知財に「しくじり」が重要なワケ(3/10 ムゲンチザイVol.03 開催!)

  

こんにちは、Brand Todayの寄稿ライター、ちざたまごです。

今回の記事は、2020年3月の「ムゲンチザイVol.03 しくじり×知財」の開催に向けまして、「何でしくじりをイベントのテーマに据えたか?」という、お話を書かせて頂きます。ちなみに、イベントのエントリーは↓ですので、ご興味を持たれたらご参加よろしくお願い致します~。

     

   

そもそもムゲンチザイって何なのさ

まずはここからですね。ムゲンチザイは、正しくは「∞×知財」と書きます。むげん(∞)マークと、知財の掛け合わせです。

「今の知財教育、資格試験、セミナーは『制度や条文の理解』が主軸となっていてダイナミズムに欠ける。しかし知財は、本当は世の中のあらゆる事象に関連があり、その楽しみ方にはもっと開拓の余地があるはずだ。知財の無限の可能性を追求する、ユニットを結成しましょう!」  

元々、ムゲンチザイは2018年秋に相棒の友利昴さんとカレー屋で、

という誓いを立て、それに沿って2人の興味の赴くままにテーマを選び、ゲストを集めて年2回開催しているトークライブイベントです。まあ、バンド活動のトークユニット版、という風に理解して頂ければ大丈夫です。

∞マークという形はよくできていて、〇が2つ並んでおり、どんなキーワードでもあてはめられる形になっております。そこで、第1回はキャリア、第2回はオリンピックというキーワードをそれぞれ当てはめました。酔狂な企画でしたが多くの方にご参加頂き、「知財はまだまだ可能性がある」と再認識することができました。

毎回、テーマが変わるこのイベント。第3回はどんなキーワードを当てはめたらよいかな・・とつらつら考えたところ、最初は「ベンチャー」だったのですが、どうもムゲンチザイとしてやるには正面すぎる。我々は好きでやっているインディーイベントなのだから、独自の切り口が必要だろうという話になり、最終的に「しくじり」というキーワードが出てきました。こちらは、

「ベンチャーのキラキラした話や、うまく行った話はもう飽きた!本当に面白い話はしくじりの中にこそ、眠っているはず。というか、自分もそういう話が聞きたい。」

といういかにもインディー・B面的発想で生まれたテーマなのですが、色々と考えていくと、「しくじりこそ、知財の本質であり、強い知財にたどり着くための王道」と信じるに至るようになりました。

・・・何故か?まずは、〝しくじりの分類“から見ていきましょう!

   

   

あれもしくじり、これもしくじり

私は知財のしくじりは大きく3つに分けられると考えています。それぞれ特徴があるので見ていきましょう。

(1)   他社権利侵害型
(2)   権利取り逃がし後悔型
(3)   ミスコミュニケーション型

知財のしくじりは大きく3つに分けられると考えています。それぞれ特徴があるので見ていきましょう。

(1)他社権利侵害型 しくじり

一番典型的である、誰もが最初に思い浮かべるだろう王道の「しくじり」パターンです。

例1、特許調査をせずに、何気なくウェブサービスをローンチして運営していたら、実はその仕様は他社の特許権を踏んでおり、警告状が送られてきた。

→権利者目線ですと、侵害に気づいていても相手が小さいうちは無視。一方、「豚は太らせて食え」で、サービスが大きくなってから腰を上げられて刺されることも多いです。
 知財が強い会社が相手だと、ベンチャーのサービス・商品の実際の仕様を見て、それに寄せようと特許を分割し、権利範囲に入るようにしてくることもあります。恐ろしや。

2、事業部が適当に考えてスタートしていたサービス名が実は商標登録されており、慌てて許諾交渉に臨むことになった。


→商標調査ぐらい最初にしろよ、と思われそうですが、最初は商品・サービスの範囲が狭いから調査してOKだったのに、後から事業領域が増え、その分類は商標がすでに取られていて他社との許諾交渉をするハメに、なんてこともあります。ローンチ時にケチらず権利を取っておけば避けられた・・・なんて(2)の型と複合することあるあるです。

  

(2)権利取り逃がし後悔型 しくじり

 「最初に権利取っておけばよかったのに、もはや取れない。後の祭りだ・・・」というパターンです。予算をケチってで権利を取っていなかった場合は、知財マンは事業部門へドヤ顔で「何であの時取る判断しなかったんですか?知財は最初が肝心なんですよ~。」と言います。口で言えない相手の場合は、心の中で言う。

例3、首尾よく強い商品・サービスを開発できたものの、すぐにフォロワーが出てきてしまった。
しかし特許をはじめ知的財産権を取っていなかったので、対抗手段がない。


→知財を取っておいたほうが良い。そんなのは誰もが分かることですが、予算や時間の都合上、権利を取ってないことも多いです。どの商品・サービスが当たるか事前に分かっていれば権利化も簡単なのですが、なかなか予測が当たらないのが難しい所です。不競法や著作権で戦える範囲は限られてますしね。。

(3)ミスコミュニケーション型 しくじり

 こちらは知財担当者VS事業担当者、特許事務所VSベンチャー企業など、様々な関係者間の立場や知識のギャップによって生まれるしくじりです。

例5、弁理士に勧められるままに特許権を色々と取って数百万円単位で予算がかかったが、実はあまり事業に直結しない権利だったり、権利範囲が狭かったりして実用性がなかった。

