2018年も残すところ僅かとなりました。BRAND TODAY では、「出願商標から見える2018年のトレンド企業」を発表いたします!「ビジネス」を守る商標からは、今後のビジネス化動向を予測することが可能です。ということは、2018年に出願件数が多い企業は、今後急成長する可能性があるかも!?
2018年に産業界の改革に大きな影響を与えたキーワードから見えてくる、今後伸びる企業とは?を、一足早くお届けいたします。
ブロックチェーンとは
そもそも、”ブロックチェーン”とは、2009年に「ビットコイン(仮想通貨)」という電子決済システムが開発されたことで生まれた技術で、完結に言うと「取引記録」を指します。このブロックチェーンはシステム上の1箇所で管理される仕組みではなく、分散されて管理されることが特徴です。今までは1つの箇所で管理される「中央集権型(下左図)」で、システムのダウンや独裁的なコントロールが懸念されていましたが、分散型の「ブロックチェーン(分散)型(下右図)」になったことでそれらのデメリットを無くすことに成功しました。
(画像出典:https://blog.btrax.com/jp/affected-by-blockchain/)
ブロックチェーン技術は、取引データを分散させて管理し、お互いを監視させることで高い安全性を担保しており、「インターネットに次ぐ革新技術」とまで言われています。また、ブロックチェーンは、ビットコインにのみ使用される技術ではなく、銀行、保険、カーシェアリング、不動産、選挙、教育、著作権など、幅広い分野での活用導入が検討されており、今後に期待が集まる技術です。
2018年「ブロックチェーン」のトレンド企業
世界最大の商標データベース「GlobalBrandDatabase(以下略GBD)」で、”Blockchain”を指定商品/役務に含んでいる出願商標は3,413件。その内、2018年にブロックチェーン関連の出願を多く行っている企業TOP5こちら。
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順位 | 権利者名(国名) | 事業内容(URL) | 出願件数 |
1 | ConsenSys(アメリカ) | ブロックチェーンのソフトウェア技術企業(https://consensys.net/) | 47 |
2 | Black Gold Coin, Inc.(アメリカ) | Aten Coinに関わる企業か?(WEB上で情報なし) | 34 |
3 | [su_highlight background=”#fffe99″]Orbs(イスラエル)[/su_highlight] | ICOで注目されているプロジェクトの一つ(https://orbs.com/jp/) | 31 |
4 | Harbor(アメリカ) | ブロックチェーンテクノロジー企業(https://harbor.com/) | 28 |
5 | Akbank(トルコ) | トルコ最大の銀行の一つ(https://www.akbank.com/) | 23 |
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今後伸びる企業はこれだ!
3位にランクインしたのは、ブロックチェーン最先端の国イスラエルで誕生した”Orbs(オーブス)”。2017年11月に設立され、2018年のICO(仮想通貨を使用して行う資金調達)で大きな注目を集めた企業のひとつです。
(画像出典:https://orbs.com/)
分散型 Amzon Web Service の提供へ
Orbsは、ブロックチェーンを基盤としたコンシューマー向けアプリのインフラを提供することを目標にしています。目指すプラットフォームは、AWS(Amazon Web Services)の”分散型版”のアプリケーションインフラを提供すること、つまり、ブロックチェーン技術が使われたアプリケーションインフラの提供です。
Webアプリケーション作成のためには、その土台となるサーバやデータベース、ネットワークなどの「インフラ」環境を用意する必要があります。そこで開発されたのがAWSです。この、AWSを利用することにより、企業は開発だけに専念できるようになり、今、多くのアプリケーションがAWSを利用して開発されています。
(画像出典:「AWSの国内導入事例一覧」 https://aws.amazon.com/jp/solutions/case-studies-jp/)
ブロックチェーン技術を元とした、分散型アプリケーションを用いることで、1つのサーバーがダウンしても他のサーバーが処理を継続できるようになり、サーバ障害を防ぐことができるようになるのが大きな特徴です。
同社の一番最新の出願が、2018年10月9日に出願された「HEXA」という商標。この、指定商品/役務には、”分散型(distributed)”というキーワードが、8回も繰り返し登場し、同社が目指すべきプラットフォームへの意思表示がされているように感じます。
今後の気になる展開は?
2020年までにサービス提供を開始することを目標に掲げていますが、具体的な予定についての情報は公開されていません。
同社は、2018年1月以降アメリカへの出願のみ行っていましたが、2018年7月に入ってから、イスラエル、日本、EUIPO、韓国に対して出願国を増やし、新たな動きが出始めています。現在、同社の出願国先は下記通りです。
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出願国 | 出願件数 |
アメリカ | 34 |
イスラエル | 3 |
日本 | 2 |
EUIPO(ヨーロッパ) | 2 |
韓国 | 1 |
[/su_table]
Orbsの開発チームは70人ほどで120億円の資金を集めていると言われています。その資金調達の中心がアジアで、イスラエルやシンガポール、韓国に拠点があることから、米国よりもアジアへの展開を考えていると言われています。また、共同創業者の1人である、ユリエル・ペレド氏は「仮想通貨ユーザーが多い日本は、マーケットとしても魅力的」と語っており、[su_highlight background=”#fffe99″]同社が注力していく国が、上記表(同社の出願国先)での動向と一致する形[/su_highlight]。
今後、データベースを注視することで、同社が展開していく国が見えてくるのではないでしょうか。2020年のサービス提供開始に向け、今後も動きが加速していくことが予測できるOrbsから引き続き目が離せません。
〈ライタープロフィール〉
中山 礼美(なかやま れいみ)
GMOブライツコンサルティング株式会社
IPソリューション部/メディア担当
consul@brights.jp
2011年に入社後営業サポート業務に携わり、2017年5月よりメディア担当者として、商標やドメインネームの業務を学びながら記事を発信。様々な業界のトレンドを意識した記事作りの難しさに奮闘中。趣味は食べるコト、プチプラでお得感の高いものを探すこと。