商標における「使用」

登録される商標

登録主義*1・使用主義*2を問わず多くの国・地域において、商標 とは、商業活動で「使用」しているマークだと、規定されています。登録される商標は、原則的に「使用」している、もしくは「使用予定」であることが前提とされています。

そして、使用主義の国・地域の場合(しばしば登録主義の国・地域であっても)、「使用」していること(「使用予定」であること)を宣誓(使用宣誓書の提出)する必要があります。さらに、国・地域によっては、その宣誓とともに「使用」している証拠(使用証拠)の提出を求められることもあります。

また、登録時や更新時には使用証拠が求められない国・地域においても多くの国・地域では、登録後であっても継続した一定以上の期間で、使用していない状況(不使用)であることが認められると、その権利が取消されます。

*1 最も早く出願(登録)したものに、商標権が生じるという考え方

*2 最も早く商標の使用を始めたものに、商標権が生じるという考え方

商標における「使用」とは

一般的に商標における「使用」とは、商業活動でその商品もしくはサービスを表す
文言や象徴的なマークとして利用されている状態を言います。ただし、実務運用とし
ては、国・地域により判断が分かれることもあり、さらに同じ国でも「どこまでが使
用と言えるのか」は、裁判により判断が分かれることもあります。

●「使用」として認められる例

前述の通り、国・地域により「使用」として認められる状態は異なる可能性がありますが、一般的には以下のような状態が「使用」していると認められるとされています。

  • ラベルやタグ、商品やその包装物に商標が刻印されている。
  • ラベルやタグに付された商標が、指定商品に直接つけられている。
  • 商品の包装物やその容器に商標が付されている。
  • パンフレットに、サービスを識別するマークとして付されている。
  • 看板に商標を付し、サービスを案内している。

●登録時や更新時に、使用宣誓手続きと使用証拠を求められる国
・・・アメリカ、フィリピン、カンボジアなど


「使用」していること、または「使用予定」であることを最も厳格に求められる国で
す。「使用」していること、または「使用予定」であることを宣誓したうえで、 「使
用」の証拠の提出が求められます。
「使用」する予定がないのに「使用予定」であると申請した場合など、使用状況に虚
偽があると認められた場合には、その商標は取消されます。ただ、カンボジアではその商標を使用していない場合でも、「不使用に関する宣誓書」を提出すると、商標権の維持が認められます。(フィリピンも権利者が意図しない状況下などで、やむを得ずその商標を使用していない状況なのであれば、 「不使用に関する宣誓書」を提出することにより、商標権の維持が認められることもあるようです。 )

●登録時や更新時に、使用宣誓手続きを求められる国
・・・カナダ(新商標法は現時点で2018年に発効予定)、モザンビークなど


「使用」していること、または「使用予定」であることを宣誓することにより、商標
権の取得や維持が認められる国です。上記の国々とは異なり、証拠を求められませんが、使用状況に虚偽があると認められた場合には、その商標は取消される可能性があります。

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