近年、企業が自社アカウントを取得し、Webメディアの戦略としてTwitter、Facebook、などのSNSを運営するケースが多くなってきました。広告費をかけずに安価で簡単に自社の宣伝ができる点や、ファンや消費者に親近感を感じてもらいやすく購買行動などにつなげていきやすい点など、上手に活用することで得られるメリット多くあるからです。その反面、たったひとつの発言が炎上し、一気に企業を存続危機にまで追い込んでしまうこともしばしば起こっています。
インターネットやSNSの普及により、情報拡散のスピードがとてつもなく早い現代において、企業の運命をも左右する「炎上」と「神対応」をご紹介します。
「炎上パターン」
Twitterでの炎上
1.『楽天トラベル』の公式Twitter(@RakutenTravel)が、シンガーソングライターの柴田淳さんのアカウントに向けて「ぶさいく」とツイートしていた件で、楽天トラベル側が柴田さんに対し謝罪。
2.長崎市に原爆が投下されてから70年目を迎えた8月9日、『ディズニー・ジャパン』の公式Twitter(@disneyjp)が「なんでもない日おめでとう」とツイートし、不適切な表現があったことを謝罪。
3.ソフトウェア開発などを手がけている株式会社ウェッブアイの森川勇治社長のTwitter(@yujimorikawa)。面接に来る人材について文句を漏らしたところ、批判の声が殺到。
4.シャープ製品の公式Twitter(@SHARP_ProductS)が、任天堂の「ミニスーファミ」発表に関連して、「面白そうだけど…冷静に、私の思い出(年代的にボリュームゾーン世代より少しずれている事が大きい)を価値に換算していくと…」と、ソフトの価値を金額にしてまとめた表を載せ、「なぜ他社製品を値踏みするようなことを」と批判が殺到。
CMでの炎上
5.アサヒ飲料社が展開する「三ツ矢サイダー」のCMが、トランペットを吹く女性に後ろから人がぶつかってくるシーンについて、「唇をけがし、演奏不能になる可能性がある」などと危険性を指摘する声が相次ぎ、CMの放送を中止。
6.日清食品社が展開する「カップヌードル」のCMが、不倫騒動などで話題となった矢口真里さんや、世間で大きな話題になった出演者らを集めたことで「悪のりでは」と批判の声が相次ぎ、「不快な思いを感じさせる表現があった」と謝罪した上でCMの放送を中止。
7.ユニバーサルホーム社が放映しているCMが、母親は子どもの相手ができないほど家事に追われている一方、父親は見守っているだけで他人事だと批判やツッコミが多数寄せられる。
8.ユニ・チャームが展開するおむつ「ムーニー」のCMが、母親が一人きりで子育てに取り組む「ワンオペ育児」を肯定的に扱っているのでは?と批判が多数寄せられる。
海外での炎上
9.イタリアのファッションブランド、ドルチェ&ガッバーナがインスタグラムへ投稿した動画で、アジア系のモデルが、箸でイタリア料理を食べるのに苦労する様子が「人種差別」と批判が相次ぎ、ファッションショーの開催を中止。
「神対応」
1.物流にも大きな影響を及ぼした西日本豪雨で、週刊少年ジャンプの配送にも大きな影響がありました。その緊急措置としてWEB上で32号を特別配信した週刊少年ジャンプの神対応に、多くの感動や感謝の声があがった。
2.食品・調味料大手のカゴメ社が、就職活動で同社に応募した学生に「就職先として興味を持っていただきましたことに心から感謝いたします」という御礼と共に、自社製品を送っていることがわかり、この神対応に称賛の声が相次いでいる。不採用の場合、何の連絡もしない企業も少なくない中、毎年数千人から1万人ほど応募者全員に製品を渡しているという。
3.カフェ顧客満足1位のドトールが、店内BGMについての問い合わせをしたユーザーに対し、エクセルで全曲プレイリストを送り、また、「寒暖差の激しい日が続きますので、お風邪など召されませぬよう、どうぞご自愛下さいませ」という一言まで添えられてていたという神対応に、「さすがドトール」「ドトールに行きたくなった!」と驚きと感動の声があがる。
「神対応」という評価を生む要因はほとんどスピードだとも言われています。日本のスナック菓子メーカーであるカルビー社は、卓越したお客様対応でクレーム客の95%をファンに変える「お客様相談室」が注目されています。例えば、”15分以内に状況、問題をカルテにまとめる” ”訪問の場合は2時間以内に駆けつける”など、スピードを意識した対応をしていることが伺えます。
様々な選択肢を探ること
「炎上」「神対応」の事例からは、情報拡散のスピードがとてつもなく早い時代であることが、改めて伺えます。時代を知り、パターンを知り、動き方を考えることは重要ではないでしょうか。
また、ネット上か否か。企業独自の問題か企業間での問題か。などの状況を問わず、企業がどのような対応をするかを、ユーザーは常に見ているのことにも気づかされます。
企業がどう動くかが常に見られている今、様々な選択肢を探り、ユーザーに寄り添って考え、企業としての方向性を決めていくことが求められているように感じます。
〈ライタープロフィール〉
中山 礼美(なかやま れいみ)
GMOブライツコンサルティング株式会社
IPソリューション部/メディア担当
2011年に入社後営業サポート業務に携わり、2017年5月よりメディア担当者として、商標やドメインネームの業務を学びながら記事を発信。様々な業界のトレンドを意識した記事作りの難しさに奮闘中。趣味は食べるコト、プチプラでお得感の高いものを探すこと。