Toreru、Cotobox、nomyne。 今話題のオンライン商標登録サービスを徹底比較

法律の分野にITを導入する。
電子契約などの、いわゆるリーガルテックが今話題です。

その中でも、オンライン商標登録サービスと呼ばれる分野があり、国内ではToreru、Cotobox、nomyne byGMOの3サービスがあります。
この記事ではそれら3サービスを徹底比較します。

(注意)本稿は、nomyne byGMOの運営元であるGMOブライツコンサルティングの関係者が執筆していますが、各サービスについて可能な限り公平な記事を心がけています。関係者のみなさまにおかれましては、何卒ご理解下さい。

まずは、オンライン商標登録サービスの成り立ちからお話します。


オンライン商標登録サービスの成り立ち

ネット経由で特許事務所に依頼できるようになった

そもそも、商標は弁理士や弁護士などの国家資格も持つものだけが助言などを行うことのできるものです。
しかし、インターネットの広まりとともに、ネットから商標の出願を依頼したいという要望がでます。

そこで、インターネットで広くマーケティングをおこない、オンラインフォームで出願の依頼をできるサービスを、弁理士事務所が開始しました。
みなとみらい特許事務所やスカイ特許事務所などが、オンラインでの依頼受付を開始。
また価格も格安なところから、オンラインでの商標出願依頼の人気が高まりました。

それって、ITなのか?そして、第二世代の登場

ブラウザ経由での依頼、メールベースでの弁理士とのやり取り。

たしかにITを駆使していますが、ITってもっといろいろな事ができるんじゃないか?と疑問をもったネットネイティブ世代のサービスが登場を始めます。

それが、Toreru、Cotobox、nomyne byGMOに代表されるリーガルテック世代です。

ドメインをとるように、商標を取りたい

商標は、既に似ている文字列や図形が登録されている場合、登録はできません。

今までは、特許庁の公開しているサービスか、弁理士向けの特殊なシステムでしか出願や登録されている商標を検索できませんでした。

なので、旧世代のサービスでは、登録したい商標が取得できるかどうか、直ぐにはわかりません。依頼をしてから数日待って、やっと結果が報告されます。

対して、ネットネイティブ世代は「ドメインをとるように」商標を手軽にとれるようにすることを目指しています。


オンライン商標登録サービスの比較ポイント①検索結果

Toreruの検索結果

残念ながら、無料調査はできるものの、検索結果がリアルタイムで表示される仕組みはないようです。

調査結果は数日後にPDFで送られてきます。

しかし、調査結果は専門の弁理士が作成しているだけあって、非常に品質が高いと感じられるものでした。

Toreruでは、ユーザー側に提供する技術よりも、弁理士側での業務にAIを駆使し、結果として低コストでのサービス提供を目指しているようですね。

Cotoboxの検索結果

Cotoboxの検索結果

すっきりしたデザインですが、指定商品役務(後ほどくわしくご説明します)を入力しないと結果はでてこないようです。

ただ、「BRAND TODAY」という文字列を入れただけで「ぶらんどとでー」と読みがなが自動的に振られるところは、技術力の高さを伺えます。

nomyne byGMOの検索結果

nomyne byGMOの検索結果

「商標調査」ではなく「ネーミング検索」と題したnomyne byGMOの場合は、類似の検索結果が画像とともに一覧されます。

日本国の商標だけでなく、全国の会社名、米国商標からも検索が可能です。

また、このように、調査結果をパーマリンクで共有可能なのでネーミング作業時には便利そうです。

ネーミング検索という観点で、ToreruやCotoboxが弁理士由来のサービス、nomyne byGMOはブランドコンサル由来のサービスという出自の違いが大きくでているところです。


オンライン商標登録サービスの比較ポイント②指定商品役務

指定商品役務って何?

