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その“公式サイト”、本物ですか?――信頼を揺るがすドメインのなりすましが、今も増え続けています。
最近では、東京地方裁判所を装った偽サイトも発見され、公的機関でさえ標的になる時代に。こうした事例は、企業の信用やブランド価値を守る上で、「ドメイン管理」がいかに重要かを再認識させます。
本号では、なりすましリスクの実態と、企業資産としての「.貴社名」ドメイン(ブランドTLD)活用の可能性について解説します。
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📣トピック|裁判所になりすました偽サイトが登場――その手口と狙いとは?
2025年4月、東京地方裁判所を名乗る偽サイトが発見されたというニュースが報じられ、波紋を広げました。下記の通り、公式サイトと見分けがつかないほど精巧なレイアウトです。
※左が偽サイト、右が本物のサイトです。
問題のサイトは、裁判所のロゴ・配色・レイアウトまで巧妙に模倣しており、一見しただけでは公式サイトと見分けがつかない精巧さ。さらに、閲覧者を「相談窓口」と称するチャット画面に誘導し、そこで信頼を得るために、実在する女性弁護士の名前と顔写真が無断で使用されていたことが確認されています。
⚖️ なぜ“裁判所”が狙われるのか?
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- 心理的に強いプレッシャーを与えやすい
「罰金未納」「差押え手続き開始」など、裁判所を装った通知は強い不安を煽り、閲覧者に冷静な判断を失わせます。 - 金銭詐取の自然な導線を作りやすい
支払いを急かせることで、クレジットカード情報や電子マネー購入を入力させる導線が自然に作られます。 - “本物の弁護士”を登場させることで信憑性が増す
チャット画面で実在する弁護士の名前や写真が無断使用されていたように、巧妙な信頼演出が行われています。 - マルウェアの拡散にも利用される
「裁判所からの通知」としてPDFやWordファイルをダウンロードさせ、ウイルスやランサムウェアを仕込む手口も報告されています。 - 裁判所のWebサイトは見慣れていないため偽物と気づきにくい
日常的に裁判所のサイトにアクセスする人は少なく、偽サイトでも違和感を抱かれにくいという盲点も、攻撃者にとっては“好都合”です。
- 心理的に強いプレッシャーを与えやすい
🏛 標的は裁判所だけじゃない。自治体や省庁も狙われている。
地方自治体や総務省などの行政機関を装った偽サイトも後を絶ちません。特に、給付金やマイナンバー関連といった生活に直結するテーマを装った誘導は、不審に思われにくく、詐欺が成立しやすい傾向があります。
また、自治体の公式サイトはユニバーサルデザインや情報整理の観点から構造が比較的シンプルに設計されているため、模倣サイトを作りやすい傾向も想定されます。
<実際に確認された“なりすまし”の事例>
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- 長野県長野市(2022年6月)
偽サイトが特定の検索エンジンで公式サイトよりも上位に表示されることがあり、市は注意を呼びかけました。 - 首相官邸(2024年10月)
公式サイトを装った偽サイトが確認されました。政府は、偽サイトにアクセスすると個人情報の盗難やウイルス感染の恐れがあるとして、注意喚起を行いました。
- 長野県長野市(2022年6月)
🔐 まとめ
裁判所や自治体、省庁を装う偽サイトの手口はますます巧妙化しており、幅広い世代と関わる公的機関までもが標的となっています。
こうしたリスクに備えるための一つの方法として、自社・自組織のドメインが第三者に取得されていないか、類似ドメインが存在しないかを定期的に確認し、ホワイトリストや防御ドメインの整備を進めることが挙げられます。
当社では、自社ドメインがなりすまし被害に遭っていないかを簡単に確認できる診断サイトや、専門スタッフによるドメイン監視・不正対策サービスをご提供しています。
詳細が気になる方やお悩みのある方は、お気軽にお問い合わせください。
|参考|
GMOブランドサーベランス:
ドメイン/ウェブサイト/マーケットプレイス/SNSの検知監視ツール
GMOなりすましZERO:
自社になりすました偽サイトの存在を簡単にチェックできる、無料診断サービス
|引用|
松浦立樹.“地方自治体の偽サイト相次ぎ出現 Bingなどで検索上位に 不審なURLに注意”.ITmedia NEWS.2022-06-10,https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2206/10/news113.html,(参照 2025-04-23).
Kenichi Sakitani.“首相官邸の偽HPに注意喚起 個人情報流出、ウイルス感染のおそれ”.サイバーセキュリティ総研.2024-10-24,https://cybersecurity-info.com/news/beware-of-fake-prime-ministers-office-website/,(参照 2025-04-23).
“裁判所の「偽サイト」、実在する「女性弁護士」の写真悪用…チャットで詐欺サイトに誘導か、本物と見分けつかず”.弁護士ドットコムニュース.2024-10-24,https://www.bengo4.com/c_8/n_18698/,(参照 2025-04-23).
📣ドメインシリーズ|【ビジネス成功の極意:[.貴社名](ブランドTLD)活用】
「.com」や「.jp」といったドメイン名は、インターネット上の“住所”のような存在です。多くの企業がこうした既存のTLD(トップレベルドメイン)を利用していますが、それとは一線を画すのが「ブランドTLD」という仕組みです。
ブランドTLDとは、ドメイン名の末尾に企業名やブランド名そのものを使用できるもので、たとえば「brandsecurity.gmo」の「.gmo」部分がそれに該当します。
企業はレジストリ(ドメイン発行元)として、自社ブランド名を冠したドメインの構造や利用ルールを自ら定めて管理できるのが最大の特徴です。
これは、一般的な「.com」などのTLDを“賃貸物件を借りる”ように使うのとは異なり、ブランドTLDは、表参道や銀座並木通りといった“超一等地”への出店に匹敵するといえるでしょう。

