ちざ散歩 walk.01 ~知的財産のエンタメ化!『特許の鉄人』の裏側に迫る~

  

  

今回から、私、ちざたまごが知財・ブランドに関わる人やモノに突撃し、その裏側を掘り下げていくインタビュー企画を始まります。 広い知財・ブランドの世界で自分が興味を持った分野を、肩ひじ張らずにぶらぶら掘下げていこうということで、名付けて「ちざ散歩」

記念すべき第1回は、弁理士が会場ではじめて依頼人より発明のアイディアを聞き、ぶっつけ本番、25分一本勝負で特許クレーム(特許出願のコアとなる部分)を書き上げ勝敗を競うという、頭脳バトル『特許の鉄人』を企画した、弁理士の加島広基さんにお話を伺いました。

   

  

    

   

私も、”知財はもっと面白い”をキャッチフレーズにムゲンチザイというイベントを運営しており、「セミナーは数あれど、知財をエンタメ化する同志は中々いないだろうな・・・」と思っていたところ、彗星のように『特許の鉄人』が現れ、しかも120人集めて東京カルチャーカルチャーがいっぱいになったと聞いて、「いったいどんな人が企画しているんだ!?」と興味津々でした。

   

いかにして『特許の鉄人』は生まれたのか?そして、2020年1月開催の第2回はどう進化するのか?さらに、加島さんが目指す、『特許の鉄人』の野望とは・・!?
早速インタビュー開始です。

    

☆『特許の鉄人』第一回の様子のまとめはこちらです。合わせてお楽しみください: https://togetter.com/li/1368231

   

 

特許の鉄人は何故生まれた?


    

ちざたまご:加島さん、本日はよろしくお願いします。『特許の鉄人』、普段はベールに包まれている?特許事務所の明細書作成業務をエンタメ化し、あまつさえ弁理士を対戦させてしまおうという掟破りの企画にびっくりしました。
加島さんは
事務所HPを拝見すると、メーカーで開発・設計勤務→特許事務所勤務→海外事務所へ研修→マクスウェル国際特許事務所開設(パートナー弁理士)という、知財業界では王道、いわば「少年ジャンプ」的な正統派キャリアですよね。いったいどうして、『特許の鉄人』という、破天荒なイベントが創りだされたんでしょうか?

  

   

   

加島:前々から思っていたことなのですが、「特許事務所の弁理士の仕事、特に主要である明細書を作成する仕事って外から見て全くわからないよね・・」と。子供に「パパはどんな仕事をしているの?」と聞かれても説明しづらいじゃないですか。

   

    

ちざたまご:まあ、明細書って言われても、一般的には「領収書?レシートみたいなもの?」って反応ですからね。「弁理士は便利屋と間違えられる」は定番ネタですし、仕事の中身をなかなか理解してもらえないのは、業界あるあるです。

   

     

加島:そうそう。何とか仕事の中身を口で説明できたにしても、その本質というか、「匠の技」的な魅力まではとても伝えられないじゃないですか。そこで何とか弁理士の仕事、特に「技」の部分をエンタメ的に可視化する方法はないかなと、考えていました。 

  

そんな中、去年(2018年)東京カルチャーカルチャーで行われた「契約書タイムバトル」を観戦し、Twitterで「知財でタイムバトルをやるならクレーム作成バトルが面白そう」と何気なくつぶやいたら、契約書タイムバトルの企画者である橘さんや東京カルチャーカルチャー担当の貝塚さんの目にとまって、じゃあ企画案を聞かせてほしいという話になりまして・・。
そこで、頭の中で漠然と考えていたプロトタイプをA4用紙にイラストで描いてTwitterでアップしてみたところ、思ったよりも多くの賛同が集まり、引くに引けなくなりました。

 

    

     

   

  

ちざたまご:この企画原案、かなり『料理の鉄人』に影響を受けてますね(笑)。でもかなり実際のイベントに近い気がします。ガウン着た主宰による、「本日のお題は・・・餅!」は見てみたいなあ。

  

  

加島:自分はすごく『料理の鉄人』が好きなんですよ。料理人の技量の凄さって、当時の自分はあんまり分かってなかったんですが、あの番組がバトル形式で競うショーだったことで、料理人同士の超絶技巧がすごく良く伝わってきた。正に「匠の技」をエンタメ的に可視化したイベントだったなと。
『料理の鉄人』にインスパイアされた部分が大きくて、中では主宰っぽい演出もやりたいとかなり押したのですが、この点は他の運営チームメンバーに止められて泣く泣く没にしました(笑)。

ともあれ、Twitterでこの企画原案をアップしてから、何人もの「手伝いますよ!」という連絡を頂いて、運営チーム(安高さん、内田さん、にょんたかさん、大樹七海さん)が結成されたんです。一人だと企画を実行するところまで行けませんでしたから、すごく感謝しています。

  

  

 運営打ち合わせは和気あいあい(画・大樹七海)

    

   

ちざたまご:まさに、「SNSの ちからって すげー!」ですね。チーム結成から『特許の鉄人』第1回の開催まではスムーズだったんでしょうか?

