2025年8月29日付けでお伝えしたニュースの続報をお伝えします。
複数の現地代理人から得た情報に基づき、改めてその概要と出願人及び権利者が取るべき対応についてお知らせします。
1.通知の概要
①公報未掲載の出願商標に対する要求:未提出書類がある場合は、通知掲載日から90日以内(2025/11/16まで)に当該書類を提出する必要があります。また、手続がすべて完了しているにもかかわらず登録証の受領・登録料納付が未了の場合は、同期間内に所定手数料の納付と登録証の受領が求められます。
②登録商標の使用義務:登録後1年以内の使用が求められており、今回の通知では通知掲載日から60日以内(2025/10/18まで)に使用証拠または製品サンプルの提出が推奨されています。
2.権利状態ごとの対応と期限
(1)出願中の案件(書類未提出等により係属)
- 必要書類は2025/11/16まで提出。
- 期限までに提出がない場合、係属7年以上の出願は職権により自動的に却下(放棄扱い・記録抹消)となり、追加の通知は行われない。
- 公報掲載から7年以上経過しているにもかかわらず登録料未納で未登録の案件は、2025/11/16までに未納料の支払を完了する必要がある。
(2)2025/08/19より前に登録済みで一度も更新履歴がない商標
- 通知掲載日から1年以内(2026/08/18まで)に使用証拠の提出が必要(推奨は60日以内)
(3)2025/08/19より前に登録済みで1回以上更新履歴がある商標
- 厳格な義務ではないものの、不使用取消のリスク回避や将来的な商標局からの要求回避のため、2025/10/18までに使用証拠の提出を推奨
(4)2025/08/19以降に登録された商標
- 登録後1年以内に使用証拠の提出が必要
3.使用証拠として認められる資料例
- 請求書および販売領収書
- 出荷および配送関連書類
- 商標を付した商品またはサービスを専門的に宣伝しているソーシャルメディアページのスクリーンショット
- 商標の下で販売されている商品を表示するオンラインストアのスクリーンショット
- 商品またはサービスに関連する購入情報または取引記録
4.使用証拠提出の実務上の留意点
- 原則、複数区分にわたって権利化された商標であっても、商標ごとに1件の使用証拠で受理される見込みです。ただし、関連性の低い区分でそれぞれ使用されている場合は、区分別に証拠を用意することで、拒絶や再提出の要求のリスクを下げられると考えられます。
- 明確な数量・形式ガイドラインは現時点で公表されていません。網羅性よりも関連性・真正性・日付の明瞭さが重視される傾向です。
- 通知では委任状の提出を必須としていませんが、外国出願人が現地代理人を任命して手続きを行う場合、一般に有効な委任状が必要となります。
5.使用証拠を提出しない場合のリスク
- 使用証拠を期限内に提出しない場合、不使用取消の申立て・職権取消の対象となる可能性があります。
- 長期係属案件については、追加の催告なしに取消手続きが開始されます。
- 登録商標の取消は原則自動で進行されることはなく、商標局からの通知や第三者の取消請求を契機として進行します。
- 使用証拠を提出しない場合、権利行使・紛争対応時に不利となるおそれがあります。
6.注意点
通知には対象となる個別の案件特定がされておらず、明確な期日の定義がありません。現地代理人は引き続き商標局への照会を続けておりますが、通知は有効であり、遵守が必須とされています。新たな情報が公開された際には改めてお知らせいたします。
商標に関するご相談などございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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