.UKが約3万件の大胆なドメイン削除を決行!企業に求められるドメインの侵害対応とは

イギリスの大胆なドメイン削除


.UK(イギリスのccTL)ドメインのレジストリであるNominetが、現地の公的機関(裁判所や警察署など)の請求により、2017年11月1日から2018年10月31日までの期間で、32,813件のドメインを削除したことを公表しました。この数字は、前年度16,632件から倍増し、急増していることが伺えます。

 

NominetのCEOであるHaworth氏は、「法執行者や研究者と緊密に協力し、既存のプロセス、ネットワーク分析、サイバーセキュリティツールを活用することで、英国が犯罪者にとって困難な場所であることを知らしめることに繋がる」と述べています。しかし、悪意のあるドメインを調査するための法執行者や研究者の努力は、ドメイン登録者のWHOISデータベースへのアクセスを禁じているGDPRによって、深刻な妨害を受けていることも事実だと言います。

 

日本で進んでいる協議


昨今問題となっているマンガ等のデジタルコンテンツの違法配信について、政府がある一部のサイト(「漫画村」、「Anitube」、「Miomio」等のサイト)に対して、強い行動(ISP事業者にサイトサクセスができないようにさせる)に出たことが話題となりました。政府は、2018年4月13日に「短期的な緊急処置としてのサイトブロッキング」を認める方針を決定した後、引き続きブロッキング法制度整備に向けた協議を進めています。

サイトブロッキングとは

インターネット利用者がインターネット上のサイトやコンテンツにアクセスしようとする際、ISP(インターネット・サービス・プロバイダ)等が、不正サイトであることを何等かの情報から検知した場合に、アクセスを遮断すること。

このサイトブロッキングが適当と判断されたのが海賊版サイト「漫画村」は、2018年4月にはサイトが接続不能になり、サイトが閉鎖されましたが、サイト閉鎖に当たっては、運営者側が閉鎖に動いた可能性などがあるとのこと。日本では、先ほどご紹介した.ukのようにドメインが削除されるということは聞いたことがないような異例の対応方法であり、イギリスがいかに大胆な対応を取っているかが伺えます

基本的には、自社に関連する文字列などのドメインネームの不正取得状況の監視や、Webサイト上での不正・侵害行為の把握、必要なアクションは各企業が自発的に行う必要があるのです。

 

ドメイン情報を起点とした侵害対応


商標権の文字列と同一のドメインネームを悪意で先取得した後、商標権利者に高額で転売するなど、不正な目的でドメインネームが登録されて使用されている場合や、様々なドメイン侵害行為や紛争に対しては、侵害者へのアクションをスムーズに進めることが重要です。以下、侵害対応一例をご紹介します。

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手段 申立先 概要 最終効果
UDRP(Uniform Domain Name Resolution Policy) ICANN指定機関 不正な目的でドメインが登録・使用されている場合、該当ドメインを削除または移転するドメイン奪還制度。 ・ドメイン奪還
・ウェブクローズ
URS(Uniform Rapid Suspension) ICANN指定機関 侵害サイトを迅速にシャットダウン(凍結)する制度で、ドメイン自体の権利を奪還するUDRPと区別されます。 NS変更によるウェブクローズ
警告状の送付 サイト運営者、ドメイン権利者、レジストラ、ISP事業者 不正にドメインを利用している登録者に対して、代理人を通じて警告状送付をします。 ・ウェブクローズ
・ドメイン情報変更
・情報開示
サイトのテイクダウン 例:フィッシング対策協議会 IPアドレスブロックを管理しているプロバイダー、サーバー業者に連絡を取り、テイクダウン(閉鎖)を要求します。 業界啓蒙

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フィッシング対策協議会によると、2018年に入り、フィッシングサイトのURLや悪用されたブランドが増加しており、その件数は7年2カ月ぶりの高水準に値すると言います。今後更なるドメインの監視や管理体制の強化が企業に求められるのではないでしょうか。

 

実際、どのように進めればよいか分からなければ、定期的に相談会を開催しているので、お気軽にご連絡くださいね☟。

 

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〈ライタープロフィール〉
Alexandre Guillemenot

GMOブライツコンサルティング株式会社
IPマネジメント本部/ドメイン部
consul@brights.jp

2010年に入社し、ドメインネーム関連の一般業務での経験を積んだ後、ドメインの譲渡交渉、侵害対応、ウェブ調査や模倣品対策、ドメインを取り巻く全体的なコンサルティングや問題解決等に従事。フランス語以外にも英語と日本語の対応可能なため、世界中の情報にアクセスでき情報収集力が高い。ドメインネームに関わる様々な事例の対応が可能であり、知識と経験が豊富なドメインのスペシャリストの一人。趣味は睡眠、買い物、作曲など。