  

  

加島:第1回は出場者を集めるのに非常に苦労しましたね・・。最初にIPXの奥村先生に立候補してもらったのは非常にありがたかったですが、その後はなかなか決まらず、知り合いや同期に声をかけても負けた時のリスクを恐れて断られることが多かったんです・・。
そのような状況の中、高橋先生から出場しても良いよという連絡をいただき、しかも高橋先生が主催する自主研修会の参加メンバーから出てくれそうな人を推薦してくださったおかげで、松山先生・狭武先生の出場も決まり、無事に4名の選手が揃いました。開催1か月半前で、すでに会場は抑えてましたからギリギリです。もし選手が不足していたら、最悪、私を含めた運営メンバーから誰か出場しようという話にまでなっていました。

  

  

ちざたまご:25分でクレームを書いて、しかも勝敗を決める本邦初公開のイベントって聞いたら、誰でも尻込みしちゃいますよね。出場した4名の弁理士の先生方は、度胸が据わっていると思います。

  

  

加島:はい、ありがたい限りです。
なので第2回は出場メンバーが決まらないと絶対やらないと決めてたんですが、第1回の打ち上げで2名の出場者が決まり(笑)、さらにはSNSや研修会のつながりで他の弁理士にも連絡したら「出る出る」と言ってくれまして。今度は第1回イベントから1週間後には第2回の選手4名が決まるという超展開。

  

  

ちざたまご:おお、それは第2回やるしかない流れ・・・!

  

  

加島:まあ、元々単発でなく、シリーズ化して知財界を盛り上げたいという気持ちがあったので、渡りに船でしたね。第1回のイベントはSNS界隈では大きな反響がありましたら、その力もあったのだと思います。

  

  

ちざたまご:イベントはとにかく1回やらないと転がりださないですからね。ただ、継続するのには多大なエネルギーも必要なので、半年余りでもう次回を開催というのはパワフルで素晴らしいです!

    

 

対戦テーマのつくり方


   

   

ちざたまご:出場メンバーが決まったあとで、もう1つの山場は対戦テーマとなる、裏側を掘り下げていくインタビュー企画 「お題」作りだったかなと思うのですが、これはどのようにして作成されたのでしょうか?

  

  

加島:第1試合の日用品対決は私が、第2試合のソフトウェア発明対決はにょんたか氏が作成しました。実際のイベントで使ったスライドはこんな感じです。

  

  

  

   

日用品対決では「見栄えのするエモい発明品」をテーマにしていました。実際に発明品を作った美人デザイナーに会場に来てもらって、発明について自ら説明してもらうという演出は、なかなか好評だったのではと思います。
難易度は、25分で何とかクレームを作成することができるものの、それほど簡単ではないバランスを狙いました。

  

  

ソフトウェア発明対決では、出題者のにょんたかさんによれば、「企画者から持ち込まれた新規事業のビジネスモデル」をテーマにしているそうです。仮想事例ではありましたが、リアリティが出ていたと思います。

   

  

実はさらに裏テーマもあり、第1回イベントの第1試合は『クレームを構造で書くか、機能で書くか』、第2試合は『サブコンビネーション』がポイントだったんです。第1試合では出場者のクレームの書き方が構造と機能で2つに分かれたので狙い通りでしたね。第2回イベントでも裏テーマがあるのですが、それは当日のお楽しみです。

  

  

第2回イベントに懸ける思い


  

   

ちざたまご:第2回『特許の鉄人』は年明け、1月17日(金)に開催されるとのことですが、第1回の反省を生かした点などは何かあるのでしょうか?  

