メールの見た目が信頼を決める時代~BIMI導入率で見るブランドの“本気度”~

企業を装ったなりすましメールやフィッシング詐欺が巧妙化する中、メールの”見た目”で信頼を示す技術「BIMI(企業ロゴ付きメール)」が注目されています。ブランドロゴをメールに表示することで、ユーザーに直感的な安心感を与えるとともに、なりすましへの対策にもつながります。

また、SNSではアイコンや認証バッジの有無が「本物かどうか」を判断する指標として常識となってきている一方で、メールだけが視覚的な信頼性の強化が遅れているという課題が指摘されています。

📈世界と日本の導入状況の比較

以下の円グラフでは、インターブランド上位50社におけるDMARC導入状況BIMI適用状況の内訳を、世界・日本でそれぞれ比較しています。

これらのグラフを見ると、世界ではBIMI(企業ロゴ付きメール)の導入が進んでいる一方、日本は依然として導入が進んでいない企業が多いことが明らかです。

 対象・期間・分析項目
  ・対象:インターブランド世界・日本ランキング上位50社
  ・期間:2024年10月 → 2025年4月(6ヶ月)
  ・分析項目:DMARCポリシー(none / quarantine / reject / 設定なし)とBIMI適用状況

📈地域別・業界別の導入傾向(2024〜2025年の最新動向を含む)

地域別に見ると、北米(特に米国)企業がBIMI導入を牽引し、欧州やアジアの大手企業はやや慎重ながらも追随しています。
日本では、2023年以降に導入企業が出始め、2024年にYahooメール(Yahoo! JAPAN)やGoogleが送信ドメイン認証の新要件を打ち出したことを契機にDMARC導入が急増し、グローバルブランド企業もBIMI導入を検討・開始し始めたものの、欧米諸国に比べると1〜2年の遅れがあるのが現状です。

🔍SNSでは当たり前の“視覚的信頼”

SNSではアイコンや認証バッジの有無を確認し、視覚的に信頼を判断するのが一般的です。その感覚がメールにも広がり、「ロゴのないメールは怪しい」と感じる人が増えています。ユーザーはメールにも視覚的な信頼の証明を求め始めています。
こうした流れを受けて、Googleは2024年からGmailでBIMI認証済メールに「青いチェックマーク」の導入を開始しました。企業の信頼を“見た目”で示す動きが、メールでも加速しています。

⚠️広がる情報格差と“見た目”の罠

SNSで共有される「送信元アドレスを確認しよう」といったアドバイスは…

    • SNSを利用しない層(特に高齢者)には届かない
    • メール利用者でも“アドレス確認”の習慣がない人も多い

また、送信元アドレスを確認していても

    • タイポドメイン※」を使った巧妙ななりすましが横行
    • メールクライアントの表示仕様(文字の省略、フォント差など)の違いにより、違和感に気づきにくい

結果として、セキュリティ情報が「届かない」×「見分けづらい」ことで、受信者が騙されやすい状況が生まれています。

※タイポドメイン:正規のドメインに似せて、1文字違いなどで作られた偽ドメイン
 (例:amaz0n.com、rakutern.co.jp 等)

⚠️文字情報だけでは限界がある

こうした状況の中で、メールの正当性を「アドレスや内容で見抜く」ことには限界があります。細かな文字列の違いや、表示形式の仕様による見落としが、受信者を騙す一因となっています。

実際に、三井住友銀行ではDMARC(なりすましメール対策設定)を正しく設定していたにもかかわらず、同行を名乗る正規メールが“なりすまし”と誤解され、フィッシング対策協議会に通報された事例もあります。(参考:ITmedia, 2023年8月30日

これはメールの信頼性が“内容”ではなく“見た目”で判断されていることを象徴する出来事であり、BIMI(企業ロゴ付きメール)による視覚的な信頼補強の重要性を裏付けるものです。

参照|フィッシング対策協議会|注意喚起一覧

⚠️DMARC(なりすましメール対策設定)だけでは不十分:「reject」でも防げない理由

DMARC(なりすましメール対策設定)は確かに強力な送信ドメイン認証技術ですが、「p=reject」に設定していても、攻撃者が正規のメールサーバーや乗っ取られたアカウントを使った場合、SPFやDKIMの検証を通過し、結果的にDMARC認証をすり抜ける可能性があります。

つまり、DMARC(なりすましメール対策設定)が通過しても、それが“正しい送信者”であるとは限りません。

そこでBIMI(企業ロゴ付きメール)は、視覚的な補完策として機能します。
BIMI(企業ロゴ付きメール)は、正規のドメインを利用していてもBIMI認証を通っていなければ表示されないので、ロゴの有無が「本物らしく見える偽物」を見分けるヒントになるのです。

🛡️BIMI導入がもたらす効果

    • 開封率の向上
      メールにブランドロゴが表示されているだけで米国で平均21%、英国では平均39%も開封率が向上したと報告されています。
    • ブランド認知・信頼性の向上
      「メールの正当性」に対する受信者の信頼感が、ロゴが表示されていない場合に比べて米国で84%、英国で90%向上したとの結果も報告されています。

これらの数値は、BIMI(企業ロゴ付きメール)が単なる「装飾」ではなく、顧客との信頼構築やマーケティング効果にも直結する実用的な施策であることを裏付けています。

🛡️主要企業がBIMI(企業ロゴ付きメール)を導入する理由と背景

セキュリティ上の課題(フィッシング詐欺やなりすまし被害)への対応
BIMI(企業ロゴ付きメール)は「DMARC認証+ロゴ表示」により、受信者に正規送信元であることを視覚的に示す手段として注目されています。

    • 顧客保護
      自社からの公式メールであることを容易に証明することで顧客からの信頼を維持する
    • ブランド毀損リスクの低減
      フィッシング被害を契機にDMARC導入とBIMI表示を決断するなど、実際のインシデントやリスク認識が後押しに

マーケティング・顧客体験の向上
BIMI(企業ロゴ付きメール)は「開封率」「ブランド認知」「クリック率」に好影響を与えることから、マーケティング部門からも高く評価されています。

    • 広告的な効果
      トランザクションメールとプロモーションメールの双方で開封率が向上し、ROIにも大きく影響する
    • 攻めのマーケティング施策
      配信番組やキャンペーン情報の閲覧率、プロモーションメールの開封・クリック率向上、来店や購買数に結び付けることが期待される

\ BIMI(企業ロゴ付きメール)について詳しくはこちら /

BIMI(企業ロゴ付きメール)の導入には、DMARC(なりすましメール対策設定)の設定やVMC(企業ロゴ所有証明書)の取得といった技術的・運用的なハードルがあるものの、商標不要の方式(CMC)の導入も一部で始まり、環境整備は進みつつあります。

現在、Apple MailやGmailはすでにBIMI表示に対応しています。Microsoft Outlookはまだ未対応ですが、2025年5月以降にSPF・DKIM・DMARC(なりすましメール対策設定)の送信認証要件を強化する予定となっており、将来的なBIMI対応の可能性も視野に入れた動きと見られています。

こうした環境の変化を踏まえると、BIMI(企業ロゴ付きメール)の導入はもはや一部企業の先進的な取り組みにとどまらず、ブランドの信頼構築に不可欠な標準施策となりつつあります。

✅顧客の安心感
✅セキュリティ向上
✅ブランド価値の訴求

すべてを満たすこの仕組みを、次に導入するのは貴社かもしれません。

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