Appleの商標出願傾向

 
 
brand-incitesmall-sizeInterbrandランキングTop100に入る企業の出願傾向を見てみましょう。

ブランドランキング1位アップル社の結果はどのようなものでしょうか。

 
 

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データベース:Global Brand Data Base
Fri Nov 25 2016 13:15:13 GMT+0900 (東京 (標準時))
HOL:”apple inc” AND AD:[2016-01-01T00:00:00ZTO2016-11-25T23:59:59Z]

 

各国出願件数:698件

 
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各国出願分布図

 
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各国出願+マドプロ指定国数

 
下記グラフは、46件以上の出願があった国。全106カ国。
 
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各国出願+マドプロ指定国分布図

 
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当然ではあるが、本社のある米国が最多出願数。各国出願の統計をみるとマレーシア、カンボジアの出願数が多く、特別なビジネス戦略を取っているのかと思いそうだが、多区分制度を利用していないために出願数が増えているだけである。

出願方法としては、ビジネスで先行をする国(北米、ヨーロッパ、オセアニア、東南アジア数カ国、イスラエル)は各国出願をし、それ以外をマドプロで網羅する方法をとっていることが窺える。マドプロ加盟していない国は各国出願をしている。ただ、マドプロ加盟したら、マドプロ出願にするように切り替えている。CAREKIT(国際登録番号:1310097)では、54カ国をマドプロで指定をしている。(2016年12月現在:98カ国がマドプロに加盟。)

 

区分一覧

 
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電子機器、ダウンロードアプリなどが対象となる9類が突出している。それ以外にも、Webサービスや通信系を中心としたサービス区分の出願・登録も多いことがわかる。14類は時計を扱うが、出願・登録があるのはAppleWatchの関係である。同じように、10類に出願・登録があるのはCAREKITをリリースしたためである。

 

商標名

 
10件以上の出願商標は以下の通り。称呼の発生しない図形は除外しています。
 
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“THINK DIFFERRENT”は、スティーブジョブズの残した有名な言葉であるが、出願数のパートで書いたビジネス先行国で出願をしている。キャッチフレーズの類は商標登録が難しいが、どう審査されるかはこれから。メキシコなど一部は登録されている。
AppleWatchは2014年に多くは出願されているが、2016年はMade for Apple Watchを多数出願。今後アクセサリーなどが色々なビジネス展開をしていくことが予想される。
また、B2C向けの製品・サービスを販売している会社らしく、理解しやすい言葉で製品、機能を表現し出願をしている。

 

商標態様

 
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マーケティング部門との連動を垣間見る

 
CAREKITは、個人が自分の健康状態を管理することができるヘルスケアアプリですが、2016年3月21日にローンチ発表がアップル社よりありました。今後が期待されるアプリであると思いますが、出願の経過を辿ると、発表まで明らかにしないための動きが見えてきます。

“CAREKIT”は、2016年1月13日にジャマイカで出願がされています(出願番号:69153)。その後、2016年3月21日にアメリカ出願がありました(出願番号:86947373)。

2016年3月21日。
ローンチ発表の日です。

アップル社は発表までアプリの情報が漏えいしないように、データベースが公開されない国で、かつパリ条約に加盟をしている国を選択して、第一出願をしています。商標の制度上の弱点を知った上で、情報コントロールする姿を垣間見ることができます。この後、EU、アジア諸国、マドプロを利用しての世界各国への出願をしています。
同様の出願形式を “3D TOUCH”” MADE FOR APPLE WATCH”などでもとっています。
競合他社に知られないようにというよりは、製品・サービス発表の場でユーザーを驚かせたいというアップル社の拘りのほうを感じました。

 

terachi寺地裕樹
GMOブライツコンサルティング株式会社 営業1部 部長
知財管理システム「BRANTECT」の開発・導入を牽引

 

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