ネーミングはブランディングの出発点です。
日々、新しい会社名、サービス名、商品名が生み出されますが、その名前には創業者や開発者の「想い」が込められています。
数あるブランドの中で、今もなお親しまれるネーミングを取り上げてみました。
セブンイレブン
最近、時短営業で話題の「セブンイレブン」。
「あれ?もともと朝7時から夜11時までの営業時間じゃなかったっけ…」と思ったのは私だけでしょうか!?
調べてみるとやはりそうでした!
1946年に朝7時から夜11時まで毎日営業するチェーンとして、営業時間にちなんで店名を「7-ELEVEN」としました。
その後1971年には、多くの7-ELEVENが実質的に24時間営業となり、定着していきました。
本格的なフランチャイズ方式が採用されたのは、1974年5月、東京都江東区にある豊洲店とのことです。
参考:
https://www.sej.co.jp/company/history/history_02.html
ごはんですよ!
元祖、話しかけ言葉ネーミング。桃屋の「ごはんですよ!」
1950年当時に発売された「江戸むらさき」というキレのよい硬めの海苔佃煮を、子供にも食べてもらえるように甘くて柔らく仕上げた「ごはんですよ!」が1978年に発売されました。
新しい海苔佃煮の開発に成功した桃屋の社長は、今までにない名前をつけようと四六時中悩んでいました。
そんなとき、居間で奥さんが子どもたちに『ごはんですよ!』と呼びかけているのが聞こえ、 ひらめいたのがこの名前だそうです。
三木のり平さんのCMの声と似顔絵のキャラクターが印象的ですが、三木のり平さんをCMに起用したのも「のり平」が「海苔」に通じることから、社長たっての頼みだったそうです。
参考:
https://www.momoya.co.jp/gallery/norihei/about/
Suica
2001年11月にスタートした首都圏および仙台地区にお住まいの方はお馴染みの「Suica」。
「Super Urban Intelligent Card」の頭文字を取って名付けられました。
「スイスイ行けるICカード」の意味もあるそうです。
一方、近畿圏にお住まいの方は「イコカ(ICOCA)」ですね。
「IC Operating Card」の略で、2003年11月に始まりました。
関西弁の「行こか」をもじり、キャッチコピーは「ICOCAで行こか」。
その他は、
・Kitaca(キタカ)⇒北海道の「北(キタ)」
・SAPICA(サピカ)⇒「SAPPORO(札幌)」の最初の3文字
・manaca(マナカ)⇒「日本の真ん中」の語呂
と鉄道系ICカードの名前はユニークですね!
alibaba
「アリババ(阿里巴巴)」
1999年の創立以来、中国IT業界のトップに急成長したアリババ。
世界展開することを念頭に、名前は「音」が決め手になったそうです。
世界に発信されるネーミングの基本条件として、
(1)読みやすいこと
(2)覚えやすいこと
(3)口に出して呼びやすいこと
(4)伝えたい意味やイメージを含むこと
を上げていました。
実は「アリババ」のドメイン名は、既にあるカナダ人によって押さえられてしまっていました。
創業者の馬雲氏はこのドメイン名が世界中に広まるとの確信から、当時、創業資金として準備していた50万元の内から1万ドルを投じて、そのカナダ人からアリババのドメイン名を取り戻したそうです。
無印良品
「ノーブランド」という名のブランド、「無印良品」
ネーミングを担当したのはコピーライターの日暮真三さん。
1980年当時ノーブランドは全盛で、多くの量販店チェーンが発売していました。しかしネーミングは、アメリカにならって横文字ばかりでした。しかも品質に問題がありました。アメリカの真似でない独自の商品開発をめざし、ノーブランドは漢字の「無印」に、そして品質を保証する「良品」と合わせて「無印良品」になりました。
〈無印〉つまりノーブランド商品という名のもと、包装を簡素化し商品自体のデザインをシンプルにすることで、生産工程の手間を省き、低価格の商品を実現しています。
海外では「MUJI」ブランドで展開し、2019年4月には銀座にホテル「MUJI HOTEL GINZA」がオープンするなど、今なお進化し続けています!
GU
2006年にファーストリテイリングとダイエーの業務提携により、ファーストリテイリング社の主力ブランドであるユニクロのノウハウを生かしつつ、より低価格なカジュアル衣料品を販売する新ブランドとして立ち上げられました。
ジーユー(GU)の由来は、同ブランドのコンセプトである「もっと『自由』に着よう」で「自由」をアルファベットに置換えたもの。
ユニクロ同様、正方形の中に文字を配置し、ユニクロのメインカラーである赤と対比する色として青をベースカラーとしており、文字色に使われている明るい黄色で”優等生のユニクロを兄に持つ、おしゃれでちょっとやんちゃな妹”というイメージを表現しているそうです。
熱さまシート
ネーミングの宝庫、小林製薬。
一度は使ったことがあるのではないでしょうか?
熱を冷ますシートで「熱さまシート」。
小林製薬といえば、ユニークな名前の商品で有名ですね。
他にもいくつかピックアップしてみました。
洗眼薬「アイボン」→アイ(EYE)を新しく生まれ変わる(born)
口中清涼剤「ブレスケア」→息をケアするからブレスケア
おりものシート「サラサーティ」→サラサラが30日間続くように
タンククリーナー「ブルーレット」→ブルーの水が流れるトイレット
いずれも国内のトップシェアを誇るブランドとなっています。
直感的で覚えやすいネーミングが一つの要因であるのは間違いありません。
PARCO
1969年に池袋PARCOをオープン、1973年には渋谷PARCOをオープンした後も、現在に至るまで主要都市に店舗を増やし続けているパルコ。
“PARCO”はイタリア語で”公園”を意味するとのこと。
“公園”すなわち、「人々が集い、時間と空間を共有し、楽しんだりくつろいだりする場(空間)」が名前の由来となっています。
変わりゆく渋谷の中でも、ずっと変わらずにそこに居てくれるパルコは存在感があります。
参考:
https://www.parco.co.jp/about/identity/
なっちゃん
田中麗奈のcmが印象的なサントリー「なっちゃん」
なっちゃんが発売されたのは1998年。
かわいくて楽しそうな雰囲気を表し、みなさんに親しんでいただけるような名前にしたいということで名づけられたそうです。
ちなみに特定の人物ではないそうです。
当初はオレンジ味のみでした。
翌年、アップル味が発売されたことで、あらためて、なっちゃんオレンジ、なっちゃんアップルと呼び分けられるようになりました。
参考:
https://www.suntory.co.jp/customer/faq/001926.html
じゃがりこ
こちらは特定の人物が存在するパターン。
じゃがいも+りかこ→じゃがりかこ→『じゃがりこ』
『じゃがりこ』は中身も容器も今までのカルビーのお菓子とはまったく違う新しいタイプの商品が生まれました。
新しくできたお菓子を開発担当者の友人(りかこさん)がとてもおいしそうに食べている姿を見て、商品名を思いついたそうです。
参考:
http://faq.calbee.co.jp/faq_detail.html?page=500&category=2004&id=31
いかがでしたでしょうか?
ネーミングは毎日、無数に生まれています。
現在、あらゆる商品のマーケットはグローバル化しており、ネーミングは世界も視野に入れて考えなければならない時代になっています。
ネーミングは有限です。なぜなら「商標」や「ドメイン」でひとたび権利化されれば、半永久的に権利を保持することができるためです。
良いネーミングを思いついても、それを世に出すためには、すでに商標登録されている名前ではないか事前に調査する必要があります。
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〈ライター〉
GMOブライツコンサルティング株式会社
小林 千峰子(こばやし ちほこ)