AI(人工知能)が搭載されたスマートスピーカ(AIスピーカー)は、欧米圏を中心に人気が出ており、スマートフォンの次を担うデバイスへと注目を集めています。
日本ではAmazon社の「Amazon Echo」、Google社の「Google Home」、LINE社の「Clova Wave」などが発売されており、目にしたことがあったり、中には購入された方も多いのではないでしょうか。3社の出願商標から、スマートスピーカーについてご紹介いたします。
区分に注目
[su_box title=”区分とは”]
商標を出願する際には、その商標を使用する商品や役務(サービス)を指定するのですが、その指定された商品や役務が属する業種も合わせて指定します。 この業種のことを”区分”といいます。
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3社の出願商標を区分別に見た結果がこちら。
”電気通信機械器具”などが対象となる9類、”電気通信”などが対象となる38類、”ソフトウェア”などが対象となる42類が、共通区分として出願がされていることがわかります。
指定商品・役務に注目
[su_box title=”指定商品・役務とは”]
商標登録出願に当たっては、商標の使用をする商品・役務について、区分に従って内容及び範囲が明確に把握できるよう具体的に記載する必要があります。また、指定商品・指定役務は、商標とともに権利範囲を定めるものとなるため、その内容及び範囲は明確であることが必要であり、記載する内容はとても重要なものとなるのです。
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指定商品・役務に”speakers”がどのように記されているのか、3社の出願商標で比較した結果がこちら。
Amazon社とGoogle社が共に、”voice controlled speakers”を、Google社とLINE社が共に、”audio speakers”を記していることがわかります。他にも、各社毎に様々な表現をしていることがわかります。
また、”artificial intelligence(AI)”を指定商品に記していたのは、下記通りLINE社のみという結果でした。
これは、メーカー各自身が自社製品をどのように紹介しているか、が影響していることが関係していることが考えられます。Amazon社は「スマートスピーカー」、Google社は「スマートスピーカー」、LINE社は「スマートスピーカー」または「AIスピーカー」と、各社ウェブページで紹介されている通り、日本では「AIスピーカー」と呼ばれることが多いように感じますが、Wikipediaや他のメディアでも「スマートスピーカー」と紹介されており、「スマートスピーカー」としての呼び方が主流である印象でした。
”smart audio speakers”の指定商品・役務に注目
Amazon社が指定商品に記している”smart audio speakers”を指定商品に記した出願商標は257件。その内、出願件数の最も多い企業は「ESSENTIAL PRODUCTS, INC(エッセンシャル・プロダクツ)」の89件であり、これは2位のAMAZON TECHNOLOGIES, INC.の51件を大幅に超えた件数であることは、注目すべき点です。
エッセンシャル・プロダクツは、米国のテクノロジー・製造企業で、2015年に、“Androidの父”と呼ばれるアンディ・ルービン氏によって設立されました。近年、スマートフォンの圧倒的なiPhoneの普及が進み、米国のスマホメーカーは次々に無くなり、主要メーカーで米国に本社があるのはアップルぐらいしかなくなってしまったと言います。そんな中、注目されているスマートフォンが、同社が開発をした「Essential Phone(エッセンシャルフォン)」。
画像出典:https://www.essential.com/jp
また、ルービン氏の開発は、スマートフォンでは終わりません。同社は、Amazon EchoやGoogle Homeの競合と目される「Essential Home」など、さまざまな「スマートスピーカー」製品群を開発しているのです。現時点で販売価格・販売日などは明らかにされていないものの、出願商標からも、「Essential Home」をはじめとする「スマートスピーカー」関連の出願が多数確認でき、同社が「スマートスピーカー」へ注力していることが伺えます。また、先ほどの区分表でエッセンシャル社を追加した結果がこちら。
3社(Amazon社、Google社、LINE社)と同様の主要区分である9類、35類、38類、42類を指定していることがわかります。
エッセンシャル社の狙う差別化とは
「Essential Home」は、多くのコマンドをローカルで処理することでプライバシーを尊重することが可能にできるよう、さらなる差別化を図ろうとしています。これに対し、Amazon EchoとGoogle Homeは完全にクラウドを通じて機能し、ユーザーのコマンドからデータを収集する形。また、Essential Homeは、当初からプロアクティブ(proactive)な通知機能を備えると言います。これは、AmazonとGoogleの競合製品ではまだ開発中の機能だと言い、注目が集まっているのです。「Essential Home」の出願商標の中には、”proactive monitoring system”が9類の指定商品に記されており、他社との差別化を意識した開発を進めていることが伺えます。
画像出典:https://www.essential.com/home
出願件数でも圧倒的な存在感を放つ、スマートスピーカ「Essential Home」。今後、既に販売がされているスマートスピーカーへどのような影響を与えていくのか、引き続き注目です。
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