【ドメインニュース】“名前”がブランドをつくり、守る。世界一長いドメインに学ぶネーミングと信頼の話(2025年10月号)

【ドメインニュース】“名前”がブランドをつくり、守る。世界一長いドメインに学ぶネーミングと信頼の話(2025年10月号)

【3分で読める】

ブランドの印象は、“名前”ひとつで変わります。
かつて話題になった「世界一長いドメイン」は、実用性よりも「思いを伝えたい」という遊び心と情熱から生まれたものでした。
それは、ドメインが単なるURLではなく、ブランドの“個性”や“ストーリー”を映す存在であることを教えてくれます。
一方で、今その“名前”が模倣品サイトやフィッシングサイトによって狙われる時代。
ブランド価値を守るためには、魅力的なネーミングと同じくらい、「信頼されるドメイン運用」が欠かせません。

本稿では、

  • 世界一長いドメインに見る「名前の力」とブランドづくりのヒント
  • グローバル展開を見据えたドメイン管理・模倣対策の考え方

をわかりやすく紹介します。

トピック|世界一長いドメインが教えてくれる、ブランドの“名前力”

「インターネットで一番長いドメイン」と聞くと、どんなものを想像するでしょうか。

たとえば、かつて世界最長として知られたのは

www[.]thelongestdomainnameintheworldandthensomeandthensomemoreandmore[.]com

www[.]thelongestdomainnameintheworldandthensomeandthensomemoreandmore[.]com

という、読んでいるだけで息が切れそうなドメイン名です。
63文字という技術的な上限ぎりぎりまで詰め込まれたこの名前は、実用性よりも“挑戦”や“ユーモア”の象徴として話題を集めました。

ほかにも、イギリスでは

llanfairpwllgwyngyllgogerychwyrndrobwllllantysiliogogogoch[.]com

というウェールズの地名をそのままドメイン化した例もあります。

この名前は発音するだけでも一苦労ですが、「世界一長い地名」として有名な観光地をアピールする見事なプロモーションでもあります。

このようなドメインは一見“ネタ”のように見えますが、実は「ドメイン=名前=表現手段」という本質を私たちに教えてくれます。

■ ドメインは“記号”ではなく“物語”である

長すぎるドメインは覚えにくく、入力もしづらい。

それでもあえて長くする理由は、「文字列に込めた物語」を伝えたいからです。

それはブランド名と同じで、単なる識別記号ではなく、“理念”や“ユーモア”“情熱”といった「個性」を表す手段でもあります。

企業がブランド名を決める際も、短さだけを重視するのではなく、どんな価値を伝えたいか、どんな印象を残したいかを考えることが大切です。

たとえば、「短くて強い」名前はインパクトを、「少し長いが意味深い」名前は信頼や誠実さを表すこともあります。

■ 長い名前が伝える“意図の明確さ”

最長ドメインのように、極端な長さは日常では使いにくいかもしれません。

しかし、「どんな文字を選び、どんな構造にするか」という視点は、ブランド設計にも共通する発想です。

「何を伝えたいか」を明確にすることこそが、ブランド戦略やドメイン設計の出発点になります。

そしてそれは、検索・メール・SNSといったすべてのオンライン接点で一貫した“名前の力”を発揮することにつながります。

■ ブランドを守るための“ドメイン選び”

現代のインターネットでは、短くても長くても、「信頼されるドメイン」であることが最も重要です。

たとえ完璧なブランド名を掲げても、似た名前のドメインを第三者に取られてしまえば、ブランドの信用や顧客体験が損なわれるリスクがあります。

そのため、企業は単にドメインを取得するだけでなく、「保護」「運用」「モニタリング」までを一体的に管理することが求められます。

■ ブランドを映す“文字列”を選ぶということ

世界には数え切れないほど多くのドメインが存在します。

中には、今回ご紹介したような笑ってしまうほど長いものも、芸術作品のように美しいものもあります。

しかし、本当に価値のあるドメインとは、“ブランドの本質をもっとも正確に表す文字列”です。

当社 GMO BRAND SECURITY では、企業がブランド価値を正しく伝え、かつ安全に運用できるよう、ドメインの取得・管理・保護を包括的にサポートしております。

|引用|

“Longest Domain Name.” Longest Domains. https://longestdomains.com/?utm_source=chatgpt.com,(参照2025-10-14).

ドメインシリーズ|グローバルビジネスにおけるドメイン戦略と模倣品対策

インターネットの普及により、企業活動は国境を越えて展開されるようになりました。

特にグローバルビジネスにおいては、ドメイン名は単なるウェブサイトの入口ではなく、企業のブランド価値や信頼性を示す重要な資産です。

しかし近年、企業になりすましたフィッシングサイトや詐欺サイト、模倣品販売サイトなど不正利用を目的としたドメイン取得が増加しており、企業にとっては重大なリスクとなっています。そこで本稿では、グローバルビジネスにおけるドメイン戦略と、その一環としての模倣品対策について考察します。

◇ドメイン戦略の重要性

ドメイン名は、顧客との接点であり、ブランドの認知度を高める役割を果たします。

海外市場に進出する際には、現地言語や主要TLD(.com、.net、.orgに加え、.cn、.in、.sgなど)での取得が望ましいとされています。これにより、現地顧客への信頼感を醸成し、競合他社や第三者による先取りを防ぐことができます。

また、ブランド名だけでなく、主要製品名やサービス名に関連するドメインも取得しておくことが効果的で、ユーザーが検索する複数の導線を公式チャネルに誘導でき、模倣サイトへの流入を抑止する効果が期待できます。