  

  

加島:第1回が終わった後、観客から直接ご意見を聞いたり、終わった後にエゴサーチもしまして・・・!イベントは盛り上がったものの、まだ色々反省点があるなと感じました。具体的には以下の通りです。

 

     

・観客の投票時に、「選手が作成したクレームをしっかり見れるようにしてほしい」という要望があった。
・観客投票だけでは勝ち負けのポイントが不明確でやや人気投票的になってしまった。
・選手に時間内にクレームを作成しなければならないという強いプレッシャーがかかり、発明者へのヒアリングが少しおろそかになってしまった感がある。
・プラチナスポンサーの紹介はしたものの、運営に必死すぎてゴールドスポンサーの紹介を壇上で誰もしなかった。

    

    

ちざたまご:なるほど、確かにお金を出してくれたスポンサーの紹介はしっかりやったほうが良いですね(笑)。その他の反省点は、どうパワーアップするのでしょうか?

  

  

加島:はい、まず選手がクレームを作成した後、観客が手元のPCやスマホで見られるようにする予定です。これで投票をするときに、観客は実際に書かれたクレームを比較しながら投票することができます。
さらに、会場の観客投票はもちろんあるのですが、加えて審査員(第1回の選手)による投票制度も新設します。

   

   

ちざたまご:会場票では負けていた選手が審査員の支持により勝つ、なんてこともあり得るんですね。逆にそれは、どこで評価が違ったか物議を醸しそうで、面白いですね・・!

   

   

加島:どうなるかは我々運営チームにもわからないので、当日のライブ感を楽しみにしていてください(笑)。
あと、次回はゴールドスポンサーもちゃんとケアしますので、スポンサーの皆様、ご安心下さい!

   

   

ちざたまご:第2回の設問は、どのような形で決めているんでしょうか?

   

   

加島:それは・・まだトップシークレットにさせてください。これはガチのバトルですから、このインタビューを読んで少しでも選手に有利不利を出したくないんですよ。

   

   

ちざたまご:なるほど、フェアかつ熾烈なバトルが楽しめそうですね・・!
ちなみに、第1回では観客から「弁理士はあんまりツール使ってないじゃん」的な意見もあったそうですけど、実際は「Google日本語 with 独自ショートカット」的な早打ちツールがしっかり活用されていたそうなので、第2回ではクレーム作成の際の『弁理士の技』的な解説にも期待しております。

   

   

加島:はい、前回と同じく、弁理士の安高先生・内田先生がプロフェッショナルな視点で分かりやすく解説しますから、特許を知らない方でもなるほど!と思えるイベントになると思います。

   

  

   

ちざたまご:最後に、『特許の鉄人』の企画を通じて、今後知財界をこう盛り上げていきたい、という野望がありましたらお願いいたします。

  

  

加島:第1回のイベントは、知財SNSをやっている方以外にはそれほど知名度がなく、普段の知財の仕事で接している方やセミナー受講者とお話ししても、『特許の鉄人』というイベント自体を知らない人がまだまだ大半です。これから知名度を上げ、「知財業界でも何か面白いことやっているな」ということを業界の内外に知ってもらいたいです。

   

    

また、第3回以降は全く未定(選手の集まり次第)なのですが、年1回ぐらいの定期イベントにして、経験の若い若手にも積極的に選手として参加してもらい、知財界の登竜門的な存在になれるといいなと考えています。その第一歩として第2回『特許の鉄人』は、第1回よりさらにパワーアップさせますから、色々な人に見に来て頂けると嬉しいです!

究極の野望は、『料理の鉄人』の番組を見て、あこがれて料理人になった人がいるそうですから、『特許の鉄人』を見て、弁理士になった・・なんて人が出たら、すごいですよね。そのためにも盛り上げていきたいと思います。

   

   

ちざたまご:知財、特に弁理士の平均年齢は50歳なんて話もありますが、世の中には新しいものを生み出したい人が沢山いますから、知財業界に飛び込んで来る若者をもっともっと増やしていきたいですね。

   

   

私も「∞知財 ~ムゲンチザイ~」のイベントを通じ、知財界を企画の視点から盛り上げられるように頑張りたいと思います。今日は同志を見つけたというか、パワーを頂きました。

   

   

加島さん、本日はありがとうございました! 

☆特許の鉄人 第2回(1月17日(金)19時~)イベント申し込みページはこちら

  

<ライター紹介>
ライター ちざたまご
企業内弁理士/ムゲンチザイプランナー。

「知財はもっと面白い」をキーワードに、企画×知財の世界を深堀り中。

第3回ムゲンチザイ「しくじり×知財」来春開催予定!

Twitter:https://twitter.com/chizatamago

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