NASAのロゴの歴史を紐解く!伝説の「ワームロゴ」とは?

日本時間2020年11月16日、日本人宇宙飛行士の野口聡一さんらが搭乗する民間宇宙船クルードラゴンが国際宇宙ステーション(ISS)に向けて打ち上げられました。

アニメ「宇宙兄弟」(野口聡一さんは野淵さんというキャラクターのモデルになっています)のファンである筆者はワクワクしながらニュースを観ました。このとき気になったのが、「NASA」のロゴ。筆者が馴染みがあるロゴは、青色の丸のものですがNASAのロゴにはどのような歴史があるのでしょうか?調べてみました!

NASAの初代ロゴ

NASA(アメリカ航空宇宙局)は1958年10月1日に設立されました。
当時使われていたのは、円形のロゴです。
惑星と星、赤いシェブロン(ロゴが作成された当時、最新だった※極超音速翼のデザイン)、そして軌道を回る宇宙船が描かれています。クラシックなデザインが素敵です。
※マッハ数5.0以上

https://en.wikipedia.org/wiki/NASA_insignia#cite_note-nyt110803-7

      

NASAのロゴは「ミートボールへ」

設立の翌年である1959年、NASAはロゴを変更します。NASAグレンリサーチセンターのレポート部門責任者であるジェームス・モダレッリが手がけたロゴが採用されました。

https://en.wikipedia.org/wiki/NASA_insignia#cite_note-nyt110803-7

モダレッリは、初代と同様、赤・青・白の配色を用いてよりシンプル化させ、NASAの文字を追加しました。このロゴは形状から「ミートボール」という愛称で呼ばれるようになりました。

      

新ロゴ登場!だけど…

1970年代、アメリカでは「連邦グラフィックス向上計画」という政策が推進されていました。これは政府機関のデザインをより良くしていこうというもので、NASAも計画対象となりました。ロゴ制作の依頼を受けたニューヨークのデザインスタジオ「Danne & Blackburn」のリチャード・ダナーとブルース・ブラックバーンは、NASAの4文字を未来的にデザインしました。

       

https://en.wikipedia.org/wiki/NASA_insignia#cite_note-nyt110803-7

       

さらにデザイナーのふたりは、新ロゴ「ワーム」に関する規定をまとめたガイドラインを作成しました。このマニュアルは90ページに及ぶもので、今でもグラフィックデザイン界の教科書として広く知られています。

画像引用:https://gizmodo.com/the-saga-of-nasas-short-lived-lost-logo-1724659388
画像引用:https://www.gizmodo.jp/2015/09/nasalostlogo.html

       

革新的なデザインであるワームは、無事審査を通過し新しいロゴとして愛される予定でしたが、思わぬところで大きな騒動になってしまいます。

なんと、ワームの存在がトップシークレットだった時点で、NASAがワームがあしらわれたステーショナリーセットをNASA傘下の各センターに送ってしまったのです。(なんて致命的なミス・・・)

何の通達もないまま、見知らぬロゴが施されたステーショナリーを受け取った各センター。その衝撃と動揺は凄まじいものだったようです。長年、「ミートボール」の愛称で親しんできたNASAのロゴが知らぬ間に変更されることに不信感を覚える職員の反感は相当だったそうで、NASAやデザイナーは現地に赴き、何か月にも渡ってロゴ変更の意図や経緯を説明しなければなりませんでした。
この騒動は、のちに「モダンでスタイリッシュなワームを受け入れる若手社員VSミートボールに愛着を持つベテラン社員」にまで発展してしまいました。
こうした騒動もあり、「ワーム」は誕生からわずか20年で表舞台から姿を消してしまいます。1992年、新しい長官になったダニエル・ゴールディンがロゴをミートボールに戻すことを決定したのです。

素晴らしいデザインであったにも関わらず、20年しか生きられなかったワーム。NASAの発表ミスがなく、適切なフローで新ロゴがお披露目されていたら、今でもワームがNASAのロゴとして使われていたかもしれません。ロゴが人々に与える影響の大きさがよくわかる事例です。

     

ワームが再び宇宙へ!

短命に終わってしまったワームですが、ここに来て復活の可能性が出てきました。NASAが2024年に月面着陸を目指す「アルテミス計画」のロケットと宇宙船にワームのロゴを使用すると発表したのです。「ロゴはNASAが開発を進める新型ロケット「スペース・ローンチ・システム(SLS)」の固体ロケットブースターに描かれます。また、アルテミス計画で月へ向かう「オリオン宇宙船」にも使用されます。」(https://sorae.info/space/20201003-artemis-nasa-logo.html)

https://sorae.info/space/20201003-artemis-nasa-logo.html

国際的なプロジェクト「アルテミス計画」で再びワームを見るそのときを楽しみですね、今回はNASAのロゴの歴史についてお送りしました。

〈ライタープロフィール〉
千葉 やよい(ちば やよい) 

​GMOブライツコンサルティング株式会社
ドメインネーム部/コンサルティンググループ

​2012年に入社。 BRANTECT、商標コンサルタントを担当したのちドメインコンサルタントに就きました。ガイドラインや、ドメイン関連記事を作成しています。ドメインについては現在進行形で勉強中!初心者様にも分かりやすい記事作りを心がけています。趣味はゲーム、アニメ、散歩。