2011年11月22日に、韓国と米国の二国間による自由貿易協定(FTA)の批准同意案が、韓国の国会本会議で成立したことを受け、FTA発効に合わせた履行法案として、国内法の制定や改正が進んでおります。商標法についても、2011年12月2日に改正商標法が公布されました。
なお、改正法の施行はFTAの発効日となります。
改正法の主要な変更点は下記の通りです。
音商標・匂い商標の導入
非視覚的な標章である音・匂いについて、記号・文字・図形またはその他の方法によって視覚的に認識できるように表現したものは、商標として認められるようになりました。
これらの商標の出願時には、音や匂いという商標の具体的な特徴を記述によって説明する他、それぞれ下記のような添付書類を提出することになります。
◆ 音商標
① 音声の電子データ(データ形式:MP3, WAV, WMAで3MB以下)
② 音商標の楽譜
◆ 匂い商標
① 匂いのサンプル(匂いを入れた密閉容器または匂いが添加されたパッチ)
証明標章の導入
消費者に商品やサービス業に対する正しい情報を提供することを目的とし、商品やサービス業の品質、原産地、生産方法などの特性を証明する証明標章制度が導入されました。
これにより、商標の品質保証機能が強化されます。
専用使用権の登録義務制度の廃止
旧法では、商標の専用使用権は登録を効力発生要件としており、登録しない場合はその効力が発生しませんでした。改正法では、専用使用権を登録しなくても、その効力が発生すると規定されましたが、第三者対抗要件としては依然として登録が必須条件になります。
法定損害賠償制度の導入
商標権侵害による損害賠償訴訟において、損害の立証や損害額を推定することが困難な場合、商標権者などの権利保護が難しい場合がありました。
改正法では、5,000万ウォン以下の損害額に対しては商標権者などの立証責任を緩和する法定損害賠償制度が新設され、商標権者などが実損害額と法定損害額のどちらかを選択して請求することができるようになりました。
特許法準用規定の解消
これまで特許法を準用していた条文の内容が直接規定され、商標法のみで商標制度が理解できるように改められました。
秘密維持命令制度の導入
商標権の侵害に関する訴訟について、当事者が保有する営業秘密に対する秘密維持命令制度が導入されました。
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