先日、熊本県がとうとうあの「くまモン」の中国・香港・台湾での名称を「酷MA萌」から、「熊本熊」に変更する方針を明らかにした、というニュースを目にしました。
このニュースを見て思い出したのは、BRANDTODAYの2018年11月11日の記事です。
“くまモンの非公式名「熊本熊」が中国でひとり歩き、求められる中国の理解と必要な検討とは”
「くまモン」のように広く定着してしまった商標を後から刷新することの難しさについて書いていますが、あの時の危惧から4か月、結局一般に広く認知されている名称を正式名称とすることになるかもしれません。
先代編集長の読みが当たっていました!
ということで、BRANDTODAYでは商標に興味を持ってもらうために、過去から何度も将来を予測するような記事を書いてきていますが、実際のところ、その予想は当たってるのかな?と気になり検証をしてみました!
検証1:ZARA SRPLS
普段はなかなか見返す機会の少ない過去の記事ですが、例えば、2018年6月5日の記事です。
“ファストファッション業界の勝ち組ZARA、「ZARA LAND」「ZARA CITY」気になる出願商標を発見”
「2018年5月に出願された最新の商標が、「ZARA SRPLS」。既に、ZARAには「ZARA TRF」「ZARA basic」「ZARA WOMAN」などのブランドラインが存在し、ブランドライン毎の特性に合わせた展開も、本ブランドの人気の要因となっています。
これらブランドラインの出願区分と近しい出願がされているのが、この「ZARA SRPLS」。現時点で本ブランド展開の情報を見つけることはできませんでしたが、新たなブランドライン発表を控えているのかもしれません。今後の展開に注目です。」とのこと。
そこで実際の展開を調査すると…2018年11月に新たなコレクションとして「ZARA SRPLS」を発表しています。
また、日本公式サイトによれば2019年春のコレクションとして「ZARA SRPLS」第二弾を発表するようで、COMING SOONの表示が出ています。
ZARAのような超有名ブランドを抱えるインディテックス社であっても(だからこそ?)、半年近く前から新たなビジネス展開に備えた出願をしているということになります。
ZARAにとっては新しいブランドの立ち上げを堅実に行うために前もって足場を固めています。他社からすれば、こうした公開情報に気づくことで、マーケティングの対抗策を講じることはできると考えます。今や知財の情報は、知財担当者の権利の攻防のための情報の意味だけでなく、マーケティングをサポートする一つの重要情報として機能する可能性があります。
検証2:SHIBUYA QWS
次は2018年10月5日の記事です。
“加速する渋谷再開発 これから開業予定の商業施設はどんな名前になるのか”
「SHIBUYA QWS\渋谷キューズ」が渋谷再開発の施設ネーミング予測の1つとして出てきています。
これも実際の状況を調査してみると、2019年の秋に開業予定の渋谷駅直結、新ランドマーク「渋谷スクランブルスクエア」15階産業交流施設の名称であることがわかりました。
公式ホームページによれば、「多様な人たちが交差・交流し、社会価値につながるアイデアや新規事業などを生み出すことを目指した未来共創拠点」(https://shibuya-qws.com/)とのこと。
一体どのような施設になっていくのでしょうか…想像が膨らみます。
日本だけの展開しか基本的には想定はされてはいないと思いますが、3文字商標で挑むあたりは勇気が要ったのではと思いました。
一般論ですが、文字数が少なければ少ないほど、ネーミングは寡占になりがちです。特に海外であると、頭文字をとって3、4文字の名称は多いです。寡占であると何が起きてしまうかといえば、商標を他者にも先行取得される可能性は高まる、つまりは考案したブランドで展開できない国がでてくるからです。
やっぱり、出願から未来はある程度予測できる!
2つの例を取り上げてみましたが、出願状況をみると、分野によってはビジネス予測することはできそうですね。
もちろん、単に保護的な観点からの出願である場合や、結局ビジネス判断で発売されない場合も考えられますが、公開情報を知らない判断より、知っての判断のほうがマーケティングサイドのビジネス成功確度を上げることができるのではないかと考えました。
自分の気になるブランドをJ platpatやGlobal Brand Databaseで調べてみて、いち早く今後の予測をしてみるのも楽しいのではないでしょうか。
誰より早く新商品についての情報をゲットできるかも…?そんな期待に胸を膨らませながら、今後もまた観察を続けていきたいと思います。