TMCH (Trademark Clearinghouse)
TMCH導入の背景
商標と同じ文字列のドメインネームが第三者によって登録される被害が増えています。このような商標権侵害や模倣品などの被害が増加している中、新gTLDプログラムの開始により、たくさんのTLDが導入されています。ドメインネームにおいての自社商品の保護がさらに難易度を増してきています。
これまでは新gTLDがリリースされると、商標権者はサンライズ登録期間(商標権者向けの優先登録期間)に登録を希望する文字列の商標名を各レジストリに提出する必要がありました。各TLD毎に権利保護措置が必要でした。
しかし2013年4月以降にリリースされる新gTLDに関しては、一度商標を提出することで全てのレジストリでの商標証明ができるようになりました。これがTMCHです。
TMCHとは
TMCHは、商標権利保護制度の登録商標情報照合システム/データベースのことで、第三者によるドメイン登録から商標権者の権利を保護するため、ICANNが中心となって実施しているブランドプロテクションサービスです。
まず商標権者はTMCHに商標を登録する必要があります。TMCHに商標登録を申請すると、ICANNと提携しているDeloitte Enterprise Risk Serviceが商標権者としての資格を審査します。この資格が認められたらTMCHが利用できるようになります。
TMCHプロバイダ: Deloitte、IBM
TMCH登録のメリット
新gTLDを優先的に登録することができます。
TMCHに登録すると、新gTLDの一般登録が開始される前に優先的にドメインネームを登録することができます。この期間をサンライズ登録期間(商標権者向けの優先登録期間)と言います。
一度TMCHに登録すると、その後、登録が開始される全ての新gTLDに対してサンライズ登録申請が可能です。
第三者による申請・登録があった際には、リアルタイムで通知されます。
サンライズ登録期間が終了した後、基本的に誰でもドメインネームの登録が可能となる一般登録期間が開始されます。商標権者がサンライズ登録期間にドメインネームを登録してなかった場合、第三者によって登録商標と同じ文字列でドメインネームが申請されると、商標権侵害の可能性があるということが通知されます。また登録された時にもその旨が通知されます。これを「TM Claims」と言います。
「TM Claims」は商標権者がサンライズ登録期間に新gTLDを登録してなかった場合に有効な権利保護メカニズムで、これにより、商標権を侵害するドメインネームに対して迅速な対応ができます。
TMCH登録までの流れ
- 申請書の作成
- TMCH事務局に提出
- 審査(通常一週間程度)
- TMCH登録完了
TMCHにおける商標の定義
【登録要件】 以下の情報を以ってTMCHへの商標登録を行います。
- 現在有効である商標の登録証(PDF)
- 指定商品・役務のリスト
- 使用宣誓書
- 使用証拠
・権利者名(貴社名)
・商標名
・登録番号
・登録国
・指定商品・役務の区分(複数ある場合全て記載)
・商標権者のステータス(権利者/ライセンシー)
・権利者住所
・商標権者連絡先(電話番号、ファックス番号、メールアドレス)
※更新中の場合には別途証明資料をご提出いただきます。
出願中の商標はTMCHへの登録対象外となります。
ラベル、タグ、容器、広告・マーケティング用のパンフレット、画面キャプチャーなど
※ TMCHへの登録を希望する商標が更新中の場合、更新中であることが分かる更新出願書類などを提出する必要があります。
※ 新規出願中の商標はTMCHへの登録対象外となります。