2010年3月7日~12日にケニアの首都ナイロビにてICANN第37回会議が行われ、新gTLDsを中心に、インターネット関連の様々なトピックが議論の的となりました。
新gTLDsに関してはあらゆる展開があり、それらについてお伝え致します。長らくディスカッションされてきた新gTLDsをめぐる多くのトピックにピリオドが打たれ、6月のブリュッセル会議の前に発表予定の申請ガイドブックの第4ドラフトはその次のファイナルガイドブックとほぼ一緒で、申請受付に向けての最も重要な問題をカバーすると述べられました。申請期間の開始時期の延期を避けることはICANNの主な目的であり、プロセスを遅らせるような急な変更は予想されません。その意味で、新gTLDs過程の全体的な促進が進められており、申請受付は今年内あるいは遅くても2011年の第1四半期に始まると予定されています。
12日の金曜日に行われた投票形式のICANN理事会にて以下の決定が採用されています。
ICANNソウル会議の直後から課題となっていたEOI(Expressions of Interest=関心表明)プログラムは、新gTLDsを加速するための手段としてインターネット業界の多くの参加者からの期待を裏切り、導入されないこととなりました。本プログラムは新gTLDsへの事前登録であり、予定の文字列の提出と55,000ドルのデポジットが要求されると予定されていました。しかし、ICANNは、リーガルハラスメントの危険性でその文字列を公開できない、また、半年以上も早く予算を組むことが不可能と訴えていた潜在的な申請者と、ブランド所有者や国際商標協会からの意見、そして、実際の申請受付とEOIを同期させる問題の複雑さを重視し、中立的な立場を選択し、EOIを拒絶しました。
続きまして、新gTLDsのもう一つの重要なトピックである権利保護メカニズムに関しての合意が得られ、提案されていたTLD開始前と開始後の仕組みが導入されるようになりました。TLD開始前の保護ツールはTrademark Clearinghouseであり、保護すべき商標についての情報を保管するデータベースのことを意味しています。新gTLDsのレジストリはそれを通して、Trademark ClaimsあるいはSunriseという機能を使い、商標権者に通知を送ったり、優先登録を行ったりします。また、開始後のメカニズムは、権利侵害がはっきりと証明できるドメインネームを即時凍結し、異議申し立てが認められた場合ウェブサイトが表示されないようにするURS(Uniform Rapid Suspension=統一迅速中止)、商標権を定期的に侵害するレジストリをシャットダウンさせるPDDRP(Post Delegation Dispute Resolution Policy=委任後紛争処理方針)、レジストラントについてより詳細な情報を提供するThick Whoisのような各システムが採用されます。本トピックスは現在改めてパブリックコメントに出されており、第4ドラフトに細かい修正が見られるものの、その実質的な部分は政策として取り入れられることになっています。(商標保護メカニズムについてその他以下の表をご参照下さい。)
その他、コミュニティベースのレジストリを対象とするRRDRP(Registry Restrictions Dispute Resolution Policy=レジストリ制限紛争処理方針)についても意見の一致が見られ、その導入が予定されています。RRDRPとは、コミュニティレジストリによるTLD申請の際、約束されたレジストリ内の登録やドメインネーム方針はTLD委任後守られなかった場合における、異議申し立てを起こすことを可能にする機能です。
IDNsについても展開があり、3文字の制限の緩和とその結果としての2文字の申請が可能な条件が発表され、第4ドラフトに取り入れられる予定です。また、IDNsの申請の際スペリング変形の問題についても展開が見られていますが、一つの申請では一つの変形しか強化されない状況です。
その他には新gTLDs関連のものとして悪意行為に関する幾つかの会議が行われ、HSTLDとゾーンファイルへのアクセス関連の検討が採用され、現在パブリックコメント中です。HSTLDというオプションは、レジストリは本プログラム下で行われる審査を受け、その各ウェブサイトに表示されるデジタル印と自己査定レポートカードの定期的な提出を通して、自分のTLDをセキュリティの高いものとして提示するもので、金融機関のような、ウェブ上のセキュリティが信頼とつながる企業にとっては興味深いビジネスモデルと思われます。
また、垂直統合の問題(レジストリとレジストラの交差所有)に関しては、現時点ではレジストリとレジストラの間の垂直分離が持続されることになっておりますが、GNSOは新gTLDsのスタートアップの前に納得が行くような新しいポリシーを作成し、ICANNからの承認を得ることができると、変更の可能性もありえます。
また、政治レベルのネットワークなどを通しての新gTLDsについてのグローバル宣伝キャンペーン(4ヶ月間の予定)は、新gTLDs関連のすべての包括的な問題が解決された後にスタートし、それが終了してから申請受付が開始されます。6月のICANN会議を皮切りに関連のネットワークが活用され、キャンペーンの実際の開始が企画されます。
以上、ICANNナイロビ会議で議論の対象となった新gTLDs関連の最も重要な問題についてご報告致しましたが、包括的な問題の一部が無事に解決されたということと、プロセスの促進を約束したICANNの徹底的な作業を見ると、新gTLDsの申請受付は遠い未来ではなく、素早い準備を必要とする形のプログラムに出来上がりました。
ブライツコンサルティングでは、すでに新gTLDs専門の対応チームを発足させておりますので、申請ご希望の皆様は、お問合せ頂ければコンサルティング、申請書作成、海外パトナーとのコラボレーションを通して世界一とされるレジストリサポートをご提供致します。
本件に関する詳しい内容につきましては、お問い合わせください。