日本経済新聞社が選ぶアジアの主要上場企業「Asia300」の2016年度の経営指標から実力企業をランキングしたところ、2~4位にインド企業が入った。このうち2社は欧米企業などからIT(情報技術)業務を受託する。台湾のスマートフォン(スマホ)部品メーカーも強く、アジア企業がITの黒子として実力をつけていることが鮮明になった。
出典:http://www.nikkei.com/article/DGXLASDX15H18_W7A610C1MM8000/
次なる経済大国として注目を集めるインド。現在はGDP世界第7位ですが、10年後には第3位の日本を抜き去るのではないかと注目されています。躍進を遂げる「インド」と「商標」について読み解いていきましょう。
インドについて
基礎情報
日本との関係性
インドの商標制度
過去2年の商標出願状況からトレンドを読み解く
[su_heading size=”19″]検索条件[/su_heading]
データベース:Global Brand Data Base
origin:india
Dates AD:2015-6-1 TO 2016-6-29
[su_heading size=”19″]検索結果(区分別)[/su_heading]
総件数160件。薬剤等が対象となる5類の出願が圧倒的に多いことがわかります。
インドは「開発途上国の薬局」と言われ、ジェネリック医薬品の製造が世界一
インドは薬剤に対して、物質特許を認めず、製法特許のみを認めています。ということは、新薬と同じ成分を用いても異なる製法にて製造をすれば、それは別の医薬品として扱われるということになるため、インド国内の製薬会社は欧米の製薬会社が開発した新薬をジェネリック薬として製造販売できます。これは欧米各国や日本の特許法では違法ですから、インド国内のみの販売となります。
インドは人口が多く、新薬を安価で必要としている人が非常に多いという背景があるため、インド政府は独自の特許制度を運用し、インド国内の製薬会社が開発費用をかけずに新薬のジェネリック薬を製造販売できるようにしています。
そのためインド製のジェネリック薬が多いのです。
出典:https://life-pt.net/generic_4.php
[考察]
5類の出願数57件中、SUN PHARMACEUTICAL、SUN PHARMACEUTICAL INDUSTRIES LIMITED、SUN PHARMACEUTICAL INDUSTRIES LIMITEDが42件となり大半を占めていることがわかりました。
Sun Pharmaceutical Industries Ltd.(サン・ファーマ)はインドのムンバイに本社を置く製薬会社で、ジェネリック薬大手。
「サンファーマがドライアイ治療用Secieraの確認第3相臨床試験の前向きの主要結果を発表」という記事内だけでも、
「ドライアイ症治療用のSeciera(TM)、BromSite(TM)と後期開発段階にあるXelpros(TM)およびDexaSite(TM)」
と、TMマークが複数存在していることからも、ジェネリック薬の商品を積極的に商標出願しビジネスをしていることが伺えるのではないでしょうか。特異な特許制度を持つインドならではの新薬へのこだわりが垣間見れたのではないでしょうか。
[su_heading size=”19″]検索条件[/su_heading]
データベース:Global Brand Data Base
origin:india
Dates AD:2016-6-1 TO 2017-6-29
[su_heading size=”19″]検索結果(区分別)[/su_heading]
総件数94件。被服や履物が対象となる25類の出願が圧倒的に多いことがわかります。
繊維アパレル産業大国
インドの繊維産業は、インドのGDP の8 ~ 9%を占める主要な産業であり、3,000 万人以上が従事しています。インドアパレル輸出振興協会(AEPC)といった団体も存在し、生産はもちろん国外への輸出にも積極的に取り組んでいます。
[考察]
[まとめ]
IT産業の成長が目覚ましいという印象だったため、IT関連の区分が頭を抜いて多いのかと予測していたのですが、過去2年の出願状況を見る限りではその類が目立って多いという印象ではありませんでした。
☝こちらは過去5年間のインド国内出願者ランキングです。「Private Limited」を含む権利者が25件で断トツに多い結果となっております。
「Private Limited」を含む会社名とは、海外企業がインドへ会社設立をするときに会社名に含まれるものであり、(例:SEKISUI CHEMICAL INDIA PRIVATE LIMITED. 等)海外企業がインドへ進出しビジネス展開をしていることが考えられます。
出典:https://www.jetro.go.jp/world/asia/in/invest_09.html、http://www.brics-jp.com/india/it_india.html
また、通信コストの低下、インド人の人件費の安さ、インド人の堪能な英語力という環境があるため、アメリカの大企業が電話対応をするサポートセンター(コールセンター)をインドに置くことが近年急増しているといった現状もあります。
商標出願状況からも、ITに限らず様々な分野で躍進を遂げており、世界から注目されている国だということが読み解けました。