企業におけるドメインの取得・管理を効果的に進めるためには、「法務・知財部門」「情報システム部門」「広報・ブランド部門」などが連携する体制づくりが欠かせません。単独部門ではなく、横断的な視点で管理することが重要です。

◇なりすましサイトの事例

模倣品販売やなりすましサイトの多くは、ブランド名を含んだドメインが利用される傾向にあります。

典型的には「ブランド名+shop」「ブランド名+official」「ブランド名+global」などのパターンで登録され、正規サイトと誤認させることで消費者を誘導します。

実際に「ブランド名+sale.shop」というドメインを使用し、ブランドロゴを掲載したショッピングサイトが存在していました。割引価格を掲げ、正規販売サイトのように見せかけて模倣品を販売していたのです。

こうしたサイトは、消費者被害を招くだけでなく、企業の信頼や売上にも深刻な影響を与えます。早期発見と迅速な対応が求められます。

◇企業が取るべき対策

ブランドを守る第一歩は、ドメインの監視体制を整備することです。ブランド保護の観点から、主要なTLDや新規に登場するgTLDに対して登録状況を継続的にモニタリングし、不審な登録を早期に検知する仕組みが必要です。

発見したブランド名を用いたフィッシングサイトや詐欺サイト、模倣品販売サイトは発見次第テイクダウンを実施しましょう。そのサイトのレジストラやホスティングに対してブランドが侵害されていることを申立て、被害を食い止めることが大切です。またテイクダウンの他にも、UDRP(統一ドメイン名紛争処理方針)と呼ばれる国際的な紛争解決制度を使ってドメインを回収したり、各国の法制度をもとに差止請求を行うことも可能です。

◇プロアクティブな対応の必要性

ドメイン戦略は「守り」の側面だけでなく「攻め」の要素も持ち合わせています。たとえば、ブランドや企業理念に関連するドメインを積極的に取得することで、将来の新規事業やマーケティング展開に備えることができます。

2026年春、約10年ぶりに.貴社名(ブランドTLD)の新規受付が再開されます。

企業のブランド価値を高め、信頼性向上にもつながる特別なドメインを取得出来るチャンスですので、グローバルビジネスにおけるドメイン戦略の検討材料としてご検討ください。

◇まとめ

グローバルビジネスにおけるドメイン戦略は、単なるインターネットアドレスの管理ではありません。ブランド保護、模倣品対策、そして将来の事業成長を支える「経営戦略の一部」です。

企業になりすましたフィッシングサイトや詐欺サイト、模倣品販売サイトの脅威が国境を越えて拡大するなか、企業は守りと攻めを組み合わせた包括的な戦略を構築することが求められています。

先手を打った管理体制とプロアクティブな発信こそが、企業のブランド価値を守り、グローバル市場での競争優位を確立する鍵となるでしょう。

 

統計情報|

TLD種別TLD数※(対前増減数)ドメイン登録件数(対前月増減率)内訳比(対前月比)
gTLD22(±0)188,102,026(+0.36%)50.74%(-0.30%)
ccTLD309(±0)129,157,501(+0.07%)34.84%(-0.31%)
新gTLD1,253(±0)53,445,753(+5.39%)14.42%(+0.61%)
Total1,584(±0)370,705,280(+0.95%)100.00%

gTLD/ccTLD/新gTLDの3つのTLD種別における全体のドメイン登録件数とその内訳を示しています。カッコ内の数字は前月との比較となります。gTLD・新gTLD・ccTLDはいずれも前月と同様に、小幅な増加となりました。Totalでは0.95%(370,705,280件)増加した結果となりました。

TLD情報|

以下のTLDについて、優先登録・事前受付・期間限定受付など、各種登録受付が順次開始されています。詳細未定の項目については、今後情報が更新され次第ご案内いたします。関心のある方はお気軽にご相談ください。

※文字列によりプレミアム価格が適用される場合があります。

【優先登録開始予定の新gTLD 一覧】

TLD優先登録受付期間登録要件(優先)限定登録受付期間一般登録開始日登録要件(一般)
.yun2025-09-24~2025-10-27TMCHのSMDファイル保持者のみ2025-10-28~2025-12-03未定

※限定登録受付期間(Limited Registration Period):
 優先登録(Sunrise)後、一般登録が始まる前の特別な登録期間のこと。

編集後記

我が家はキャンプ🏕️が好きで、コロナ禍前から家族であちこち出かけています。とはいえ私自身は暑さと虫が大の苦手で、完全に“冬キャンプ派”。

ようやく涼しくなってきた先日、静岡県の「アプトいちしろキャンプ場」へ行ってきました。目の前には清流と山々の景色が広がり、アプト式列車が力強く坂を登る姿も見られる絶景のロケーションです。キャンプ場の隣に真っ暗なトンネルがあり、懐中電灯片手に進むと、ほどなくして駅に到着。列車が連結する瞬間を間近で見られ、電車好きの息子は大興奮でした!

実際に乗車してみると、車掌さんの説明を聞きながらのんびりと山あいを進み、窓の外に広がる大自然に大人も癒やされました。今回は観光色の強いキャンプになりましたが、家族全員が満足できる旅になりました。次は11月、富士山を目の前に望むキャンプを予定しておりますので、今からわくわくしています。

ライター

トピック:范 渝絢
ドメインシリーズ:安達 孝裕
統計情報:范 渝絢
新規リリースのTLD情報:藤原 恵利
編集後記:藤原 恵利
発行責任者:矢島 崇成