続々始まるブランドTLDの活用・使用(まとめ)【ブランドTLD・新GTLD】

  

キヤノン、東レ、コマツ、久光製薬など、約半分の日本のブランドTLDが利用開始をしている中、 3月にスタートを切ったのが、トヨタ。そして、海外では、4月2日に監査法人のKPMGがブランドTLDの利用を開始しました。

  

global.toyota


  

ホスト名からも想像できる通り、トヨタのグローバルサイトです。以前は、toyota-global.comというドメイン名で運用をしていましたが、リニューアルのされました。(旧ドドメインは、global.toyotaに転送)

.comは、アメリカのローカルドメインとして利用し、.jpも日本のローカルドメインとして利用をしていることがサイトを確認する限り分かります。

  

出典:global.toyota

  

サイトの検索状況を確認することのできるAlexaによれば、オーガニック検索からのglobal.toyotaへのアクセスは、既に30%を超えており、この数字は、toyota.jpやtoyota.comと同様であり、”toyota”と検索をして47%のユーザーがサイトにアクセスをしています。

昨年からトヨタは”100年に一度の大変革の時代”を生き抜くための企画として、ソフトバンク孫さんや先日引退をされたイチローさんとの対談も行っているため、 認知をさせるための時期もよかったのだと思います。

大きな変化、特に今回であれば、変革・先進性をアピールしたいときに、ブランドTLDが利用されたことが印象的です。

  

home.kpmg


  

KPMGは、ニュースリリースで下記のような理由からブランドTLDを利用することにしたと述べています。

”KPMG has become the first of the Big Four professional services firms to launch its corporate websites under its own branded top level domain name, .kpmg. The firm has moved its home.kpmg.com site to home.kpmg. The move enhances the KPMG brand through a strong, simplified name, and provides end users with a level of assurance that any site that ends with .kpmg is owned and operated by KPMG.

Since the top level domain can only be used by KPMG, visitors to sites that use the new top level domain can easily confirm its authenticity and be assured that the information they contain is reliable and secure.

It is intended as the first step of many in creating a consolidated, secure, and trustworthy space for the KPMG member firm network and its online digital footprint.”

  引用: https://home.kpmg/xx/en/home/media/press-releases/2019/04/kpmg-launches-new-online-home-with-kpmg-domain.html

  

まとめると以下のことが達成できる活用するとのことです。

  • シンプルな名前を利用することでのブランド力強化
  • .kpmgで終わるすべてのサイトは、KPMGが運用しているという安心
  • 安全かつ信頼性のある場所を提供することでグループネットワーク強化デジタルフットプリントに配慮するのために利用

  

ブランドTLDは、一般的なドメイン(例:kpmg.com)とは異なり、ICANNの厳しい審査(財務、レジストリシステムのパフォーマンス、ビジネスプロポーザルなどを審査)を通過したものだけが、独占的に利用をすることができます。転売目的のサイバースクワッターに取得されることも少ないことから、信頼性は確かにあります。

また、これに拍車をかけることとしては、GDPR後に顕著となっているWHOISの非表示化もあると思います。様々なビジネスの環境の変化からブランドTLDの信頼性と安心感を上手く利用しようと考えたのだと思います。これからは.kpmgという表記を信じればいい、というのは非常にシンプルであり、すべての人がインターネットに関わることからも視認性を上げることは非常に有益です。

最後に、デジタルフットプリントについて言及をしている点も特徴的です。

デジタルフットプリントとは、インターネットをアクセスするときに残る履歴などを指します。フィッシングサイトの増加や個人情報の取り扱いが厳格化する中で、正しいサイトへのナビゲーションをすることが、ユーザーの利益を守ることになるのは確かです。.kpmgの中では情報が安全に取り扱われるという安心は、ユーザー心理からすると信頼に代わり易いのではないでしょうか。

    

ドメインの登録は既に3億件を突破


  

世界で登録されているドメインは、3億件を突破しました。また、2012年以降、新gTLD(ブランドTLDもこの枠に含まれます。)が1,200件リリースされています。新gTLD以前のTLDの種類が200件程度だったことを考えると急激な増加です。

こうした現状の中、何が正しいドメインかを見分けることは非常に難しくなっています。ビジネス上、デジタルなスペースが欠かせないものとなり、信頼を寄せる場所をどこにするのかは非常に重要なテーマです。

従来通りの企業は各社にルールを浸透し、ルールの逸脱がないかを監視するという行動は重要であり続けますが、ドメインのルールを決めることができてしまう立場になり、安心・安全なスペースを提供するブランドTLDの活用は、Whoisの非表示化やフィッシング詐欺の増加などといった外的環境変化、売上増加、M&Aなどによる利害関係者の増加といった内的環境変化にも長い目でみると対応できる一策なのかもしれません。

引き続きブラントTLDの活用企業をウォッチしていきます。次回もお楽しみに。  

  


〈ライタープロフィール〉
寺地 裕樹(てらち ゆうき)

GMOブライツコンサルティング株式会社
営業本部 IPソリューション部

2008年に入社後営業部の主力メンバーとして、営業数字を牽引。2012年には、当時最年少で営業部部長に就く。現在は、商標・ドメインネームに関するコンサルティングを主に行うIPS部、営業部、営業管理部を率いる営業本部副本部長として従事。趣味は、家族と週末農家、インラインスケートなど。