→〝特許貧乏“という言葉があり、特許の取りすぎが重荷になる、なんてこともあります。特に海外出願に手を付けだすとお金は何倍もかかります。一方、権利を取らなくて良いかと問われれば、成功した時にフォロワーを排除するための武器が無く、あっという間に優位性が無くなる場合もあるので特許を取らないもまた危険。

企業の成長のステージによって、知財の価値が変わっていく、というのが本当に難しい所だったりします。

例6、一般名称に近い言葉をダメ元で商標出願していたら、意外に登録することができた。強い権利が取れたぞと喜んでいたら、「何て強欲な企業」、「こんな言葉も独占したいのか!」などと叩かれるハメに。

→本来は悪いことをしているわけではないのに、社会を敵に回すことになるのは怖いです。一般人目線で一企業に独占させても良いと許容される権利範囲と、法律上の権利範囲は必ずしも一致せず、このようなトラブルが生まれます。特定分類で商標登録しただけなのに、「この言葉が全部使えなくなる!」と騒ぎ立てる誤解もそろそろ減ってほしいところですが・・。

例7、色々とアイディア出し・提案は事務所からも頑張ったのだが、ベンチャー企業にどうも理解されず結局出願の仕事にならず。時間ばかりかかってベンチャーはお金にならない、もうやめた!

→最後は事務所目線なんですが、話を聞いていると結構あるみたいです。「人を見て法を説け」、ニーズのミスマッチ・・。ベンチャー向けの仕事をする事務所は、熱意はあるがあまり要領を得ない新規アイディアを元に、事務所側で発明提案書を書き、どのような特許を取るべきか?逆提案する力量も求められます。まさに知財部と特許事務所の1人2役。でも取れるお金は1倍(涙)。

    

 

   

しくじったもん勝ち!と言い切れるワケ

ここまで、つらつら類型化してみましたが、どう感じましたか?       
知財業務に多少なりとも絡んだことがある方なら、「あっ、このしくじり、うちも・・」とか、「今後、やらかしそうな可能性アリアリ」とか感じるところがあるのではないでしょうか。

大丈夫です、私も昔やらかしました。みんな一緒です。頑張って火消しして、生き延びているだけです。

そもそも知財って、ビジネスにおいては優位性を守るための道具です。あなたのビジネスが美味しいと思う人がいれば隙を探して狙われますし、その時に自社ビジネスを守れるように完璧に読み切って知財を取れていた・・・というケースのほうが稀です。

ぶっちゃけ、知財では守れないビジネスの範囲も多いですし、守れる範囲だったとしても、予算がない・時間がない・知識がないで知財を取れていないこともしばしばある。

・・・そんな場合、しくじった人がダメなのでしょうか?しくじりは隠さなくてはいけないのでしょうか?

私はそうは思いません。

本質的には、知財が「ビジネスにおける合法的なケンカの道具」である以上、知財をめぐって笑う人がいれば、悔しい思いをする人がいるのは当然です。全ての人がそれぞれ完璧に権利を取り、お互いを尊重し合う世界など、絵空事ですよね?どれだけ知財を権利化するかもビジネス判断があり、取らない・後回しとした権利が、後で後悔のタネになることなど普通です。場合によっては、自分を守るために取得した権利が他社の警戒網に引っかかり、「こいつ、強くなる前に叩いておこう」なんて、逆に争いに巻き込まれる・・なんて恐ろしいこともあり得ます。

勝ち筋はあるかもしれないけど、完全解はない。それが知財の世界です。

ただ、「知財」って専門分野ですから、誰もが「しくじってナンボの世界ですよ」とは言いづらい。みんな、しくじりは上手く隠して、〝ベストプラクティス“とか、〝知財を取ってよかった〇〇のメリット”を語りたがります。もちろんそれは重要なことで、知財の価値なのですが、私はもう少し、しくじりをフランクに語り合っても良いと思います。

しくじりを知り、皆で笑い飛ばしながらも学ぶことで、真の「強い知財」が生まれると信じるからです。

   

イベント告知!

と、熱くなったところで、最後にイベントのお知らせです!

つらつら書いた、「知財におけるしくじりこそ面白いし、学びの宝庫」を実践してみるイベント、ムゲンチザイvol.03 「しくじり×知財」を2020年3月10日(夜)に開催いたします。

エントリーは↓こちらです。ムゲンチザイは第1回、第2回ともに前売りで満席になっておりますので、ご興味がある方はお早目にお申込みください。

また、今回はスポンサーシッププログラムも用意しておりますので、「ムゲンチザイという祭りにいっちょ、提灯を出してやるか」という豪気な方のエントリーもお待ちしております!(チケットも2枚付きます)

みんなで知財業界を面白くする、というムーブメントの「共犯者」になりましょう!
どうぞよろしくお願い致します~。

  


    

書いた人:ちざたまご

企業内弁理士/ムゲンチザイプランナー。「知財はもっと面白い」をキーワードに、企画×知財の世界を深堀り中。

Twitter:https://twitter.com/chizatamago

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください