キャラクタービジネスから見えてくる「護り方の差」とは

ミッキーマウスの一部著作権(1928年公開の「蒸気船ウィリー」の著作権保護期間)が2024年に切れる?というような記事があったので、ディズニーの商標を少し眺めてみました。

ディズニーキャラクター

本国であるアメリカだけですが、Global Brand Databaseで検索をすると、図形もしくは結合商標(図+文字の商標のこと)で登録されている件数は、たったの360件です。過去登録していたものを見ても1,100件程度です。少ないですね。

たまにディズニーランドにも行きますが、全件確認した限りでは、有名なディズニーキャラクターでも登録されていないことがありました。

(画像出典:GDB検索結果より、https://www.wipo.int/branddb/en/index.jsp)

サンリオキャラクター

比較のためサンリオを検索してみました。(※本国である日本だけ)ディズニーと同じく非常に多くのキャラクターを有する企業ですが、図形もしくは結合商標で5,124件の登録がありました。

サンリオの登録商標件数は、ディズニーの約14倍という結果でした。

(画像出典:GDB検索結果より、https://www.wipo.int/branddb/en/index.jsp)

国による制度の違いによる差

同じキャラクタービジネスを展開している両者で、なぜこんなにも登録数に差あるのでしょうか?

一つは、『各国商標制度の違い』です。アメリカは使用宣誓という制度があり、商標を使用していないと、商標が消滅してしまうという特徴があります。

したがって、そうした制度がない日本に比べれば、商標数は少なくなりそうです。それにしても、過去からの出願数が1,100件程度なので、サンリオと比べるとやはり大きな差があります。

会社の考え方の差

もう少し深くディズニーの登録商標を見てみると、基本的には、テーマパーク、映画などで販売する予定の商品に付する商標を取得しているように伺えます。キャラクター自体は、メジャーなキャラクター(そんなに多くありませんが、)は、4~5年に1回出願をしていますが、残りのキャラクターは、「まずは著作権で」という姿勢のように感じます。

ディズニーが今までに世界で出願してきた件数は、Global Brand Databaseによると10,292件。サンリオは9,978件ですので、同じような数です。また、企業の歴史から考えると、ディズニーが設立1923年で、サンリオが1960年ですので、年数で割ると、商標の手当ては単純な数では少ないことになります。権利だけでみると、ディズニーは投資効率の良い会社だな、という印象を持ちました。

キャラクターグッズのライセンス、模倣品の対策を考えると、サンリオのように商標のような絶対的な権利で保護しそうですが、同じキャラクターを活用する会社でも考え方は異なることが伺えます。

ミッキーマウス法の展開に注目

アメリカの著作権は、ミッキーマウス法とも言われているそうです。著作権が切れそうになると、法改正があり存続期間が延長されるからのようです。

膨大な知財のコストを上手くミニマイズしてきたことが窺い知れ、著作権切れが本格化したときに、どのような知財対策がなされていくのかが楽しみです。

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〈ライタープロフィール〉
寺地 裕樹(てらち ゆうき)

GMOブライツコンサルティング株式会社
営業本部 IPソリューション部
consul@brights.jp

2008年に入社後営業部の主力メンバーとして、営業数字を牽引。2012年には、当時最年少で営業部部長に就く。現在は、商標・ドメインネームに関するコンサルティングを主に行うIPS部、営業部、営業管理部を率いる営業本部副本部長として従事。趣味は、家族と週末農家、インラインスケートなど。