【ソマリア】知的財産庁(SIPO)の設立と、新知的財産法下における商標出願の受付再開

ソマリアでは、1991年の内戦勃発以降30年近くの間、実行可能な登録システムの喪失により商標出願の受付がストップされ、新聞広告など非公式の慣行による権利確認が行われていましたが、2012年のソマリア連邦政府樹立以降段階的に復興しており、2019年12月には、法的根拠に矛盾が見られたり、高額な費用がかかるなどの非推奨要素を含みながらも商標登録プロセスが再開されたことが発表されていました。

今年になって、従前憲法の知的財産法がソマリア連邦政府当局によって(未だ、いくつかの留保事項は残っているものの)承認され、ソマリア知的財産庁(「SIPO」)が設立されていることも明らかになりました。また、新たな知的財産法(既存の権利を認める暫定規定を含む)が導入される可能性があることも現地代理人からの情報で確認されているところです。これらの情報から、新聞広告等の非公式な慣行ではなく、SIPOに商標出願を提出する公式手続きによる商標出願受付が再開されたと判断されます。

<手続きについて>
・申請にあたり必要とされる以下の文書は英語か、英語の翻訳が添付されている必要があります
 - 署名入りの委任状
 - 申請者の事業登録証明書(または同等のもの)の簡単なコピー
 - 国内または外国の商標登録の簡単なコピー
 - 会社概要(申請者の事業活動および事業管轄区域の概要)
・ニース国際分類を採用、シングルクラスのみの受付です
・出願前調査の後、相対的・絶対的拒絶理由の審査が行われます
・公告は、SIPOのウェブサイト上に35日間掲載され、異議申立期間は、45日間です
 (公告掲載終了後10日間まで異議申し立てが可能ということになります)
・新規出願の更新期間は、出願日から計算して10年です

<留意事項>
1991年の閉鎖時に存続していた登録商標のステータスについては、登録が認識されなくなったとする見解もあれば、それぞれ1,000米ドルの支払いで再検証できるとの情報もあるなど、矛盾が確認されています。
また、更新料も、元の申請日に戻って計算されるのか、それとも1991年以降に到来した期限の更新に対してのみ支払いが必要とされるのかも明確ではありません。
そして、1987年12月8日まで、ソマリア商標の更新期間は10年ではなく20年でしたが、このほど整備されたSIPOがそれを考慮するかどうかも不明です。

ソマリアには依然、特許または意匠登録手続きが無く、申請書には「優先権主張」の欄がありますが、パリ条約加盟国ではないため、優先権主張もできません。

ソマリア連邦政府は、ソマリランドをその領土と主張していますが、実際には、この地域に対する実質的な主権を持ちません。ソマリランドは、ソマリアからの独立を宣言しており、かつ現時点で知的財産法がないため、SIPOによる商標登録がソマリランドでも有効となる可能性は低く、ソマリランドにおいては、引き続き新聞広告にて、警告通知を発行することをお勧めします。

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