<エチオピア商標法施行に関して>
エチオピアには2006年7月6日以前、商標を保護する法的な規則はありませんでした。新聞に警告記事を掲載した後にその記事の切り抜きをエチオピア特許庁へ提出し、第三者からの異議申し立てがなければ特許庁から登録証が発行されるという方式で商標が保護されていました。
その後、2006年7月7日に「商標登録とその保護の宣誓」が公布され、それに基づく一定の保護が商標に与えられていました。
今回、2012年12月24日に商標法が施行され、同法に基づく商標の保護が可能になりました。
商標法の概要は以下の通りです。
◆ 新規出願に関して
- 出願に必要な書類は以下2点です。
① 委任状(英訳つき、要公証・認証)
② 本国登録証明書(英訳つき、本国登録がない場合には外国における登録証明書) - 出願商標の指定商品・役務は本国登録証明書(または外国における登録証明書)の指定商品・役務と同一である必要があります。
- サービスマークの出願が可能です。
- ニース第10版が適用されます。
- 多区分出願が可能です。
- パリ条約に基づく優先権主張が可能になります。
◆ 審査・中間処理等に関して
方式審査(書類不備の有無の審査)と実体審査(識別性の有無、同一もしくは類似商標の有無等の審査)が行われます。
◆ 登録・更新に関して
商標権の存続期間は7年です。更新は7年ごとに行います。
上記の商標法施行に伴い、現在出願・登録されている商標は以下のようになります。
(1) 新聞の警告記事に基づく商標(2006年7月6日以前に出願された商標)の保護はすべて商標法が施行された2012年12月24日時点でその効力を失っております。そのため、その権利を維持するには後述する再出願が必要です。
(2) 「商標登録とその保護の宣誓」に基づく保護を受けた商標(2006年7月7日から2012年12月24日までに出願された商標)は商標法に基づく商標権が付与されるため、再出願の必要はありません。ただし、2014年6月24日までに費用を払い、新たな登録証を取得する必要があります。
(3) 「商標登録とその保護の宣誓」に基づく保護を受けた商標(2006年7月7日から2012年12月24日までに出願された商標)で審査中の商標は、今回施行された商標法が適用されます。
<再出願に関して>
上記(1)に属する商標については、再出願により従来の権利を維持することができます。すなわち、上記(1)に属する商標と同一または類似商標が第三者によって出願された場合でも、2014年6月24日まではその第三者による出願は審査されず、従来の権利者の再出願が優先的に審査されます。
商標庁は出願番号ごとに15のグループに分け、指定の期間に再出願を促しています。期間の詳細は以下の通りです。
出願番号 | 再出願の期間 |
0001-0400 | 2013/03/25-2013/04/23 |
0401-0800 | 2013/04/24-2013/05/23 |
0801-1200 | 2013/05/24-2013/06/22 |
1201-1600 | 2013/06/23-2013/07/22 |
1601-2000 | 2013/07/23-2013/08/21 |
2001-2400 | 2013/08/22-2013/09/20 |
2401-2800 | 2013/09/21-2013/10/20 |
2801-3200 | 2013/10/21-2013/11/19 |
3201-3600 | 2013/11/20-2013/12/19 |
3601-4000 | 2013/12/20-2014/01/18 |
4001-4400 | 2014/01/19-2014/02/18 |
4401-4800 | 2014/02/19-2014/03/20 |
4801-5200 | 2014/03/21-2014/04/19 |
5201-5600 | 2014/04/20-2014/05/19 |
5601-5900 | 2014/05/20-2014/06/18 |
上記期間はあくまでも特許庁の案内にすぎず、仮に上記の期間内に間に合わない場合でも、最終的な期限である2014年6月24日までであれば再出願可能です。
◆必要書類
- 委任状(英訳つき、要公証・認証)
- 本国登録証明書(英訳つき、本国登録がない場合には外国における登録証明書)
◆指定商品・役務に関して
上記の再出願は従来の権利の維持が目的のため、その指定商品・役務は失効した商標の指定商品・役務と同一でなければなりません。
2014年6月24日までに再出願をせず、同日までに別の形で出願することも可能です。この場合、新規出願と同等の扱いになります。つまり、本国登録証明書(または外国における登録証明書)の指定商品・役務と同一である必要がございます。
したがって、本国登録もしくは外国における登録の方が、2006年7月6日以前にエチオピアで出願された商標よりも権利の幅が広い場合は、あえて再出願をせずに新規出願を選択すると権利の幅が広がるというメリットがございます。仮に新規出願を選択した場合でも、2014年6月24日までは再出願できる権利があるため、再出願の場合と同様に第三者の同一または類似する商標の登録を阻止することができます。
エチオピアの商標法に関して、新たな情報が得られ次第アップデートいたします。
本件に関する詳しい内容につきましては、お問い合わせください。