2026年4月、ブランドTLDの第2ラウンド申請受付が開始されます。
前回(第1ラウンド)は2012年なので、実に14年ぶりの再開となる今回は、まさに待望の機会です。
当時は知的財産保護を主目的として取得する企業が多数を占めていましたが、今ではその役割が大きく変化しています。
信頼性の可視化、ブランド戦略の一元管理、そしてDXに対応した柔軟なドメイン活用へと進化を遂げた今、ブランドTLDは「守り」ではなく「攻め」のツールへと変わりつつあります。
つまり今こそ、.貴社名(ブランドTLD)を“ブランドの信頼性を高め、ブランディング効果を最大化し、コスト削減にもつながる実用的な戦略資産”として活用すべきタイミングなのです。
この申請機会は、10年に一度のまたとないチャンス。
自社名をそのままTLDとして掲げられるこの制度は、企業のブランド力や信頼性を新たな次元へ引き上げる“未来のブランド資産”として、今こそ検討に値します。
✅ なぜ今、.貴社名(ブランドTLD)を申請すべきか?
✔ ブランドの“公式性”と信頼性を高める
近年、SSLやWhois非公開化などにより、ウェブサイトの正当性が分かりにくくなっています。
しかし、「○○.企業名」というシンプルで明確なドメイン構造であれば、ユーザーに“これは公式だ”と安心感を与えることができます。
✔ ブランド資産の統合と管理効率化
「event.企業名」「subsidiary.企業名」など、関連サイトを一つの.貴社名(ブランドTLD)のもとに統一できるため、管理効率が向上し、ブランドの一貫性も強化されます。
さらに、第三者による類似ドメイン取得リスクの低減にもつながります。
✔ ドメイン管理コストの最適化
これまで防衛的に取得していた複数の関連ドメインを見直すことで、ドメイン更新や管理にかかる手間と費用を抑えることが可能です。
世界では、「.bnpparibas(金融)」「.audi(自動車)」などの導入が進み、日本国内でも「.toyota」「.toray」「.gmo」など、活用の幅が広がっています。
たとえば「sonic.gmo」はイベント特設サイトとして、「konpon.toyota」は子会社の公式ページとして使用されるなど、柔軟な運用事例も多数見られます。
また、Googleも「新しいTLDは従来のgTLD(.com等)と同等に評価する」と公表しており、SEO上の不利もありません。
.貴社名(ブランドTLD)は、企業ブランドの信頼性を高め、ブランディングを強化し、管理効率やコスト最適化にもつながる実用的かつ戦略的なドメイン資産です。
そして何より、申請受付は今年6月から開始されます。これは、“企業の未来資産”を築くためのまたとない好機です。
当社は、単なる申請代行にとどまらず、当社グループの活用実績を踏まえて、取得後の活用戦略や運用支援まで含めた、実践的かつ包括的なサポートをご提供できます。
ぜひこの機会に、貴社のブランド戦略に.貴社名(ブランドTLD)の導入をご検討ください。
|引用|
柳谷智宣.“例えるなら“表参道の一等地” 14年ぶりに申請開始する「ブランドTLD」の価値とは?”.ASCII.jp.2024-05-11,https://ascii.jp/elem/000/004/268/4268134/,(参照 2025-05-13)
📣統計情報
TLD別ドメイン登録件数

gTLD、ccTLD、新gTLDの3種類のTLDにおける全体のドメイン登録件数とその内訳を示しています。括弧内の数字は前月との比較を表しています。ccTLDを含むすべてのTLDカテゴリにおいて、全体的に増加傾向が見られます。全体(Total)では1.11%の増加(357,788,856件)となりました。
📣TLD情報
【優先登録開始予定の新gTLD 一覧】

📣編集後記
先日、1泊2日で札幌へ旅行してきました。小さい頃に訪れたことがあるらしいのですが、まったく記憶がなく……今回は“初めての札幌”として満喫してきました!
食べることが大好きなので、王道の「味噌ラーメン」「ジンギスカン」「海鮮」「スープカレー」など、“The 札幌”グルメをフルコースで堪能。どれも美味しくて、気づけば自分の成長を実感する旅になりました…(笑)
これまでに「網走」「小樽」「札幌」と、北海道の名所をいくつか楽しめたので、次は「函館」や「美瑛」あたりを旅してみようかな、と計画中です✈️
📣ライター
トピック➀:野津 絵理香
ドメインシリーズ:野津 絵理香
統計情報:范 渝絢
TLD情報:藤原 恵利
編集後記:野津 絵理香
発行責任者:矢島 崇成