早速、問題です。
[su_note note_color=”#fcc2f7″]1.人気女性雑誌の代表「美人百花」 2.「漢字辞典」 3.「広辞苑」 この中で商標登録ができない(登録されていない)ものはどれでしょう。[/su_note]
Ⓒ角川春樹事務所 Ⓒ岩波書店 Ⓒ小学館
答えは・・・
2.「漢字辞典」です(美人百花:第4966226号、漢字辞典:登録なし、広辞苑:第2341833号)
「漢字辞典」がまだ誰にも商標登録されているのではなく、「漢字辞典」は、商品分類第16類で登録しようとしても「拒絶」されてしまう可能性が高いのです。
書籍のタイトルは本の品質(内容)を表示したものと見なされるため、識別力が低いと判断され、基本的に「商標登録はできない」と考えられるのです。
「品質を示すか否か」という識別力の有無が大きく関わってくるのですね。一方、新聞や雑誌のタイトルは原則として「商標登録ができる」のです。
新聞や雑誌は毎号内容が異なり、日刊、月刊と継続的または定期的に刊行するものであり、出版社により内容や特色も異なるため、他社のものとの識別が可能であると認められるのです。
[su_heading size=”19″]登録が可能な書籍のタイトルとは?[/su_heading]
先ほど、書籍のタイトルは「登録できない」と考えられる。と述べましたが、書籍であっても、雑誌のタイトルと同じく商標登録の対象となる場合があります。
例えば連載漫画の題号です。 連載漫画は毎号同じタイトルで発行されますので、雑誌と似た立ち位置であると判断されると考えられます。
株式会社講談社が所有する商標を一例でご紹介します。
- はじめの一歩 第3217919号 16類
- のだめカンタービレ 第4962043号 16類
- 進撃の巨人 第5766534号 16類
どれも耳にしたことがある著名な漫画のタイトルですね。16類での登録がされています。
Ⓒ森川ジョージ/講談社 Ⓒ二ノ宮知子/講談社 Ⓒ諫山創/講談社
[su_heading size=”19″]書籍のタイトルは自由にネーミングが可能なの?[/su_heading]
例えば、お料理好きなあなたが「cookpad簡単攻略本」という書籍を発行することになりました。とした場合、「書籍名だから商標は自由に使っていい」と考えてよいのでしょうか。(第5387966号 )
いいえ。使用してはいけませんね。クックパッド株式会社が出版したかのように、需要者が判断しかねないため、商標権侵害や他人の有名な商品等表示を使用したものとして不正競争防止法や商標権侵害として争われる危険性があります。
本のタイトルにおいても商標に関する気配りは必要となるのですね。
[考察]
書籍のタイトルは基本的には商標登録されにくいけれど、書籍タイトルを決める際は商標権についての配慮が必要なため、専門家への相談が必要だということがわかりました。
また、株式会社講談社が所有する商標を調査していると、「窓ぎわのトットちゃん」が第3253119号の16類にあることを見つけました。
これは、書籍にあたるものなのですが、著名度や認知度が高いため、書籍のタイトルに識別力が発生し、登録に至ったのではないかと推測しました。
商標登録は識別判断と大きく関わっていることを、改めて気づかされます。
また、株式会社講談社が所有する「妊活」第5462598号の16類の商標登録に関しても気になりました。
あやうく「妊活」を印刷物で使用できないことを知りました。