「ZOZOTOWN」に学ぶ、売れるネットショップを安全に運営する基本的な商標ノウハウ

ネットショップを安全に運営する基本的なノウハウについて学んでいきましょう。

第一章:商標出願のタイミング-国内編-


株式会社ZOZO(旧社名株式会社スタートトゥデイ)の沿革と国内出願をまとめた一覧がこちら。 [su_table]

2004年2月9日 通販サイトサイト「zozo.jp」のドメインネーム登録。
2004年12月 「ZOZOTOWN」開設(zozo.jp)。
2005年7月28日 「[su_highlight background=”#fdff99″]ZOZOTOWN[/su_highlight](登録4938636)」 “鞄”等が対象となる18類と、“洋服”などが対象となる25類で出願。 「[su_highlight background=”#fdff99″]
ZOZO[/su_highlight](登録4998425)」 “鞄”等が対象となる18類で出願。
2006年11月10日 「[su_highlight background=”#fdff99″]ZOZO[/su_highlight](登録5064484)」 9,14,16,25,35,41,42,45類で補強出願。
2007年5月28日 「[su_highlight background=”#fdff99″]ZOZOTOWN[/su_highlight](登録5146321)」 35,36,38,39,41,42類で補強出願。
2007年12月 東京証券取引所マザーズ市場に上場
2009年10月9日 「[su_highlight background=”#fdff99″]ZOZO[/su_highlight](登録5375430)」 1,2,3,4,5,6,7,8,10,11,12,15,20,21,22,24,26,27,28,29,30,31,32,33,34,35,36,38,39,43,44類で補強出願。

[/su_table] 同社は、2004年に「ZOZOTOWN」を開設した後、約半年後の2005年7月に主要商標である「ZOZOTOWN」と「ZOZO」商標の出願を行っています。その後、2006年、2007年と区分*注1  を増やす形で商標出願を続け、業績好調に伴う事業の拡大に合わせ、補強出願を繰り返し権利範囲を広げていったことが伺えます。業績推移と併せて見ていきましょう。画像出典:https://president.jp/articles/-/186

事業開始後、半年~1年以内には、必要最低限の区分において出願を行い、その後事業の売上高の伸びに応じた補強出願を行っています。また、2007年の上場を機に、ほぼ全区分に対する補強出願を行う形で、権利範囲を増やした流れが伺えます。

*注1 区分とは:商標を出願する際には、その商標を使用する商品や役務(サービス)を指定するのですが、その指定された商品や役務が属する業種も合わせて指定します。 この業種のことを”区分”といい、1から45区分まで存在します。

[su_box title=”国内への商標出願のタイミングと注意点<POINT!>”]
日本の商標法は、原則、「早く出願した者に商標登録を認める」ルールとなっているので、出願が遅くなると第三者に商標登録されてしまうリスクがあります。できるだけ早い出願がベストであり、ネットショップ開業時には出願していることが必要です。インターネットですぐに検索できる時代のため、商標登録していなくてもばれない、などといった考えは通用しないのです。また、立ち上げたネットショップが軌道に乗ってきたからいざ登録!と出願してみたものの、既に第三者に商標登録されていたら、せっかく認知されてきた名称やマークを変更せざる負えなくなります。開業前に事前に商標調査を必ず行うようにしましょう。[/su_box]

 

第二章:商標出願のタイミング-中国編-


株式会社スタートトゥデイ社の沿革と中国出願をまとめた一覧がこちら。 [su_table]

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2011年04月26日 [su_highlight background=”#fdff99″]「ZOZOTOWN」[/su_highlight]
3,4,8,9,11,14,16,18,20,21,24,25,26,27,28,34,35,36,38,39,42,43,44,45類の出願。
2011年10月 中国にて”ZOZOTOWN CHINA”の運営を開始、
“ZOZOTOWN 旗艦店”をオープン。

