「OK Google!」という音声で操作ができるGoogle Homeスピーカー。CMで目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
このような人工知能(AI)を搭載した商品が販売されるなど、なんだか遠い存在に感じていたAIが、より現実的なものに感じはじめました。
新聞の一面に”AI”という文字が並ばない日はないのでは?と感じるほど。
そんな大注目の「AI」を商標出願の観点から、ご紹介させていただきます。
[su_heading size=”15″]AIの出願動向とは[/su_heading]
世界最大の商標データベース「GlobalBrandDatabase(以下略GBD)」で、指定商品名に“artificial intelligence(AI)”を含む商標出願は、4,579件。その内、2017年に出願された件数は2,557件で、過去最高の出願件数に。2018年に入ってからの出願も既に56件と、出願件数の多さからも「AI」の注目度の高さが伺えます。
直近の出願からさかのぼり出願者を見ていくと、あることに気づきました。中国企業の出願の多さです。
中国政府は、3年以内に人工知能「AI」分野において米国と肩を並べ、2030年までに世界のリーダーになると目標を掲げ、包括的な新戦略を打ち出しているといいます。その勢いを感じさせるような、中国企業の存在感をデータベース上で感じます。
以下、中国企業3社に焦点を当て中国企業の「AI」出願動向のご紹介をさせていただきます。
1.テンセント(Tencent)
こちらは、アジア企業の時価総額ランキング上位10社。頂点に君臨しているのがテンセント社で、中国の大手IT・ネットサービス企業です。
引用:https://moneyforward.com/media/career/30536/
テンセント社の出願は4件確認でき、9類を指定しAIの出願を行っていました。
画像出典:Global Brand Database(http://www.wipo.int/reference/en/branddb/)
テンセント社と日本企業の動向
2017年11月家庭用AIロボットを開発するUBTECHに4,000万米ドルを出資したテンセント社。この投資と出願から、同社がさらにAIに投資していく動きが伺えます。
テンセント社が出願しているAIを搭載したHumanoid robots。同関連の出願はHonda Motor Co., Ltd. Corporation(本田技研工業株式会社)からのHONDA R&D-X(87731028)商標の出願や、SoftBank Robotics Group Corp.(ソフトバンクグループの子会社であるソフトバンクロボティクス株式会社)からのpepper(40201800694S)商標の出願等、日本企業からの出願が確認でき、日本企業のAIを搭載したHumanoid robotsの盛り上がりも感じます。
画像出典:https://www.softbank.jp/robot/special/pepper/
2.百度(BAIDU)
Baidu社とは、中華人民共和国で最大の検索エンジンを提供する企業。データベースを見ている中で出願件数の多さから、特に目立っていたのがこのBaidu社の出願でした。35件の出願が確認できます。全ての出願は2017年7月以降のもので、短期間で多数の出願を行っていることは今後AIへ注力していくことを表明しているかのようです。
画像出典:Global Brand Database(http://www.wipo.int/reference/en/branddb/)
直近の出願は1月9日のもので、9類と42類で指定をしAIの出願を行っていました。
[su_highlight background=”#cdf0f1″]Baidu×自動車AI[/su_highlight]
また、Baidu社の出願区分で気になるものがありました。乗り物等が対象となる12類での出願です。
12類を含む出願は11件確認でき、こちらも2017年7月から現在までの間の出願が集中しており、今後自動車分野におけるAIへ注力していくことをが伺えます。
画像出典:Global Brand Database(http://www.wipo.int/reference/en/branddb/)
9類でAIを指定をし、12類の指定商品はこのようになっていました。
Baidu社の動向
1月10日、NVIDIA、ZF、Baiduが中国市場に向けたAI 自動運転車用コンピューターを業界で初めて発表しました。Baidu社は月面着陸計画にちなんで、自動車運転開発プロジェクトを「Project Apollo」と名付けました。Baidu社が出願している「Apollo」商標は、GBDで30件確認ができます。
百度は元々、Googleに似たインターネット企業ではありますが、そこから得られたデータやサービスのビジネスは、自動運転車技術の分野に活用できるという動きからの動向だと言います。
画像引用:https://www.theverge.com/2017/7/5/15923966/baidu-apollo-self-driving-car-platform-ford-intel-nvidia
3.自動車関連スタートアップのNIO社
聞きなれない会社名ではあるものの、データベースではひときわ目を引く存在感だったNIO社。
27件の出願が確認でき、2017年12月以降の出願が21件と短期間で多くの出願を行っていることがわかります。
画像出典:Global Brand Database(http://www.wipo.int/reference/en/branddb/)
社名+AIというネーミングの「NIO AI」商標の指定商品はこちら。その他、12類で”自動車や電気自動車”。28類で”おもちゃの車やドローン”を指定した出願がされています。
NIO社の動向
上海を拠点とする同社は、米国のヘッジファンドであるLone Pine Capitaなどの新しい投資家たちも引き込んでいて、この若い自動車メーカーのラウンド評価額はおよそ50億ドルに達していると言います。アップルが成し遂げたような変革を自動車業界へもたらすかもと期待されている注目の企業なのです。
引用:http://jp.techcrunch.com/2017/11/10/2017-11-09-ev-startup-nio-reportedly-raises-1b-from-tencent-and-others/
[su_box title=”AIでも存在感があるFacebook社”]
仮想通貨、IoT、等過去ご紹介してきた記事でも幾度となく存在感を示してきたFacebook社ですが、ここ「AI」でもその存在感は健在。
Facebook社の出願は18件。
画像出典:Global Brand Database(http://www.wipo.int/reference/en/branddb/)
聞きなれない”ONNX”という出願がありました。「ONNX」とはMicrosoft社と共同で、AI開発者向けオープンソースプロジェクトを開始しており、そのプロジェクト名とのこと。
Facebook社は昨年11月27日、「ネット自殺」をほのめかすコメント投稿やライブビデオ投稿をAI(人工知能)を使って検出し、モデレーター(調停者)である専門対策チームに報告する活動を、プライバシー関連法が参入障壁になるEUを除く世界各国で始動したと発表。FacebookのCEOマーク・ザッカーバーグは「Facebook上で自殺が起き、そのいくつかはライブストリーミングされるという恐ろしい出来事があった。誰かが事前に気づき、適切に通報していればこうした悲劇は防止できたかもしれない。AIは優れたアプローチを提供できると思う」と述べています。
Facebookを利用している中でAIを感じたことはないですが、今後私たちユーザーの生活に深い関わりが出てくるかもしれない。と感じさせられる動向ではないでしょうか。
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