「俺の」と「俺の蕎麦」は似てる?似てない?

 

俺の〇〇という名称、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。

 

11年に「俺のイタリアン」でスタートし、12年に「俺のフレンチ」を始め、13年には「俺のやきとり」「俺の割烹(かっぽう)」「俺のフレンチ・イタリアン」、最近では「俺のBakery&Cafe」を東京恵比寿にオープンさせた、会社名も”俺”入り「俺の株式会社」。

出典:http://www.oreno.co.jp/

 

 

俺の〇〇という国内出願商標は236件に及び、「俺の株式会社」以外の権利者も目立ちます。

会社名も「「俺の株式会社」としてしまうほど、「俺の」フレーズにこだわりを見せる俺の株式会社。

同一区分での併存登録が俺の〇〇というのでは多いけど、識別力などはどのように判断がされているんだろう?

 

実際の事例を元に見ていきましょう。

 

 

[su_heading size=”19″]「俺の」異議申し立て事例[/su_heading]

 

①登録第5778840号商標:「俺の蕎麦」、権利者:俺の株式会社、区分:29,30,35

②登録第4223272号商標:「俺 の」、権利者:東洋水産株式会社、区分:30

 

②の商標が①の商標に類似しているのではないですか?という異議申し立て事例です。みなさんは似ていると感じますか?

 

異議の決定

 

実際に下された判断結果はこの通りです。

 

 

上記の通り、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれがない非類似の商標というべきであると判断されました。また、「俺の」の周知性については、東洋水産が販売する「俺の塩」、「俺の味噌」、「俺のどろ」などの商品を、消費者が東洋水産の商品であると認識したうえで購入をしており、出所の混同のおそれも考えられないと判断され、

 

「最終処分     維持」

 

要するに、「俺の」商標は登録を維持すべきで、「俺の蕎麦」と「俺の」商標は類似ではない。と判断されました。

出典:http://shohyo.shinketsu.jp/originaltext/tm/1312094.html

 

 

 

見通しは重要

 

このように似たようなフレーズやネーミングで商標登録をされているケースは他にもあると思われます。例えば「サムライバーガー」「サムライキッチン」なんか流行っているようですが”サムライ+「一般名称」”で、ネーミングが似ている商品ですよね。

 

ブランド名をつける場合、B2Cであれば、消費者にも伝わりやすいメッセージが必要なため、どうしても識別力の点で弱いものを選びがちです。商品ごとにコミュニケーションコストをかけることができれば、コンセプチュアルなネーミングもいいのですが、ファスト化している現在の市況においては予算も限られ、なかなかこのバランスが難しいですね。
今回の場合は、飲食で利用していたブランドがそのまま製品ブランドなったケースなので、別ブランドを立てることもできなく、苦しい状況でしたね。今回登録査定となったので、まだよかったですが、最終登録査定が下りなかった場合は事業を断念したのでしょうか??
まぁ、ほかに要部を付けたりするのかとは思いますが、訴求力は弱まりますし、絶対登録できる保証はありません。
飲食を始めたら、物販に転換することは見え見えですので、事業の開始時から調査だけはしておくなど、見通しを立てることは重要だと今回の件で感じました。大企業の出願商標に寄せないというのはある意味防御策とも感じました。

 

わたしたちが「俺の〇〇」をどう判断するか

 

 

上記はあくまで商標のお話しなので、実際店頭に並ぶときにはパッケージ情報により誤認すること可能性は少ないのだとは思いますが、確認のためどこかのお店のカップそばコーナーを見ににいきたくなってきました。
今回は、30類で先行する類似商標があり争ったという話しではありましたが、飲食物提供の43類での判断は今後だれかが類商標を出願した際にどうなるのでしょうか?
30類と同じ考えをしたら、”俺+「一般名称」”でいろんな商標権者がでてきそうな感じですかね?俺の株式会社側が仕掛けられるときはどうするのか?少し気になりました。