出願者によって指定された商品と役務。すなわち指定商品役務です。

商標は特定の商品の用途やサービスの範囲内でのみ、その効力が発揮されます。

したがって出願時には「こういう範囲で、この名前を使いますよ」ということを、予め特許庁に伝えなければなりません。その「こういう範囲」のことを指定商品役務と言います。

この「こういう範囲」が実はクセモノで、特許庁の公開している標準的な指定商品役務以外、例えば人工知能や量子コンピューターなどの新技術を指定商品役務の中に組み込もうとすれば、まず「拒絶査定通知」すなわち「この指定商品役務、よくわかりません」というお達しがきます。その後、その指定商品役務が何であるのかを説明しなければいけません。

これを俗に中間対応といいます。非常に面倒なため、この中間対応が発生すると追加で料金を請求する弁理士事務所も少なくありません。

Toreruの指定商品役務

前述のように、Toreruはオンラインでのリアルタイムな調査ができません。

そのかわりに、弁理士のサポートで指定商品役務を決定します。

Cotoboxの指定商品役務

Cotoboxの指定商品役務

画面左側に指定商品役務を選択するUIがあります。
ここで選択をするとすべての指定商品役務を対象に調査結果が表示されます。

非常にシンプルでわかりやすい、優秀なUIだと感じます。

nomyne byGMOの指定商品役務

nomyne byGMOの指定商品役務

例えば、「情報」というキーワードを入力すると、関連する標準的な指定商品役務の文字列が羅列されます。(とても長大なので割愛しています)

Cotoboxに比べて、nomyne byGMOのUIはこれでもかというくらい情報を見せている傾向があるようです。。。

ここで重要なのが「標準的な指定商品文字列」というところです。
Cotoboxもnomyne byGMOも、出願条件を「標準的な指定商品文字列」に限定することで、中間処理をほぼ排除しています。

そのかわりに、新しい技術やサービスなどの出願には向いていないとも言えます。


オンライン商標登録サービスの比較ポイント③価格

気になるお値段の比較です。

一般的に商標の出願には、弁理士の手数料+特許庁に支払う印紙代があります。
ここでは出願まで1区分として、それらを含めた形で価格を表示します。

Toreruの価格

出願まで1区分で22、000円(税別)です。

また、早期出願などのオプションが豊富でさすが弁理士事務所と思わせるものがあります。

Cotoboxの価格

出願まで1区分で17、000円(税別)です。

これ以外にも弁理士の手厚いサポートが受けられるプレミアムプランも準備されています。
ただ、基本的には登録までの総額しか表示されておらず、拒絶査定通知がでた場合のフローは不明です。

nomyne byGMOの価格

出願まで1区分で21,779円(税込)です。

nomyne byGMOの場合は弁理士が選択できるようになっています。
現在は1名のみの登録ですが、今後増えることが予想され、価格も弁理士により変化するでしょう。

ToreruやCotoboxが弁理士事務所がITによって拡張した形態。
nomyne byGMOはブランドコンサルが、ネーミング検索とその派生としての商標登録プラットフォームを提供しているという違いがここからもわかります。


オンライン商標登録サービスの比較まとめ

同じ「オンライン商標登録サービス」と言っても、三人三色と個性が強いことがよくわかりました。
あえて私見を書かせていただきますと、

Toreruは今までの弁理士事務所と同じサービスをひたすらオンラインで追求しています。今までの弁理士事務所と同品質のサービスをオンラインで受けたいという人には最適です。

Cotoboxはできるだけ人を介さずに、コンピューターの力だけでスマートに解決し、商標業務の新しい地平を開こうとする意気込みが感じられます。
また価格面に関しても最も優位です。

nomyne byGMOはToreruやCotoboxと違い、(プロ向けでは月額数万円もするような)米国商標の検索など、手軽なネーミング検索を強く意識しています。もちろん手軽に商標登録が可能なところは他のサービスと同じですが、ネーミングの際に手軽に使えるツールとしては、他の2サービスよりも明らかに優位です。

となります。

IT技術の発展によって、情報の流通が変わり、物流も変わりました。
次は権利の流通が変わる時代が来たのかもしれませんね。

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