Nike社 スニーカーデザインの商標権に基づきBAPEを訴える

スポーツ用品大手 Nike(ナイキ)社が、米国でファッションブランド「A Bathing Ape(ア・ベイシング・エイプ)/BAPE(ベイプ)」を展開するUSAPE LLC(以下BAPE)を商標権侵害等を理由に ニューヨーク州南部地区連邦地方裁判所に提訴しました。

Nike社は「Air Force 1」・「Air Jordan 1」・「DUNK」といった同社のバスケットボールシューズ由来のデザイン・トレードドレスについて、アッパー・ミッドソール・ソール・ヒールといったパーツごとに米国で約30件の商標登録を所有しています。今回の訴えはこれらの登録商標の権利を侵害するというものです。

訴状には以下のようなNike社の登録商標と実際のシューズ、BAPEのシューズの対比表が記載されていますが、これを見る限りBAPEのシューズがNikeシューズのデザインを模しているのは明らかなように感じます。

Nike社はBAPEシューズの販売中止を求めていたものの、BAPEがこれを拒絶したために訴訟に至っています。今後BAPEがどのような理屈で商標権侵害を否定するのか、判決に至った場合どのような解釈が説示されるのか、大変興味深いところです。

(US Distric Court for the Southern Districtof New York: Case No. 1:23-cv-00660)


早川 信秀(はやかわ のぶひで)

GMOブランドセキュリティ株式会社
商標事業本部 商標部 シニアコンサルタント

企業での商標実務歴30年。調査・権利形成手続きのコンサルティングに止まらず、社内のルール作りやブランド戦略立案といった分野で、企業出身者ならではの視点でお客様の問題解決に取り組んでいます。