第70回のICANNは、前回同様、ウェブでの開催となりました。
少し面白いのは、ICANNミーティングが世界中の都市をラウンドしている関係で、今回はメキシコカンクンの時間に合わせての開催していたということです。世界中のインターネットリソースを広く平等に管理するICANNらしい振る舞いですね。
では、第70回ではどのようなことがあったのか、ハイライトでお伝えをします。
次回申請用新gTLDポリシーの最終稟議へ
ワーキンググループから提出を受けた『新gTLDポリシー』のレビューとコメントをGNSO(Generic Names Supporting Organization・一般名称下部組織)が、2021年2月に完了しました。今回のICANNミーティングにおいて、最終稟議先のICANN理事会への提出がなされ、本稟議は次回のICANNミーティングには終える見通しとなっています。
この稟議が終わると何が起こるかというと、第二回(セカンドラウンド)の新gTLD募集がいつでもスタートされる状態になります。いつ開始されるのかと言われていたセカンドラウンドも間近に迫ってきました。
セカンドラウンドへの足止めか?
今回の最終稟議を前に、ICANNの諮問委員会の一つであるSSAC(Security and Stability Advisory Committee)が、DNSの悪用についての声明をしています。
SSACは、インターネットのセキュリティ(安全性)とスタビリティ(安定性)について議論する諮問委員会です。
SSACが懸念している点は以下の4つです。
- 新gTLDの更なる拡大は、ICANNの当初の役割を超え始めている。
- セカンドラウンドを行うのであれば、安全性と安定性の確保が必要。そのためのKPIを明確にするべき。
- デジタルスペースでのフィッシング等の犯罪は急増している。一因にTLDの開放がある。
- TLDの開放によるDNSの悪用の実態とその対策を講じる必要がある。
上記内容は、よくあるポジショントークのようなものでもあると考えます。このような懸念については以前より上がっており、そのための一定の調査をICANNは行ってきましたので、今回の声明でセカンドラウンドが大幅に遅れるという可能性はあまり高くないのではないかと想定しています。
ブランドTLDの活用動向
amazon(アマゾン)は、IoTが盛んになる中、IPv6通信をするエンドポイントについては、.awsを展開していくことを想定しているようです。この動きは、他でも起きており、.gmoもIoT機器の増加、5Gへの対応から同様のことをしています。ネットワークがより複雑化する中で、特定のTLDを利用していることを目印として、上手くセグメント分けをすることが狙いと考えます。先進的な試みは今後も注目を集めそうです。
また、メディア関連事業を展開するSKY(スカイ)は、ブランドTLDをサービスローンチなどのアピールに全面的に利用することで、ブランド発信の統一性と強化を行うことを目指しているとのことです。また、ブランドTLDを利用することで保護ドメインの取得を大幅に削減することができ、目に見える効果もでていると説明をしています。SKYは、実際ドメインポートフォリオを半減させたと述べています。
以上、ICANN70のハイライトでした。いかがでしたでしょうか?
GMOインターネットグループは、第一回(ファーストラウンド)募集の日本における90%近くの申請をサポートした企業グループです。
セカンドラウンドを前に既存ドメインの棚卸しや戦略策定をされたい、という場合には、いつでもお問い合わせください。
著:営業本部 寺地 裕樹