東南アジア諸国経済共同体による知的財産関連の戦略方針

Ksenia Golovina人類の歴史において経済危機は、より早いスピードでの発展の原動力となり、それが乗り越えられた直後に著しい経済再生が見られることが多いようです。そのため、現在各所で検討されている政治・経済・ビジネス関連のプロジェクトは、今後の景気回復の局面において重要な役割を果たすようになることが予想されます。

EU(欧州連合)やNAFTA(北米自由貿易協定)よりも多くの人口を抱えるASEAN(東南アジア諸国連合)でも、このようなプロジェクトが進められています。

ASEAN(東南アジア諸国連合)は、2015年を目標にAEC (東南アジア諸国経済共同体)の構築を目指し、これによる新しい知的財産の戦略を計画しています。

ASEAN加盟国の間に1992年に締結されたAFTA(ASEAN自由貿易地域)は5億6600万人が属しています。この機関はASEAN内部貿易に対する関税削減・撤廃をするための共同努力による共通効果特恵関税計画を元にしています。1,173兆の国内総生産を持つとされるAECは、単一市場・生産規範を進展させるための統一体として成立を予定していますが、その特徴は、欧州連合における欧州委員会とは異なり、以前からのアジアにおける不干渉・合意の原則に基づいているため、権限の強い中央実行系・当局を中心に置かないということがあげられます。

AECはもともと、2020年までに設立すると合意されていましたが、2007年の第12回東南アジア諸国首脳会議にて2015年前倒しされたため、より早いプロセスになります。以下は東南アジア諸国連合が発表したAECの青写真に基づいて知的財産に関わる方針を紹介いたします。

AECの政策によって、知的財産方針は文化的・知的・芸術的創造性とその商業化、より先端技術の効果的な採用・適応、業績期待に達成する努力のために強いインパクトを与えます。知的財産における創造性は外国貿易と投資のボリューム・質に対して影響を及ぼしており、局所値の付加と対外競争力の主要決定基となります。ASEANには現在、知的財産権行動計画2004-2010年が存在しており、AECの知的財産方針ではこの計画の全面的な導入を予定しています。AECの最終目的は以下の通りになります:

1. ASEAN知的財産権行動計画2004-2010の全面的な導入
2. ASEAN著作権協力作業実施計画の全面的な導入
3. ユーザーによるファイリングを促進し、ASEAN加盟国における諸特許庁間の協調を進展させる目的で、言語的条件に基づき受理官庁として図形標章 用のASEAN出願システムを開始すること
4. 可能な限りマドリッドプロトコルへの加盟するようASEAN諸国の加盟促進
5. 知的財産権の保護に関する実施官庁間の協議・情報交換を維持すること
6. 伝統的知識(Traditional Knowledge=TK)・遺伝資源(Genetic Resources=GR)・文化伝統的表現(Cultural Traditional Expressions=CTE)に関する地域協力をプロモートすること

マドリッドプロトコルに関してはASEANに属している国々だけではなく、その他のアジアの地域も加盟を検討しており、また、弊社でも東南アジア諸国のパートナーと上述の方針関連のコミュニケーションを行っております。

アジアの地域との経済的に密接なかかわりを持つ日本にとっては上述の方針の実施は非常に望ましいことであり、アジア・日本間のビジネスを促進させるための最適な手段となります。ブライツコンサルティングではAECの創設構築過程を細かく見届け、その成果をお伝えいたします。

Ksenia Golovina(2)

 
本件に関する詳しい内容につきましては、お問い合わせください。