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「zozo」という単語は識別力はあるものの、他の人がブランド名として使用しているケースが多く、第三者での登録商標が多く存在しています。そのため登録ができない状況なのか、同社による「zozo」商標の登録商標はありませんでした。また、「ZOZOTOWN」は、事業開始の半年前に出願を行っていることが伺えます。

経済産業省の調査によると、2016年のBtoC-EC市場規模トップは中国の9276.0億ドルで、アメリカの2倍以上、日本の約12倍と、他国に大差をつけている状態です。このような、中国EC市場の盛り上がりで懸念されることの一つに、「第三者に自社ブランドを利用されたサイト運営をされてしまう」ということがあります。

 

[su_box title=”中国への商標出願のタイミングと注意点<POINT!>”]
中国においては、知名度があがると、第三者によって出願登録される事例(冒認出願)が多発しています。中国へビジネス展開しているか否かに関わらず、国内で認知度が高まってきた段階など、なるべく早めの段階で商標出願を検討する必要があります。同社が2007年に上場していることを踏まえると、2011年から出願を開始しているのは遅いといった印象ではないでしょうか。展開していない段階から、中国で人気の検索エンジンやECサイトにおいて、自社ブランドを検索し、知名度の把握をする必要があります。事業展開をする場合は事前に出願をすることは必須です。[/su_box]

 

第三章:商標を出願しないことで潜むリスクとは


そもそも、商標出願を行わないことでどのようなリスクが潜んでいるのでしょうか。

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侵害される側になった場合 侵害する側になった場合
・第三者に自社の名称やマークを勝手に使用される
・模倣品が出回っても、対策ができない・自社が得るべき利益を横取りされても何も言えない
・第三者に取得されてしまった商標を取り戻したい場合は多額の費用が発生する
・製品名を変更しなければならない
・広告物を刷り直さなければならない
・製品からマークを除去しなければならない
・損害賠償を請求される可能性がある
・税関での輸出入の指し止めを受ける可能性がある

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「侵害される」側という立場から、「侵害する」側という立場になってしまう可能性があるということが、お分かりいただけるのではないでしょうか。事業をスムーズに進めるための適切な権利保護は業界問わず、すべての業界において重要です。また、適切な権利取得を行うことはもちろん重要ですが、登録後、保有している商標と、現在展開している事業内容に不足等がないか」等、定期的な見直しも重要になってきます。

 

第四章:まとめ「これだけ確認!基本リスト5」


 

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「これだけ確認!基本リスト5」
1.ネットショップ立ち上げ時前には、展開国+中国において商標調査を実施ください。
2.ネットショップ開業時には、展開国において商標出願が完了していることが望ましいです。
3.越境EC参入する際には、中国及び展開国において商標出願が完了していることが望ましいです。
4.開業後は他国で自社ブランドの人気の把握を行ってください。検索エンジンやECサイトを検索することで把握も可能です。
5.事業開始後、ブランドが増えたり、サービス内容が変更した場合、その都度、必要な権利範囲での商標出願が必要です。定期的な事業内容と登録商標の見直しを実施ください。
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*事業拡大に伴い、上記リスト以外の対策が必要になって参る場合があります。事業立ち上げ時の基本リストとしてご参考ください。

(おまけ)この記事もチェック


https://brandtoday.media/magazine/tm-magazine/%e3%83%8d%e3%83%83%e3%83%88%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%83%e3%83%97%e9%96%8b%e6%a5%ad%e3%81%ab%e9%87%8d%e8%a6%81%e3%81%aa%e5%95%86%e6%a8%99%e5%87%ba%e9%a1%98/

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〈ライタープロフィール〉
中山 礼美(なかやま れいみ)

GMOブライツコンサルティング株式会社
IPソリューション部/メディア担当
consul@brights.jp

2011年に入社後営業サポート業務に携わり、2017年5月よりメディア担当者として、商標やドメインネームの業務を学びながら記事を発信。様々な業界のトレンドを意識した記事作りの難しさに奮闘中。趣味は食べるコト、プチプラでお得感の高いものを探すこと。

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