのセールは行われていること。自動車メーカーも多くの販売奨励金をディーラーに出し、車種によっては1万ドル(約110万円)も割引されることもあるそうです。ブラックフライデーは、いくつかあるアメリカの祝日に行われる自動車のセールの中でももっとも割引率が高くなっており、平均で33%の割引率とのことですので、人気の商品のひとつと言えます。
(引用:http://drivers.kurumaerabi.com/3932)
ちなみに、下記の3ドメインはそれぞれのメーカーが取得しており、転送設定をかけています。
- 「bmw.blackfriday」→「www.bmw.com」
- 「citroen.blackfriday」→「www.citroen.fr」
- 「peugeot.blackfriday」→「www.peugeot.com」
本国アメリカでは自動車もブラックフライデーの商材として一般的なので、保護目的として取得したものを、転送していると考えられます。
まとめ
今回調査した「.blackfriday」ですが、やはりEC業界が最も積極的に取得・活用を行っていました。紹介したアマゾンの例以外にも、「converse」「ebay」「gap」「next」「oldnavy」などが「.blackfriday」を取得しており、そのほとんどは、ブラックフライデーの広告を表示させたトップページに転送設定をかけるというものでした。
ECサイトを運用している企業においては、「.blackfriday」は販促ツールとして活用されており、今後も増える可能性があります。
また、あくまでも自社ブランドを守ることを目的としてドメインを取得しているケースも見受けられました。自動車メーカーにおいては、公式サイトトップページへ転送設定をかけるか、取得のみという例が目立ちます。また、Apple社においては、「apple」「mac」「iphone」を含んだ文字列を含むドメインを18件取得していました。Apple社は「www.apple.com」にドメイン集約を行っているので、これらの文字列は保護を目的として取得したと考えられます。
オンラインショッピングが急速に広がる現代において、これからのブラックフライデーの普及状態によっては、ブランド保護・ドメイン保護のために「.blackfriday」の取得を検討する企業も増えるかもしれません。
関連記事 新gTLDについて知りたくなったら♪
<2話>ICANNって何者?ドメイン取得との関係は?レジストリ、レジストラって?話題の新gTLDについても紹介!ブランド名や企業名とブランドTLDのお話他
https://brandtoday.media/2019/08/20/domain-yuka-series2/
〈ライタープロフィール〉
千葉 やよい(ちば やよい)
GMOブライツコンサルティング株式会社
IPソリューション部/ドメイン担当
2012年に入社。 BRANTECT、商標コンサルタントを担当したのちドメインコンサルタントに就きました。ガイドラインや、ドメイン関連記事を作成しています。ドメインについては現在進行形で勉強中!初心者様にも分かりやすい記事作りを心がけています。趣味はゲーム、アニメ、散歩。